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※本記事は2026年8月時点で公開情報を確認した一般的な解説です。仕様や対応状況は変更されることがあるため、最新の内容は各サービスの公式案内をご確認ください。
暗号資産のウォレットアドレスは、英数字を組み合わせた長い文字列で構成されており、人が目で見て正確に読み書きするのには向いていません。送金のたびにこの文字列をコピー&ペーストすることになり、一文字でも入力を誤ると、その送金は取り消せません。
こうした課題を背景に登場したのが、長いウォレットアドレスの代わりに、覚えやすい名前を割り当てる「Web3ドメイン」と呼ばれる仕組みです。便利になる一方で、対応していないサービスがあったり、名前ならではの新しいリスクも存在します。この記事では、Web3ドメインの基本的な仕組みから、押さえておきたい注意点までを整理します。
- 長いアドレスを名前にするという発想
- 仕組み:NFTとして発行・管理される
- できること・できないことの整理
- 対応・非対応の差が事故につながる
- よく似た名前による誤送金のリスクと確認方法
- 有効期限と更新忘れに注意する
- 売買した場合は損益計算の対象になり得る
- よくある質問
- まとめ
長いアドレスを名前にするという発想
銀行振込であれば、口座番号を入力する際に金融機関側である程度の整合性チェックが働きますが、暗号資産の送金では、入力したアドレスが正しいかどうかの確認は基本的に送る側に委ねられています。長い英数字の羅列を一文字も間違えずに扱い続けることは、決して簡単な作業ではありません。
Web3ドメインは、こうした長いウォレットアドレスの代わりに、覚えやすい名前を割り当てる仕組みの総称です。「名前.〇〇」のような形式で表示されることが多く、対応しているウォレットやサービスであれば、この名前を入力するだけで元のウォレットアドレスに変換して送金先を指定できます。人が読み書きしやすい形にすることで、コピー&ペーストの手間や入力ミスの機会を減らそうという発想がベースにあります。
ただし、名前という分かりやすさは、後述するように新しい種類の間違いや落とし穴も生みます。まずは仕組みの部分から確認していきます。
仕組み:NFTとして発行・管理される
Web3ドメインは、技術的にはNFT(非代替性トークン)として発行・管理される形が一般的です。NFTは、ブロックチェーン上でひとつひとつが区別できるトークンで、誰がどのトークンを保有しているかという記録が残ります。Web3ドメインの場合、この記録によって「その名前を保有しているのは誰か」が管理されている形です。
NFTとして発行されているということは、通常のNFTと同じように、保有しているウォレットから別のウォレットへ移転したり、第三者に売却したりできるという意味でもあります。NFTの取得や取引全般の基本的な流れについては、NFTを初めて買うときの手順もあわせて確認しておくと理解しやすくなります。
名前を取得すると、そのウォレットのアドレスとひも付けて登録することができ、対応しているサービス側がこの登録情報を参照することで、名前からアドレスへの変換(名前解決)が行われます。逆にいえば、この登録・参照の仕組みに対応していないサービスでは、名前を入力しても送金先としては認識されません。この点は次の章で詳しく整理します。
できること・できないことの整理
Web3ドメインについて、できることと、その前提になる「できないこと」を簡単に整理すると、次のようになります。
| 項目 | できること | 前提・できないこと |
|---|---|---|
| 送金先の指定 | 対応しているウォレット・サービスでは、名前を入力するだけで送金先を指定できる | 対応していないサービスでは名前解決が働かず、従来どおりウォレットアドレスの入力が必要になる |
| 保有・表示 | 取得した名前はNFTとして自分のウォレットで保有・表示できる | 取得しただけで、自動的にすべてのサービスに反映されるわけではない |
| 売買・移転 | 他のウォレットへの移転や、第三者への売却ができる | 移転・売却すると、それまでの保有者はその名前を使えなくなる |
| 継続利用 | 有効期限内に更新すれば、引き続き同じ名前を利用できる | 更新を怠ると失効し、第三者が新たに取得できる状態になることがある |
表からも分かるとおり、Web3ドメインは「持っていれば自動的にどこでも使える」ものではなく、対応状況や有効期限といった前提を理解したうえで使う仕組みです。次の章から、それぞれの注意点を詳しく見ていきます。
対応・非対応の差が事故につながる
Web3ドメインの名前解決は、対応しているウォレットやサービスでのみ働きます。対応していないサービスでは、名前を入力欄に貼り付けても送金先として認識されないだけで済めばよいのですが、挙動はサービスによって異なる可能性があります。
複数の取引所やウォレットを使い分けている場合、「いつも使っているサービスでは名前で送金できたから、別のサービスでも同じだろう」という思い込みが事故のきっかけになりがちです。送金する前には、利用しているサービスがWeb3ドメインの名前解決に対応しているかどうかを、その都度確認する姿勢が必要です。送金先の確認手順そのものについては、送金前の確認手順も参考にしてください。
たとえば、普段利用しているウォレットでは名前を入力するだけで送金できていたとしても、別の取引所やサービスに切り替えたときに同じ操作ができるとは限りません。入力欄に名前を貼り付けても送金が先に進まない場合は、そのサービスがWeb3ドメインの名前解決に対応しているかどうかをまず確認し、対応していないときは元のウォレットアドレスを確認したうえで入力し直す必要があります。
また、ウォレットを新しいサービスに接続する場面でも、対応状況についての思い込みは同じようなリスクにつながります。接続する前の基本的な確認事項は、ウォレット接続の安全確認にまとめています。
よく似た名前による誤送金のリスクと確認方法
名前を送金先として使えるようになったことで、新たに注意すべきリスクも生まれています。よく似たつづりの名前を用意しておき、本来の送金先と誤認させて送金させようとする手口が指摘されています(一般論)。長いアドレスであれば先頭と末尾を見比べるといった確認ができますが、名前は見た目が似ているかどうかの判断がかえって難しい場合があります。
確認の基本になるのは、次のような点です。
- 送金先の名前を、自分が普段やり取りしている相手から直接受け取ったものかどうかを確認する
- 名前解決された結果のウォレットアドレスを、可能であれば送金前に表示させて見比べる
- 初めて送る相手や久しぶりに送る相手には、まず少額で試してから残りを送る
こうした確認は、一般的なフィッシング対策とも重なる部分が多くあります。基本的な考え方はフィッシング対策の基本にまとめているので、あわせて確認しておくことをおすすめします。名前という分かりやすい見た目こそが、確認を省略させる方向に働きやすい点には注意が必要です。
特に、SNSや過去のメッセージ履歴に貼り付けられたままの名前を、確認しないまま繰り返し使い回すことは避けたほうが安全です。相手から直接受け取った情報かどうかを、そのつど見直す習慣が事故を防ぐ基本になります。
有効期限と更新忘れに注意する
Web3ドメインの多くは、一度取得すればずっと自分のものになるわけではなく、有効期限が設定されています。期限が近づいたら更新の手続きを行うことで、引き続き同じ名前を使い続けることができます。
問題は、更新を忘れた場合です。有効期限が切れると名前は失効し、その後は第三者が新たに同じ名前を取得できる状態になることがあります。過去に取引先へ伝えていた名前が失効後に別の人へ渡ってしまうと、その名前を知っている相手が新しい取得者のウォレットへ誤って送金してしまう可能性も考えられます。
また、取得や更新の手続きには、その都度ネットワーク手数料がかかります。更新の周期や手数料の水準はサービスによって異なるため、取得時に確認しておき、期限が近づいたら通知を受け取れる設定にしておくといった対策が現実的です。
有効期限や更新のタイミングは、取得したサービスのアカウント画面やお知らせメールなどで確認できることが一般的です。複数のWeb3ドメインを取得している場合は、それぞれの有効期限を一覧にして記録しておくと、更新のタイミングを見落としにくくなります。
売買した場合は損益計算の対象になり得る
Web3ドメインはNFTとして発行されているため、取得や売却は暗号資産を使った取引にあたります。そのため、取得時と売却時の状況によっては、損益計算の対象になり得る点も押さえておく必要があります。
具体的にどのタイミングでどう計算するかは、個別の取引内容や税制によって異なるため、この記事では断定的な計算方法には触れません。取得・保有・売却の履歴をそのつど記録しておき、実際の計算にあたっては税務署や税理士に確認することをおすすめします。
取得した名前を一定期間保有したあとに売却する場合や、複数のWeb3ドメインをまとめて取引する場合は、取得日・売却日・そのときの状況をあわせて記録しておくことが、後から履歴を振り返るときの助けになります。
NFTの取引履歴の残し方や基本的な流れは、NFTを初めて買う手順でも触れているので、Web3ドメインを取得する前に目を通しておくと、記録の残し方をイメージしやすくなります。
よくある質問
Web3ドメインを取得すれば、どのサービスでも名前で送金できますか
いいえ。名前解決に対応しているウォレットやサービスでのみ機能します。対応していないサービスでは、従来どおりウォレットアドレスの入力が必要です。利用する前に、そのサービスが対応しているかどうかを確認してください。
Web3ドメインは誰でも取得できますか
すでに他の人が取得済みの名前でなければ、基本的には申し込みができます。取得や更新にはネットワーク手数料がかかる点や、有効期限が設定されている点は共通しています。詳しい条件は利用するサービスの公式案内で確認してください。
更新を忘れて失効した名前は取り戻せますか
失効後は第三者が新たに取得できる状態になることがあるため、取り戻せるとは限りません。有効期限が近づいたタイミングで通知を受け取れるように設定しておくなど、更新を忘れない仕組みを事前に用意しておくことをおすすめします。
名前で送金する場合でも、送金前の確認は省略してよいですか
省略はおすすめできません。よく似た名前を使って送金先を誤認させる手口が指摘されており、名前という分かりやすい表示が、かえって確認を省略させる方向に働くことがあります。可能であれば名前解決された先のウォレットアドレスも見比べ、初めての相手には少額から試すといった手順を踏むことをおすすめします。
まとめ
- Web3ドメインは、長いウォレットアドレスの代わりに使える、覚えやすい名前を割り当てる仕組み
- 技術的にはNFTとして発行・管理され、保有・移転・売買ができる
- 名前解決が働くのは対応しているウォレット・サービスに限られ、非対応の場所では従来どおりアドレスが必要になる
- よく似た名前による誤送金のリスクがあるため、送金前の確認は省略しない
- 多くは有効期限があり、更新を怠ると失効して第三者が取得できる状態になることがある
- 取得・売却は損益計算の対象になり得るため、履歴の記録と専門家への確認をおすすめする
本記事は一般的な情報提供です。仕様や対応状況は各サービスの公式案内をご確認ください。暗号資産は価格変動が大きく、投資判断はご自身の責任でお願いします。