税金・確定申告

DeFi・NFT取引の損益計算はなぜ複雑になるのか|スワップ・流動性提供・ガス代の記録問題を整理

※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。記載の内容は2026年8月時点で国税庁の公開情報および各公式サイトを確認した一般的な解説であり、個別の税務判断については税理士または所轄の税務署にご確認ください。

取引所での「日本円で買って日本円で売る」という取引だけなら、損益計算はまだ単純です。しかし、DeFi(分散型金融)やNFTの取引が絡むと、損益計算は一気に複雑になります。

この記事では、DeFi・NFTの損益計算がなぜ難しくなるのか、その構造を分解して整理します。なお、DeFiの一部の取引については税務上の取り扱いが明確に示されていない領域もあります。そうした点は「明確でない場合がある」と正直に記し、断定は避けます。

前提:暗号資産同士の交換も損益が発生する

DeFiの話に入る前に、土台となる考え方を確認します。国税庁のタックスアンサー「No.1524」では、保有する暗号資産を別の種類の暗号資産と交換した場合も課税対象になるとされています。

これは「別の暗号資産を購入するために、保有する暗号資産をいったん売却した」とみなす考え方です。たとえば、日本円で購入したビットコインが値上がりしたタイミングで別のトークンと交換した場合、その時点での含み益が損益として認識されます。

この「交換=譲渡」という考え方が、DeFiの損益計算を難しくする根本原因です。DeFiでは、トークン同士の交換が日常的に、しかも大量に発生するためです。

複雑さの正体①:スワップの回数が多い

DeFiのDEX(分散型取引所)では、トークンAをトークンBに交換する「スワップ」が基本操作になります。前述のとおり、このスワップ一回ごとに損益が発生します。

取引所での売買なら「買った」「売った」という記録が残りますが、DeFiのスワップは次のような特徴があります。

  • 1日に何度もスワップすることがある
  • 少額のスワップが積み重なる
  • 取引の記録がウォレットのトランザクション履歴に散らばっている

そのため、「いつ・何を・いくら分・何と交換したか」を一つひとつ、そのときの時価とともに記録する必要があります。これを手作業で行うのは、取引回数が増えるほど現実的でなくなります。この構造は取引所の履歴でも同様で、複数取引所を使っている場合の突合については取引所別のCSVダウンロード手順まとめで整理しています。

スワップの記録を自動で取り込めるかどうかは、使っているDEXやチェーンによって変わります。クリプタクト公式サイトで対応チェーン・対応サービスを確認すると、自分の取引環境が対象になるかを事前に把握できます。

複雑さの正体②:流動性提供とLPトークン

DeFiには「流動性提供(プール預け入れ)」という仕組みがあります。2種類のトークンをペアでプールに預け、その対価として「LPトークン」を受け取る操作です。

ここで論点になるのは、次のような点です。

  • トークンをプールに預けた時点で「交換」とみなされるのか
  • LPトークンを受け取ったことをどう記録するのか
  • プールから引き出したときにどう計算するのか

これらの取り扱いについては、個別のケースで判断が分かれることがあり、税務上の扱いが明確に定まっていない部分もあります。そのため、流動性提供を行っている場合は、自己判断で処理を確定させる前に、税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。この記事では「こう処理すればよい」という断定はしません。

複雑さの正体③:ガス代(手数料)の扱い

DeFiの取引には「ガス代」と呼ばれるネットワーク手数料がかかります。このガス代を暗号資産で支払うこと自体が、その暗号資産の使用(譲渡)にあたる可能性があります。

また、ガス代を取引の取得原価や必要経費にどう反映するかも論点になります。少額のガス代が取引のたびに発生するため、これを一つひとつ記録するのは手間がかかります。ガス代の具体的な取り扱いについても、判断に迷う場合は専門家への確認が確実です。

複雑さの正体④:NFTの売買と時価評価

NFTの取引も、損益計算の観点では論点が多い領域です。

  • NFTを暗号資産で購入した場合、支払いに使った暗号資産の譲渡損益が発生し得る
  • NFTを売却して暗号資産を受け取った場合、その時点の時価で損益を認識する必要がある
  • NFTの評価額をどう捉えるか(取引価格の把握が難しいケースがある)

NFTは取引価格が個別性が高く、時価の把握そのものが難しい場合があります。この点も、取り扱いが定型化しにくい要因です。

手作業が破綻する理由と、自動化という選択肢

ここまで見てきたように、DeFi・NFTの損益計算は「取引の種類が多い」「一回ごとに時価評価が必要」「記録がウォレットに散らばっている」という三重の難しさを抱えています。取引所の売買だけでも損益計算は複雑になりますが(この構造は損益計算を自動化する方法の記事で解説しています)、DeFi・NFTはさらにその上をいきます。

取得原価の計算方法そのものも、総平均法と移動平均法で結果が変わります。この違いは総平均法と移動平均法を実例で比較した記事にまとめました。DeFi取引ではこの計算を、膨大な数のスワップに対して行うことになります。

ウォレットアドレスから自動で取り込むツール

こうした複雑さに対応するため、ウォレットアドレスを登録することでオンチェーンの取引を自動的に読み取り、DeFi・NFTの取引を識別して損益計算に反映するツールがあります。クリプタクト(Cryptact)は、DeFiやNFTの取引の自動識別に対応していると公式サイトで案内されています(対応範囲や機能は改定されることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください)。

自分の取引がツールの対応範囲に含まれるかは、事前に確認しておくと安心です。クリプタクト公式サイトで対応している取引の種類を確認することから始めるとよいでしょう。

ただし、ツールを使った場合でも、最終的な損益の確定や申告内容の判断は利用者自身の責任になります。特にDeFiの取り扱いが定まっていない領域については、ツールの計算結果をそのまま鵜呑みにせず、必要に応じて税理士に確認することが望ましいといえます。クリプタクト公式サイトで無料プランの範囲を確認すると、まずどこまで自動で計算できるかを把握できます。

まとめ

  • 暗号資産同士の交換(スワップ)は、その都度、損益が発生し得る(国税庁 No.1524)
  • DeFiはスワップの回数が多く、一回ごとの時価記録が必要になる
  • 流動性提供・ガス代・NFTは取り扱いが明確でない論点を含み、自己判断で確定させる前に専門家への確認が望ましい
  • 記録がウォレットに散らばるため手作業は破綻しやすく、ウォレット取り込み型のツールが選択肢になる
  • ツールを使っても、最終的な判断は利用者の責任。不明確な領域は税理士・税務署へ

国税庁の一次情報としては「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」を確認してください。DeFi・NFTの個別の取り扱いについては、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

Bitcoin Analyze 編集部