基礎知識

NFTのロイヤリティの仕組み|二次流通で作者に還元される設計と、その限界

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※本記事は2026年8月時点で各サービスの公開情報を確認した一般的な解説です。仕様や取り扱いは変更されることがあるため、最新の内容は各サービスの公式案内をご確認ください。個別の税務判断については税理士または所轄の税務署にご確認ください。

NFTを作って販売するとき、「一度売れたら終わり」ではなく、その後の転売のたびに作者へ還元が続く仕組みがある、という話を耳にすることがあります。これがロイヤリティと呼ばれる設計です。作品が二次流通市場で評価され、売買が繰り返されるほど、作者にも継続的な還元が発生する、という発想は、NFTがクリエイターにとって魅力的だとされる理由のひとつとして語られてきました。

ただし、この仕組みは思われているほど単純でも、確実でもありません。ロイヤリティが誰の実装によって支えられているのか、なぜ支払われないケースが起きるのか、そして受け取った側の税務がどう扱われるのかは、意外と整理されていない部分です。この記事では、ロイヤリティという設計の基本から、立場ごとに見えている景色の違い、そして現時点での限界までを順番に整理します。

ロイヤリティは「売れるほど作者に返る」という発想

ロイヤリティとは、NFTが二次流通(転売)されたときに、作者などに一定割合が還元される設計のことです。最初の販売(一次流通)で得られる収益は一度きりですが、そのNFTが別の人の手に渡り、さらに転売されるたびに、決められた割合が作者側に戻ってくる、という考え方です。

この発想が注目された背景には、デジタル作品はこれまで複製や再販売によって作者に対価が還元されにくい、という課題がしばしば指摘されてきたことがあります。NFTのロイヤリティは、その二次流通の場面に作者への還元を組み込もうとする試みとして語られてきました。

ただし、後の章で触れるとおり、この還元は自動的に保証されているものではなく、どこで、どのように取引されるかによって、実際に受け取れるかどうかが変わってきます。まずは、ロイヤリティが具体的にどのような仕組みで動いているのかを見ていきます。

仕組み: 誰が支払い、誰が実装しているのか

ロイヤリティが発生する場面は、NFTの二次流通、つまり転売の場面です。あるNFTを購入した人が、それを別の人に売却する際に、売却額の一定割合が作者側に還元される、という流れになります。

ここで重要なのは、この還元を「誰が実行しているか」という点です。多くの場合、還元はマーケットプレイス側の実装によって行われており、ブロックチェーンの規格そのものが強制する仕組みではありません。つまり、NFTを売買する場(マーケットプレイス)が、取引の中でロイヤリティ分を計算し、差し引いて作者側のアドレスに送る、という処理を組み込んでいるからこそ、ロイヤリティが機能しているということになります。

この「場によって実装されている」という性質は、後の章で扱う限界に直結します。二次流通そのものは、作者がどこかに登録して起きるものではなく、購入者同士の取引によって起きるものです。取引がいつ、どこで発生するかという点は、暗号資産の課税タイミングを考えるうえでも整理しておきたい部分で、課税タイミングの一覧もあわせて確認しておくと理解しやすくなります。

立場によって見えているものが違う

ロイヤリティという同じ仕組みでも、作者・購入者・マーケットプレイスのそれぞれの立場から見ると、起きていることも、確認すべきことも変わってきます。簡単に整理すると、次のようになります。

立場 何が起きるか 確認すること
作者 自分が発行したNFTが転売されるたびに、一定割合の還元を受け取れる可能性がある 出品先のマーケットプレイスがロイヤリティを支払う方針か、割合をどこまで設定できるか
購入者(転売する側) 転売時にロイヤリティ分が価格や取引条件に影響することがある 利用するマーケットプレイスがロイヤリティをどう扱っているか、規約や手数料の説明
マーケットプレイス ロイヤリティの計算・徴収・送金を実装するかどうかを自ら選べる立場にある 自社の方針(支払う・任意・支払わない)をどう公開し、利用者に伝えているか

この表からも分かるとおり、ロイヤリティが「ある」ものとして扱われるかどうかは、作者や購入者の意思だけで決まるものではなく、マーケットプレイス側の方針に強く左右されます。次の章では、なぜそのような構造になっているのかを見ていきます。

ブロックチェーンが強制しているわけではないという前提

NFTのロイヤリティについて誤解されやすい点のひとつが、「NFTの規格自体がロイヤリティの支払いを保証している」という理解です。しかし実際には、多くの場合、還元はマーケットプレイス側の実装によって行われており、ブロックチェーンの規格そのものが強制する仕組みではありません。

NFTの規格には、ロイヤリティの割合などの情報を記録しておく仕組みが用意されている場合があります。ただし、その情報を参照して実際に送金処理を行うかどうかは、取引を仲介するマーケットプレイス側の実装次第です。記録された情報を尊重して律儀に還元を行うマーケットプレイスもあれば、その情報を参照しない、あるいは参照するかどうかを利用者が選べるようにしているマーケットプレイスもあります。

この前提を理解しておくと、「NFTを発行してロイヤリティを設定したから、今後は自動的に還元され続ける」という期待は、現実と一致するとは限らないことが見えてきます。実際にどこまで還元されるかは、次の章で扱う構造的な理由によって左右されます。

ロイヤリティが支払われないケースが起きる理由

ロイヤリティを支払わない、または任意とするマーケットプレイスも存在し、実際に受け取れるかは流通した場所に左右されます。これは前章で見たとおり、ロイヤリティの実装がブロックチェーンの規格による強制ではなく、マーケットプレイス側の選択に委ねられていることの直接的な帰結です。

マーケットプレイスにとって、ロイヤリティを徴収する処理を組み込むかどうかは、利用者にとっての取引条件のひとつになります。ロイヤリティを差し引かない、あるいは購入者や販売者が任意で支払うかどうかを選べるようにすることで、取引コストを抑えたい利用者を集めようとする考え方もあり得ますし、逆に作者への還元を重視する方針を打ち出すマーケットプレイスもあり得ます。どちらの方針を採用するかは、サービスごとの判断に委ねられています。

加えて、そもそも二次流通が起きなければ還元も発生しません。作者がロイヤリティを高い割合で設定していたとしても、そのNFTが一度も転売されなければ、還元される機会自体が生まれないことになります。ロイヤリティは「設定すれば得られる収益」ではなく、「二次流通が起きて、かつそれを扱うマーケットプレイスが還元を実装している場合に発生しうる収益」という、条件が重なったときに成立するものだと捉えておくのが実態に近いといえます。

作者側が出品前に確認しておきたいこと

作者としてNFTを発行し、ロイヤリティによる継続的な還元を期待する場合、出品する前にマーケットプレイス側の方針を確認しておくことが欠かせません。確認しておきたい主な点は、次のとおりです。

  • そのマーケットプレイスがロイヤリティの支払いに対応しているか(対応・非対応・任意、のいずれか)
  • ロイヤリティの割合をどこまで自分で設定できるか、上限が設けられているか
  • 自分のNFTが別のマーケットプレイスに出品・転売された場合、そちらでもロイヤリティが適用されるか
  • ロイヤリティの方針がサービス側の規約変更によって将来的に変わる可能性があるかどうか

割合は作者が設定できる形が一般的ですが、上限や扱いはサービスにより異なります。設定できる数値を大きくすればするほど有利になるとは限らず、割合が高すぎることで購入や転売そのものが敬遠される可能性も考えられます。どの程度の割合が現実的かは個別の判断になりますが、まずは出品先の方針を確認したうえで検討する流れになります。

また、ロイヤリティによる収益は、NFTを発行して販売する側にとっての収益の一部でもあります。発行・販売にともなう税務の扱いについては、NFTを発行して売る側の税金で整理していますので、あわせて確認しておくと全体像をつかみやすくなります。

購入者側にとってロイヤリティが持つ意味

購入者の立場から見ると、ロイヤリティは直接自分が受け取るものではありませんが、無関係というわけでもありません。ロイヤリティが差し引かれる仕組みのマーケットプレイスで転売する場合、その分は取引条件や実質的な手取り額に影響することがあります。将来そのNFTを転売する可能性を考えるなら、購入時点で利用するマーケットプレイスのロイヤリティの扱いを把握しておく意味があります。

また、これからNFTを購入しようとしている人にとっては、ロイヤリティの有無や割合が、その作品・そのマーケットプレイスの取引条件のひとつとして価格に影響している可能性がある、という理解も持っておくとよいでしょう。初めてNFTを購入する際の具体的な手順は、NFTを初めて買う手順にまとめています。

ここで注意しておきたいのが、NFTの価格そのものが変動しやすいという点と、二次流通が起きるとは限らないという点です。ロイヤリティは二次流通が起きて初めて意味を持つ仕組みであり、購入したNFTの価格が下がったり、買い手が見つからず転売自体が成立しなかったりする可能性は、ロイヤリティの有無にかかわらず存在します。ロイヤリティの設計だけを理由に購入や発行を判断するのではなく、価格変動や流通性そのもののリスクとあわせて考える姿勢が必要です。

ロイヤリティの税務は、まだ未確定な部分がある

作者としてロイヤリティを受け取った場合、その所得をどう扱うかは気になるところです。ですが、受け取ったロイヤリティの所得区分や認識時点については明確に示されていない部分があり、現時点では税理士や所轄の税務署への確認が前提になります。

暗号資産やNFTの取引全般について、いつの時点で課税対象となる所得が発生したと考えるかという論点は、ロイヤリティに限らず整理が難しい分野です。二次流通のたびに発生する還元をどのタイミングでどう扱うかは、通常の売買による損益とは性質が異なる面もあり、個別の判断が必要になります。損益計算の考え方全般についてはDeFi・NFTの損益計算でも整理していますが、ロイヤリティ収入特有の扱いについては、この記事や一般的な情報だけで断定せず、専門家に確認しながら進めることをおすすめします。

税務の扱いが未確定な部分を含むからといって、記録を残さなくてよいということにはなりません。むしろ、いつ、いくらのロイヤリティを受け取ったかという記録は、後から税理士に相談する際にも、税務署に説明を求められた際にも役立ちます。受け取りのたびに日時と金額(受け取った時点での評価額)を記録しておく習慣をつけておくと安心です。

よくある質問

NFTを発行してロイヤリティを設定すれば、転売のたびに還元されますか

そうとは限りません。多くの場合、還元はマーケットプレイス側の実装によって行われており、ブロックチェーンの規格そのものが強制する仕組みではないためです。ロイヤリティを支払わない、または任意とするマーケットプレイスも存在するため、実際に受け取れるかどうかは、そのNFTがどこで転売されたかに左右されます。

ロイヤリティの割合は誰が、どのように決めますか

割合は作者が設定できる形が一般的ですが、上限や扱いはマーケットプレイスによって異なります。設定できる数値の範囲や、後から変更できるかどうかも含めて、出品先の仕様を個別に確認する必要があります。

受け取ったロイヤリティは確定申告が必要ですか

受け取ったロイヤリティの所得区分や認識時点については明確に示されていない部分があります。一般的には何らかの所得として扱われる可能性を念頭に置きつつ、具体的な申告の要否や区分については、税理士または所轄の税務署に確認することをおすすめします。

自分のNFTが一度も転売されなかった場合、ロイヤリティはどうなりますか

二次流通が起きなければ還元も発生しません。ロイヤリティはあくまで転売が実際に発生した場合に生まれる可能性のある収益であり、一次販売の時点で確定するものではない点に注意が必要です。

まとめ

  • ロイヤリティは、NFTが二次流通(転売)されたときに作者などへ一定割合が還元される設計のこと
  • 多くの場合、還元はマーケットプレイス側の実装によるものであり、ブロックチェーンの規格そのものが強制しているわけではない
  • ロイヤリティを支払わない、または任意とするマーケットプレイスもあり、受け取れるかどうかは流通した場所次第
  • 割合は作者が設定できる形が一般的だが、上限や扱いはサービスにより異なる
  • 二次流通が起きなければ、ロイヤリティによる還元も発生しない
  • 受け取ったロイヤリティの所得区分・認識時点は明確に示されていない部分があり、税理士・税務署への確認が前提になる

本記事は一般的な情報提供です。仕様や取り扱いは各サービスの公式案内をご確認ください。個別の税務判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。暗号資産・NFTは価格変動が大きく、投資判断はご自身の責任でお願いします。

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