税金・確定申告

会社員の仮想通貨税金ガイド|年末調整との関係・住民税の普通徴収まで

※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。税制の内容は2026年8月時点の情報に基づいて作成しています。個別の税務判断については、税務署または税理士にご確認ください。

会社員として給与を受け取りながら仮想通貨(暗号資産)を売買している場合、税金の手続きを会社任せにすることはできません。「年末調整があるから何もしなくていい」という理解のままでいると、気づかないうちに申告漏れになっている、ということが起こり得ます。

この記事では、給与所得者が仮想通貨で利益を得たときに押さえておくべきルールを、年末調整との関係 → 20万円の判定条件 → 確定申告の流れ → 住民税の納め方 → 会社の副業規定との関係という順番で整理します。

年末調整では仮想通貨の利益は処理されない

まず前提の確認です。年末調整は、会社が支払った給与に対する所得税の精算手続きです。会社は自社が支払った給与と、従業員から申告された保険料控除・扶養控除などの情報しか扱いません。

仮想通貨の売買益は、給与とはまったく別のルートで発生した所得です。会社はあなたが取引所でいくら利益を出したかを知る立場になく、年末調整の計算にも一切含まれません。国税庁のタックスアンサーNo.1524「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」にあるとおり、仮想通貨の売買益は原則として雑所得に区分され、給与所得とは別に自分で計算して申告する所得です。

つまり会社員の場合、税金の手続きは次の二段構えになります。

  • 給与にかかる所得税 → 会社の年末調整で完結
  • 仮想通貨の利益にかかる税金 → 自分で判定し、条件に該当すれば自分で確定申告

「年末調整を受けた=税金の手続きがすべて終わった」ではない、という点がこの記事全体の出発点です。

「20万円以下は申告不要」の正確な条件

会社員の仮想通貨税金でもっともよく語られるのが「利益20万円以下なら申告不要」というルールです。これは実在するルールですが、適用には条件があります。国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」を裏返すと、次のすべてを満たす場合に所得税の確定申告が不要になります。

条件 内容
給与の受け取り先 1か所からのみ給与を受けている
年末調整 その給与について年末調整が済んでいる
給与収入の額 年間2,000万円以下
給与・退職所得以外の所得 仮想通貨の利益を含む合計が20万円以下

注意したいポイントが3つあります。

  • 「利益」は仮想通貨だけで判定しない — 20万円の判定は「給与・退職所得以外の所得の合計」です。仮想通貨の利益が15万円でも、他に原稿料などの副収入が10万円あれば合計25万円で申告が必要になります
  • 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするなら、20万円以下でも記載が必要 — 20万円ルールは「確定申告をしなくてよい」という特例です。何らかの理由で確定申告書を提出する場合には、20万円以下の雑所得も含めてすべて記載することになります
  • 利益額は計算しないと分からない — 売却額から取得価額と手数料を差し引いた損益を計算して、はじめて20万円との比較ができます。含み益は対象外で、売却・他の通貨との交換・決済に使ったタイミングで損益が確定します

この20万円基準のより詳しい解説と具体例は、仮想通貨の20万円ルールの正確な意味にまとめています。

20万円以下でも住民税の申告は別に残る

見落とされやすいのがここです。20万円ルールは所得税(国税)だけの特例で、住民税(地方税)には同様の仕組みがありません。

所得税の確定申告をした場合は、その内容が市区町村に共有されるため住民税の手続きは自動的に済みます。一方、20万円以下で所得税の確定申告をしなかった場合でも、住民税の側では申告対象の所得として残るため、お住まいの市区町村への住民税の申告が別途必要になります。手続きの方法は市区町村ごとに異なるため、お住まいの自治体の案内に沿って進めることになります。

会社員が確定申告する場合の流れ

利益が20万円を超えた場合(または他の理由で確定申告をする場合)の流れは、大きく5ステップです。

  1. 源泉徴収票を用意する — 毎年12月〜1月に会社から交付されます。確定申告書の給与所得欄は、この源泉徴収票の数字を転記して作成します。給与部分をあらためて自分で計算し直す必要はありません
  2. 取引履歴を集める — 使ったすべての取引所から年間取引報告書や取引履歴CSVをダウンロードします。取引所ごとの取得手順は取引所別CSVダウンロード手順まとめで解説しています
  3. 損益を計算する — 総平均法または移動平均法で年間の実現損益を計算します。取引が少なければ国税庁配布の計算書(Excel)で自力計算できますが、複数取引所をまたぐ場合や取引回数が多い場合は損益計算ツールを使うのが現実的です。たとえばクリプタクトの無料プランは、年間の取引が50件以内であれば結果表示まで無料で完結します。→ クリプタクト公式サイトで無料プランの範囲を確認する
  4. 確定申告書を作成する — 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、源泉徴収票の内容と雑所得(仮想通貨の損益)を入力します。e-Taxならマイナンバーカードがあれば自宅から提出まで完了します。申告期間は原則、翌年2月16日〜3月15日です
  5. 納税する — 振替納税・クレジットカード・コンビニ納付などから選べます。所得税は申告期限までに納付します

このうち作業量の大半を占めるのはステップ2〜3の損益計算です。売買のたびに取得単価を計算し直す仕組みや、手計算が破綻しやすいパターンは仮想通貨の損益計算を自動化する方法で詳しく解説しています。年末になってから1年分をさかのぼるより、取引履歴だけでも早めに揃えておくと申告期の負担が大きく減ります。

住民税の納め方 — 特別徴収と普通徴収

確定申告をすると、その情報は市区町村に引き継がれ、翌年度の住民税に反映されます。会社員の場合、住民税の納め方には次の2つの方式があります。

方式 納め方 対象
特別徴収 毎月の給与から天引きされ、会社が本人に代わって納付する 給与所得者の原則的な方式
普通徴収 市区町村から届く納付書等で、本人が直接納付する(年4回の分割など) 給与天引きによらず自分で納める方式

会社員の給与にかかる住民税は、原則として特別徴収(給与天引き)です。そのうえで、確定申告書の第二表には「住民税に関する事項」という欄があり、給与・公的年金等以外の所得(仮想通貨の雑所得など)にかかる住民税の徴収方法を選択できるようになっています。ここで「自分で納付」を選ぶと、その部分は普通徴収となり、給与天引き分とは別に自分あての納付書等で納めることになります。

制度上の位置づけとして、次の点を押さえておくとよいです。

  • 選択できるのは「給与・公的年金等以外の所得」にかかる部分のみです。給与にかかる住民税は引き続き特別徴収です
  • どちらを選んでも、納める住民税の合計額は変わりません。変わるのは納付の経路だけです
  • 選択欄の記載を含む最終的な取り扱いは、課税実務を担う市区町村の運用によります。記載どおりの処理を確実にしたい場合は、申告後にお住まいの市区町村へ確認しておくと確実性が上がります
  • 普通徴収を選んだ場合は納付書の期限管理が自分の仕事になります。納付漏れは延滞金の対象になるため、口座振替の利用などで管理するのが実務的です

会社の副業規定と税金のルールは別の話

「会社員が仮想通貨をやってもいいのか」という不安は、実は2つの別の問題が混ざっています。

  • 税金の問題(税法) — 利益が出たら、ルールに沿って申告・納税する。これは国と納税者の間の話で、会社の規定がどうであれ発生する義務です
  • 副業の可否(就業規則) — 会社が従業員の社外活動をどこまで認めるかという、会社と従業員の間の契約・服務規律の話です

税法は仮想通貨取引を禁止も許可もしていません。申告のルールを定めているだけです。一方、副業を制限している会社であっても、仮想通貨の売買は株式投資や投資信託と同じ資産運用として、労務提供を伴う「副業」とは区別して扱われることが一般的です。ただし、就業規則の書き方は会社ごとに異なるため、気になる場合は自社の就業規則の該当条文を確認するのが確実です。

整理すると、「税務手続きは就業規則に関係なく必要」「社内での扱いは就業規則の問題として別途確認」という二本立てで考えれば、判断に迷うことはなくなります。

よくある質問

Q1. 年末調整を受けていれば、仮想通貨の利益も処理されていますか?

いいえ。年末調整は会社が支払った給与に対する精算だけを行う手続きで、仮想通貨の利益は含まれません。利益の計算と申告要否の判定は自分で行う必要があります。判定の前提になる年間損益の計算は、取引件数が少なければ無料の範囲で済ませられるツールもあります(クリプタクトの無料プランは年間取引50件以内なら結果表示まで対応)。→ クリプタクト公式サイト

Q2. 利益が20万円以下なら、何も手続きはいらないのですか?

所得税については、給与1か所・年末調整済み・給与収入2,000万円以下などの条件を満たせば確定申告不要です。ただし住民税には20万円ルールに相当する仕組みがないため、市区町村への住民税の申告は別途必要です。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の利益も含めて記載します。

Q3. 保有しているだけ(含み益)でも税金はかかりますか?

かかりません。課税対象になるのは、売却したとき・他の仮想通貨と交換したとき・商品やサービスの決済に使ったときなど、損益が実現したタイミングです。買って保有しているだけの含み益の状態では課税されません。

Q4. 損失が出た年は、給与の税金を減らせますか?

減らせません。仮想通貨の損失は雑所得内の他の利益(同じ年の他の仮想通貨の利益など)とは相殺できますが、給与所得との損益通算はできず、翌年への損失の繰越もできません。この点は株式投資(申告分離課税・3年繰越あり)と大きく異なる部分です。

まとめ

  • 年末調整は給与の精算だけ。仮想通貨の利益の判定・申告は自分で行う
  • 「20万円以下は申告不要」は所得税だけの特例。給与1か所・年末調整済み・給与収入2,000万円以下が条件で、判定は仮想通貨以外の副収入も合算
  • 住民税に20万円ルールはなく、確定申告しない場合は市区町村への住民税申告が残る
  • 確定申告は「源泉徴収票の転記+仮想通貨の損益計算」の組み合わせ。作業の山は損益計算
  • 確定申告書第二表では、給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法(特別徴収/自分で納付=普通徴収)を選択できる。合計税額はどちらでも同じ
  • 副業の可否は就業規則の問題で、税務手続きとは別。税務は就業規則に関係なく発生する

申告要否の判定も納税額の把握も、出発点は年間損益の数字です。取引履歴を取り込めば損益を自動計算できるツールを使うと、判定までの時間を大きく短縮できます。→ クリプタクト公式サイトで無料アカウントを作成する

免責事項:本記事は2026年8月時点の法令・公表情報に基づく一般的な情報提供であり、特定の税務判断を保証するものではありません。税制は改正されることがあるため、申告にあたっては必ず国税庁の最新情報をご確認のうえ、個別の事情については税務署または税理士にご相談ください。

Bitcoin Analyze 編集部