税金・確定申告

仮想通貨の必要経費として認められうるもの|考え方と記録の残し方

※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。記載の内容は2026年8月時点の公開情報に基づく一般的な解説です。最新の情報は公式サイト・国税庁でご確認ください。

仮想通貨(暗号資産)の利益は原則として雑所得に区分され、申告する所得金額は「総収入金額から必要経費を差し引いた残り」で計算します。つまり、どの支出が必要経費に当たり得るのかを正しく整理できるかどうかは、申告内容の正確さに直結する論点です。一方で、「仮想通貨の経費には何が含まれるのか」「パソコン代や通信費はどこまで入れてよいのか」は、毎年の確定申告シーズンに質問が集中するテーマでもあります。本記事では、国税庁が公表している必要経費の一般的な考え方を出発点に、必要経費の候補になり得る支出の例、認められにくい支出の例、生活用と兼用している支出の按分の考え方、領収書・明細の残し方までを一つずつ整理します。先にお断りしておくと、本記事は「これも経費に入れられます」と特定の支出の計上を勧めるものではなく、あくまで制度の一般論と記録実務の解説です。個別の支出が経費に当たるかどうかの判断は、税理士または所轄の税務署への確認を前提にお読みください。確定申告そのものの流れをまだつかめていない方は、先に「初めての確定申告の流れを時系列で整理した記事」に目を通しておくと、この記事の内容が全体のどの部分に当たるのかが分かりやすくなります。

目次

雑所得でも必要経費は差し引ける(国税庁の考え方)

まず前提として、必要経費は事業所得だけの仕組みではありません。国税庁のタックスアンサー「No.2210 やさしい必要経費の知識」では、事業所得・不動産所得に加えて雑所得の金額を計算するうえでも、必要経費に算入できる金額として次の2つが挙げられています。

  • 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るため直接に要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

仮想通貨の売買による利益は、多くの個人の場合「雑所得(その他雑所得)」に区分されます。この場合に中心となるのは1つ目の「収入を得るため直接に要した費用」です。国税庁の「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」でも、暗号資産の売却による所得の必要経費の例として「その暗号資産の譲渡原価」と「売却の際に支払った手数料」が示されたうえで、インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用などについても、暗号資産の売却のために直接必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経費に算入できると説明されています。

ここで押さえておきたいのは、同じ雑所得でも区分によって経費の範囲の考え方が変わる点です。取引が営利目的で継続的に行われ「業務に係る雑所得」や事業所得に区分される場合には、販売費・一般管理費などその業務について生じた費用も必要経費に算入できるとされています。一方、多くの個人投資家が該当する「その他雑所得」では、売却等に際し直接要した費用が中心になります。自分の取引がどちらの前提で考えるべきかは取引の規模や態様によるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認するのが確実です。

もう一つ、出発点として大切な姿勢があります。必要経費は「実際に支出していること」「収入との対応関係があること」「そのことを資料で説明できること」の3点がそろってはじめて成り立つものです。税額を減らす目的で実態のない支出を計上したり、関係の薄い支出を無理に結び付けたりすることはできません。この記事で紹介する例も、「計上すれば通る」という意味ではなく、「直接性を説明できる場合に候補になり得る」という位置づけで読んでください。

金額面で最も大きい「経費」は、売った仮想通貨の取得価額(譲渡原価)

経費というと書籍代や通信費などの細かな支出に目が行きがちですが、暗号資産の所得計算で金額的に圧倒的に大きいのは、売却した仮想通貨をいくらで取得していたかを示す「譲渡原価」です。たとえば500万円で売却した仮想通貨の取得価額が400万円なら、雑費をどれだけ積み上げるかより先に、この400万円を総平均法または移動平均法で正しく計算できているかどうかが所得金額を左右します。譲渡原価の計算方法や計算ツールの選び方は「損益計算ツールの選び方ガイド」で詳しく解説していますが、取引回数が多い方や複数の取引所を使っている方は手計算での正確な集計が難しくなりがちです。たとえばクリプタクトのような損益計算ツールなら、取引所のCSVを取り込んで総平均法・移動平均法それぞれで年間損益を自動計算できます。自分の取引所やコインが対応しているかは、クリプタクト公式サイトで対応取引所・対応コインの一覧を確認すると分かります。

必要経費の候補になり得る支出の例

ここからは、暗号資産取引に関連して支出されることの多い費用を、「必要経費の候補になり得るもの」として整理します。繰り返しになりますが、いずれも自動的に経費になるわけではなく、取引との直接的な関係を説明できること、生活用と兼用のものは合理的に按分することが前提です。まずは一覧表で全体像を確認してください。

支出の例 考え方 留意点
売買手数料・取引手数料 売却の際に支払った手数料は国税庁FAQでも必要経費の例として明示 取引履歴や年間取引報告書で金額を確認できる。損益計算ツールでは取得価額に織り込まれる場合もあり、二重計上に注意
送金手数料・出金手数料 取引に伴う暗号資産の送付や日本円の出金にかかる手数料は、取引との関連を説明しやすい 取引と関係のない私的な移動分まで含めない。履歴で内訳を残す
損益計算ツールの利用料 暗号資産の所得計算のために利用するサービスの料金は、収入との対応関係を説明しやすい 利用目的が暗号資産の損益計算であることを、契約内容や領収書で示せるようにする
関連書籍・有料情報 暗号資産取引のための知識取得にかかった費用は候補になり得る 一般教養や娯楽との線引きが問われやすい。取引との関連を説明できる範囲にとどめる
セミナー参加費 取引に直接関連する内容であれば候補になり得る 懇親会費や観光を兼ねた旅費など、取引との直接性が薄い部分は切り分けて考える
パソコン・スマートフォン購入費 取引のために直接必要な部分の金額に限り算入できるとされる 生活用と兼用なら按分が前提。一定金額を超えるものは減価償却として複数年に分けて計上する必要がある
インターネット回線利用料・通信費 取引に係る利用料を明確に区分できる場合に限り、その区分された金額を算入できるとされる 全額計上は想定されていない。使用割合の根拠づくりが不可欠

売買手数料・送金手数料:まず取引履歴で拾えるものから

国税庁FAQが必要経費の例として最初に挙げているのが、譲渡原価と並ぶ「売却の際に支払った手数料」です。取引所での売買手数料や、取引に伴う送金・出金手数料は支出の事実と金額が取引履歴に残るため、候補のなかでは説明のしやすい部類に入ります。注意したいのは計上方法の重複です。損益計算ツールや取引所の年間取引報告書では、手数料がすでに取得価額や譲渡価額に反映されている場合があります。同じ手数料を「取得価額にも含め、別途経費としても引く」と二重計上になってしまうため、自分の計算方法でどう扱われているかを確認してから集計してください。

損益計算ツールの利用料:計算のための支出は関連を説明しやすい

暗号資産の年間損益を計算するために利用した損益計算ツールの利用料は、暗号資産の所得を申告するための直接的な支出として、関連性を説明しやすい候補の一つです。あわせて、ツールを使うこと自体が「取得価額や手数料の計算過程を記録として残す」ことにつながる点も見逃せません。たとえばクリプタクトでは無料プランでも取引履歴の保存が年間10万件まで可能で、損益計算結果の表示は年間取引50件以内まで対応しています。取引件数が多い方は有料プランの検討になりますが、まずはクリプタクト公式サイトで無料プランの対応範囲と料金体系を確認するところから始めると、自分の取引規模に見合った選択がしやすくなります。

書籍・セミナー:内容と取引の関連づけがポイント

暗号資産の取引や税務を学ぶための書籍代・セミナー参加費も候補になり得ますが、ここは「取引との関連をどこまで具体的に説明できるか」が問われやすい領域です。たとえば暗号資産の取引手法や税務申告に関する書籍は関連を説明しやすい一方、一般的な経済書や自己啓発書になるほど、取引のために直接要した費用とは言いにくくなります。セミナーについても、参加費そのものと、懇親会費・遠方への旅費のように直接性の薄い部分が混ざりがちです。領収書を分けてもらう、内容の分かる案内ページを保存しておくなど、あとから第三者に説明できる形で記録を残しておくことが大切です。

必要経費として認められにくい支出の例

次に、一般に必要経費としての説明が難しいとされる支出を整理します。共通するのは「生活費と明確に区分できない」「収入との対応関係を説明できない」という点です。

  • 家賃・食費・水道光熱費などの生活費全般:自宅で取引しているからといって、家賃や光熱費の全額が取引のための支出になるわけではありません。所得税法では、生活費(家事費)は必要経費に算入しないこととされており、仕事用と生活用が混在する支出(家事関連費)は、業務や取引に必要な部分を明確に区分できる場合のその部分に限られます。取引の頻度や態様によっては、そもそも区分自体の説明が難しいケースも多いと考えられます。
  • 取引との関係を説明できない旅行・飲食・交際費:「情報交換を兼ねた食事」「視察を兼ねた旅行」のように、目的が曖昧で私的な要素と切り分けられない支出は、収入を得るため直接に要した費用として説明することが難しい典型例です。
  • 生活用と兼用している機器・通信費の全額計上:パソコンやスマートフォン、回線利用料は候補になり得る一方で、全額をそのまま計上することは想定されていません。国税庁FAQでも、回線利用料は取引に係る部分を明確に区分できる場合に限るとされています。
  • 保有中の値下がり(含み損):売却していない仮想通貨の評価額が下がっても、それは支出ではないため必要経費にはなりません。損失の扱いは売却して確定したかどうかで大きく変わります。
  • 税額を減らすことだけを目的にした実態の伴わない支出:使う予定のない機材の購入など、収入との対応関係を説明できない支出は、金額の大小にかかわらず経費としての説明が成り立ちません。

「認められにくい」と書いたのは、最終的な判断が個々の事実関係によるためです。同じ品目でも、取引の規模・頻度・使用実態によって評価は変わり得ます。迷う支出については、計上する・しないを自己判断で押し切るのではなく、根拠資料を持って税務署や税理士に相談することをおすすめします。

按分の考え方:使用割合を合理的に説明できるか

パソコン・スマートフォン・通信費のように生活用と取引用が混在する支出は、「全額か、ゼロか」ではなく「取引のために直接必要な部分はどれだけか」を考えるのが基本です。これがいわゆる按分(家事按分)です。按分に唯一の公式があるわけではありませんが、一般に次のような基準で使用割合を説明する方法が考えられます。

  • 使用時間による按分:1日のうち取引や損益管理に使っている時間の割合を記録し、その割合で通信費などを区分する
  • 使用日数による按分:週のうち取引に使う日数など、カレンダーベースで説明する
  • 用途の実態による区分:取引専用の端末・回線を分けている場合は、その専用分を対象にする

どの方法を採るにしても、大切なのは「なぜその割合なのか」を後から説明できる記録です。取引所へのログイン履歴や取引履歴は取引に使った時間帯の裏づけになりますし、使用時間のメモやスクリーンタイムの記録も補強材料になります。逆に、根拠のない「とりあえず50%」のような割合は、質問を受けたときに説明が行き詰まりやすいものです。割合を決めた日付・考え方・根拠資料をメモとして残しておくと、申告後に問い合わせがあった場合でも落ち着いて対応できます。

もう一点、パソコンなど使用可能期間が1年以上で一定金額を超える資産については、購入した年に全額を計上するのではなく、減価償却として使用可能期間にわたり分割して必要経費にする必要があるとされています。「購入額×使用割合」をそのまま1年分の経費にできるとは限らないため、金額の大きい機器を購入した年は特に、計算方法を国税庁の資料や専門家に確認してから申告に反映してください。

領収書・明細の保存:何を、どれくらい残すか

必要経費の話は、最終的に「支出を証明する資料が手元にあるか」に行き着きます。確定申告書に領収書を添付する場面は基本的にありませんが、提出しないことと保存しなくてよいことは別問題です。申告後に税務署から問い合わせがあった場合、支出の事実・金額・取引との関連を説明する材料は自分で用意する必要があります。残しておきたい資料の例は次のとおりです。

  • 領収書・レシート・請求書(書籍、セミナー、機器購入、ツール利用料など)
  • クレジットカードの利用明細、銀行口座の入出金明細
  • 取引所の取引履歴CSV・年間取引報告書(手数料の裏づけにもなります)
  • 按分割合の根拠メモ(使用時間の記録、割合の決め方)
  • 損益計算の結果と計算過程が分かる資料

保存期間の目安としては、申告内容の確認や更正が行われ得る期間を考えると、申告後も5年程度は手元に残しておくと安心です。紙の領収書は感熱紙だと文字が消えることがあるため、スキャンや撮影でデータ化して取引年ごとのフォルダにまとめておく方法が現実的です。また、取引所の口座を解約すると取引履歴を再取得できなくなる場合があります。経費の裏づけとしても損益計算のためにも、履歴データは申告のタイミングでローカルに確保しておく習慣をつけてください。

よくある質問

Q1. 経費を差し引いた結果、仮想通貨の雑所得がマイナスになったらどうなりますか?

雑所得の計算上生じた赤字は、同じ年の他の雑所得(たとえば別の副収入)と内部で通算できるとされていますが、給与所得など他の所得区分と損益通算することはできません。また、その赤字を翌年に繰り越す仕組みも、雑所得には用意されていません。経費の集計はあくまで実際の支出にもとづいて行い、結果がマイナスになった場合の扱いは申告前に税務署や税理士に確認しておくと確実です。

Q2. マイニングの電気代や機材代も同じように考えてよいですか?

マイニングは「売却」ではなく「取得の時点で所得が生じる」という特有の構造があり、国税庁FAQでもマイニング等に要した費用は所得計算上必要経費に算入されると説明されています。電気代や機材代の按分・減価償却など論点も多いため、詳しくは「マイニング収入の税金と経費の考え方を整理した記事」で解説しています。マイニングをしている方はそちらをあわせてお読みください。

Q3. 領収書をなくした支出は、経費として計上できませんか?

領収書がない場合でも、クレジットカードの利用明細や銀行の振込記録、注文履歴のメールなど、支出の事実と金額、内容を示せる資料があれば説明材料になり得ます。ただし、資料が何もなく金額も内容も裏づけられない支出は、計上しても説明が成り立ちません。日頃から領収書や明細をデータで残す仕組みを作っておくことが、いちばんの対策になります。

Q4. 集計した経費は、確定申告書のどこに入力するのですか?

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、雑所得(その他)の入力画面に「収入金額」と「必要経費」の欄があり、年間の損益計算で集計した数字をそれぞれ転記する形になります。入力画面へのたどり着き方や準備物は「e-Taxでの申告手順を画面ベースで整理した記事」で詳しく解説しています。

Q5. 経費の集計を楽にする方法はありますか?

手数料や譲渡原価のように取引履歴から機械的に拾える部分は、損益計算ツールに任せるのが効率的です。取引所のCSVを取り込めば、譲渡原価と手数料を織り込んだ年間損益が自動計算されるため、自分で集計するのは書籍代や通信費の按分など取引履歴の外にある支出だけになります。無料プランでどこまで対応できるかは取引件数によって変わるので、クリプタクト公式サイトで自分の取引件数が無料プランの範囲に収まるか確認するところから始めてみてください。

まとめ:経費の判断は「直接性」と「説明できる記録」で決まる

仮想通貨の必要経費について、この記事の要点を整理します。

  • 雑所得でも必要経費は差し引ける:国税庁の考え方では、総収入金額を得るため直接に要した費用が必要経費の中心。暗号資産では譲渡原価と売却時の手数料が代表例
  • 候補になり得る支出:売買・送金手数料、損益計算ツール利用料、関連書籍・セミナー、パソコンや通信費の取引に直接必要な部分。いずれも直接性の説明と按分が前提
  • 認められにくい支出:生活費と区分できないもの、取引との関係を説明できないもの、含み損、実態のない支出
  • 按分は根拠が命:使用時間や日数など、割合の決め方をメモと記録で裏づける。高額機器は減価償却の検討も
  • 資料は申告後も保存:領収書・明細・取引履歴・按分メモを5年程度は手元に残す

経費の論点は「何が入るか」のリスト探しになりがちですが、実務の本質は、支出と収入の対応関係を記録で説明できる状態を年間を通じて保つことにあります。取引履歴と領収書を残す仕組みを先に作ってしまえば、申告期の作業は集計と転記だけになります。判断に迷う支出が出てきたら、無理に結論を出さず、資料を持って税務署や税理士に相談してください。

※本記事は情報提供を目的としており、投資や税務の判断を推奨するものではありません。記載の取り扱いは今後の法令改正等により変わる可能性があります。個別の税務判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

Bitcoin Analyze 編集部