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※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。記載の内容は2026年8月時点で国税庁の公開情報および各公式サイトを確認した一般的な解説であり、個別の税務判断については税理士または所轄の税務署にご確認ください。
「インパーマネントロスがある」と説明されても、それが具体的に何円くらいの差なのかが分からなければ、リスクとしてどう扱えばよいか判断しづらいものです。この記事では、流動性プールに資産を預けている間に資産価値がどのように変化するのかを、実際の数字を使って確認していきます。あわせて、手数料収入との関係や、引き出しのタイミングによる違い、税務上どこまでが分かっている情報なのかも整理します。
- 「損」と言われてもピンとこないので、まず数字で見る
- AMMの仕組み:価格が動くとプール内の数量が入れ替わる
- 具体的な数値例で確認する
- 手数料収入と差し引きして考える
- 差は引き出した時点で確定する
- 税務上の論点は未確定な部分がある
- 計算が複雑になるからこそ、記録を自動化する
- よくある質問
「損」と言われてもピンとこないので、まず数字で見る
インパーマネントロス(日本語では変動損失と呼ばれることがあります)とは、分散型取引所(DEX)の流動性プールに2種類の資産を預けている間に、その2資産の価格比が変わることで、そのまま保有していた場合と比べて資産価値が目減りする現象のことです。
この説明だけでは、10万円をプールに預けた場合に何円の差になるのか、感覚をつかむのは難しいと思います。プールに資産を預けて得られる利回り全体のリスクはイールドファーミングのリスクを整理した記事でも取り上げていますが、この記事ではインパーマネントロスの部分だけを取り出して、仕組みと金額の両方から確認していきます。
AMMの仕組み:価格が動くとプール内の数量が入れ替わる
多くのDEXの流動性プールは、AMM(自動マーケットメーカー)と呼ばれる仕組みで価格を決めています。中でも広く使われているのが「定数積」と呼ばれる方式で、プールに預けられた2資産の残高をかけ合わせた値が、取引が行われても常に一定になるよう、価格が自動的に調整される仕組みです。
たとえば、プールにトークンAとトークンBが預けられているとします。誰かがトークンAを買うと、プール内のトークンAの残高は減り、代わりにトークンBの残高が増えます。残高をかけ合わせた値を一定に保つ必要があるため、トークンAの残高が減るほど、1枚あたりの価格は上がっていく形になります。
ここが定数積AMMのポイントです。外部の市場価格が変動すると、裁定取引(アービトラージ)によって、プール内に置かれている資産の枚数そのものが自動的に入れ替わります。値上がりした資産はプール内での枚数が減り、相対的に値下がりした資産は枚数が増えます。流動性を提供した人は、この「枚数が入れ替わったあとの資産」を保有していることになります。
こうした値付けの方式は、注文をマッチングさせて価格を決める中央集権型取引所(CEX)とは仕組みが異なります。両者の違いはDEXとCEXの違いを整理した記事にまとめています。
具体的な数値例で確認する
ここからは、仕組みを理解するための仮の数値例です。実在のサービスやプールの数値ではなく、計算のために自分で設定した仮定の数字である点にご注意ください。
トークンAの価格を1枚100円、トークンBの価格を1枚10円と仮定します。等価値になるよう、トークンAを10枚(1,000円分)、トークンBを100枚(1,000円分)、あわせて2,000円分を流動性プールに預けたとします。
預け入れ時のトークンAの枚数(10枚)とトークンBの枚数(100枚)をかけ合わせた値は1,000です。定数積AMMでは、その後どれだけ価格が動いても、プール内の残高をかけ合わせた値は1,000のまま変わりません。
その後、トークンAの価格だけが2倍の1枚200円に上がり、トークンBの価格は1枚10円のまま変わらなかったとします。かけ合わせた値を1,000に保ったまま新しい価格比に対応させると、プール内の枚数は次のように変化します。
| 項目 | 預け入れ時 | 価格変動後(プールに預けたまま) | 価格変動後(そのまま保有していた場合) |
|---|---|---|---|
| トークンAの価格 | 100円 | 200円 | 200円 |
| トークンBの価格 | 10円 | 10円 | 10円 |
| トークンAの枚数 | 10枚 | 約7.07枚 | 10枚(変わらず) |
| トークンBの枚数 | 100枚 | 約141.42枚 | 100枚(変わらず) |
| 資産価値の合計 | 2,000円 | 約2,828.43円 | 3,000円 |
プールに預けたままの資産価値は約2,828.43円、そのまま保有していた場合の資産価値は3,000円になり、その差は約171.57円です。これが、この価格変動によって生じるインパーマネントロスにあたります。比率で見ると、保有していた場合に対して約5.7パーセント少ない計算になります。
トークンAの枚数が7.07枚のような端数になるのは、残高をかけ合わせた値を一定に保ちながら新しい価格比に対応させる計算に、平方根が入ってくるためです。実際のプールでも、価格が動くたびにこうした端数の調整が連続的に起きています。
手数料収入と差し引きして考える
流動性プールに資産を預けると、そのプール内で取引が行われるたびに、手数料の一部が流動性提供者に配分される仕組みが一般的です。先ほどの例で生じた約171.57円のインパーマネントロスは、この手数料収入によって相殺される可能性があります。最終的な損益は、インパーマネントロスと手数料収入や報酬を差し引きして初めて決まります。
資産を預けていた期間の手数料収入を3パターンで比較すると、次のようになります。
| 期間中の手数料収入(仮定) | インパーマネントロス | 差し引き損益 | 保有していた場合との比較 |
|---|---|---|---|
| 250円 | 171.57円 | プラス78.43円 | プールに預けた方が有利 |
| 150円 | 171.57円 | マイナス21.57円 | 保有していた方がわずかに有利 |
| 50円 | 171.57円 | マイナス121.57円 | 保有していた方が大きく有利 |
この表のとおり、インパーマネントロスは、それだけで損失が確定する数字ではありません。手数料収入と比較して、初めて損益の方向が決まる差です。手数料収入が上回れば、プールに預けていた方が有利になりますし、下回れば保有していた方が有利だったことになります。なお、プールへの預け入れや引き出しにはネットワーク手数料(ガス代)もかかり、この分も差し引いて考える必要があります。仕組みはガス代の仕組みを解説した記事で取り上げています。
差は引き出した時点で確定する
インパーマネントロスの「インパーマネント(Impermanent、非永続的)」という名前は、価格比が預け入れ時の水準に戻れば、資産価値の差も解消するという性質に由来します。プールに預けたままであれば、含み損の状態と含み益の状態を行き来する可能性があります。
ただし、この差はプールから資産を引き出した時点で確定します。価格比が戻らないまま引き出せば、その時点の枚数と価格で資産価値が固定され、それまでの含み損はそのまま実現した差になります。反対に、引き出す前に価格比が預け入れ時の水準へ戻れば、差は解消されます。プールに預け続けるか引き出すかは、今後の価格の動きをどう考えるかによって判断が変わる部分です。
税務上の論点は未確定な部分がある
流動性プールへの資産の預け入れや引き出しについて、税務上どのタイミングで課税対象になるのかは、明確に整理されていない論点が残っています。預け入れの時点でトークンを別の資産(LPトークンなど)に交換したとみなすのか、引き出し時点で初めて損益を認識するのかなど、取引の実態によって判断が分かれる可能性があります。
国税庁は、暗号資産の取引によって利益が生じた場合の課税関係について一般的な考え方を公開しています(国税庁 No.1524)。ただし、流動性提供に特有の論点まですべてが明文化されているわけではないため、個別の取引をどう扱うかは、税理士または所轄の税務署に確認したうえで判断することが前提になります。DeFi取引全体の損益計算がなぜ複雑になりやすいかは、DeFi・NFTの損益計算を整理した記事にまとめています。
計算が複雑になるからこそ、記録を自動化する
ここまで見てきたとおり、インパーマネントロスを正確に把握するには、預け入れ時と引き出し時それぞれの枚数・価格・手数料収入を、すべて記録しておく必要があります。プール内の枚数は価格が動くたびに連続的に変化するため、手作業での追跡には手間がかかります。
クリプタクト(Cryptact)は、DeFi取引の自動識別に対応していると案内しているツールです。ウォレットを連携することで、プールへの預け入れ・引き出しを含めた取引履歴を取り込める仕組みになっています。→ クリプタクトでDeFi取引の自動識別に対応しているか公式サイトで確認する
無料プランでは、年間の取引が50件以内であれば結果表示まで利用できると案内されています。プールへの出し入れの回数が少ないうちは、まず無料プランで自分の取引を取り込んでみると、記録の手間がどれくらい減るかを確認できます。→ クリプタクト公式サイトで無料プランの範囲を確認する
年間の取引が50件を超える場合は有料プランが必要になり、Basicプランは年額6,600円から用意されています。プールへの出し入れが増えるほど取引件数も増えていくため、自分の取引頻度に合ったプランかどうかは事前に確認しておくと安心です。→ クリプタクトの料金プランを公式サイトで見る
なお、流動性プールへの資産の預け入れは、インパーマネントロス以外にも、スマートコントラクトの不具合や運営側の不備などによって資金を失うおそれがある行為です。仕組みを理解したうえで、失っても生活に影響のない範囲で判断することが大切です。
よくある質問
インパーマネントロスが発生すると、実際にお金が引き落とされるのですか?
プールから直接お金が引き落とされるわけではありません。インパーマネントロスは、そのまま保有していた場合と比べた資産価値の差であり、プールに預けている間の資産価値そのものがマイナスになるわけではない点に注意が必要です。ただし、引き出した時点でその差が確定することは、この記事の中で説明したとおりです。
価格が下がった場合もインパーマネントロスは発生しますか?
発生します。インパーマネントロスは、2資産の価格比が預け入れ時から変わること自体が原因となるため、どちらの資産が値上がりしても値下がりしても発生する可能性があります。価格比の変化が大きいほど、差も大きくなる関係にあります。
手数料収入が多ければ、インパーマネントロスは気にしなくてよいですか?
この記事で示した表のとおり、手数料収入がインパーマネントロスを上回れば、結果としてプールに預けていた方が保有していた場合より有利になることがあります。ただし、将来の手数料収入や価格変動を事前に正確に見積もることは難しいため、収入が上回る保証があるわけではない点は踏まえておく必要があります。
自分のプール預け入れがインパーマネントロスになっているかは、どうすれば確認できますか?
預け入れ時点の枚数・価格と、現在または引き出し時点の枚数・価格を比較すれば計算できますが、価格が動くたびに枚数も変わるため、手作業での追跡は手間がかかります。DeFi取引の自動識別に対応したツールで記録を残しておくと、あとから損益を確認しやすくなります。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。DeFiの利用には資金を失うリスクがあり、暗号資産は価格変動が大きい資産です。投資判断はご自身の責任でお願いします。
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