税金・確定申告

暗号資産の税制改正はどこまで議論されたか|2026年時点の一次情報で整理

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2026年8月時点で、日本の居住者が暗号資産の売却や交換によって得た所得は、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象として扱われています。所得税の税率は課税所得の大きさに応じた5%から45%の超過累進税率で、これに住民税がおおむね10%加わります。

一方、上場株式や投資信託の譲渡益は申告分離課税で、所得税15%と住民税5%に復興特別所得税を含めて20.315%です。暗号資産の税制をめぐって20%という数字が繰り返し語られるのは、この株式等と同じ課税方式に揃えるべきだという要望が続いているためです。

ただし、要望が出ていることと、法律が改正されたことは別の事実です。本記事では、どこまでが確定した制度で、どこからが検討の途中なのかを、読者が自分で公表資料に当たれる形に切り分けて整理します。

2026年8月時点で確定している課税の枠組み

最初に、現在の法令で確定している部分を確認します。暗号資産の取引で生じた所得は、事業として行っている場合などを除き、所得税法上の雑所得に区分されます。雑所得は総合課税なので、給与所得など他の総合課税の所得と合算したうえで税率が決まります。ここは要望や報道とは無関係に、2026年8月時点で動いていない部分です。

所得が確定するタイミング

課税の対象になるのは、保有しているだけの含み益ではなく、原則として次のような場面で確定した損益です。暗号資産を日本円などの法定通貨に売却したとき、ある暗号資産を別の暗号資産に交換したとき、暗号資産で商品やサービスの代金を支払ったとき、マイニングやステーキングなどで新たに暗号資産を取得したときです。とくに暗号資産同士の交換は、日本円が動いていなくても損益が確定する点で誤解が生じやすい部分です。

申告が必要になる金額の基準

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、給与以外の所得の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。ただしこれは所得税についての取扱いであり、住民税には同じ基準がないため、市区町村への住民税の申告は別途必要になります。

給与を受けていない場合は、基礎控除48万円が判断の目安になります。所得が基礎控除の範囲に収まっていれば所得税は生じません。給与所得者の場合は、これに給与所得控除の最低額55万円が加わるため、合計103万円という数字が出てきます。いずれも控除の内訳を分けて理解しておくと、20万円という基準との混同を避けられます。

なお、雑所得の損失は給与所得や事業所得と損益通算できず、翌年以降への繰越しもできません。この点は、株式等の譲渡損失が3年間繰り越せることとの大きな違いで、税制改正の要望が出ている理由のひとつでもあります。計算方法の全体像は仮想通貨の税金ガイドにまとめています。

20%という数字はどこから出てきたのか

20%という数字は、法律に書かれた税率ではなく、要望書で示されてきた目標値です。日本暗号資産取引業協会をはじめとする業界団体は、毎年の税制改正要望として、暗号資産の所得を申告分離課税とし税率を20%とすること、損失の3年間の繰越控除を認めること、暗号資産同士の交換時点では課税せず法定通貨に換えた時点で課税する方式に改めることなどを求めてきました。

また、金融庁も所管官庁として税制改正要望を取りまとめる立場にあり、暗号資産の課税のあり方が要望項目に含まれた年があります。さらに金融審議会の場では、暗号資産を資金決済法の枠組みから金融商品取引法の枠組みへ移すことを含めた制度全体の見直しが議論されてきました。

重要なのは、これらがすべて要望と検討の段階であり、2026年8月時点で所得税法や租税特別措置法が改正されて暗号資産の所得が申告分離課税に移行した事実はない、という点です。要望書の公表、報告書の取りまとめ、税制改正大綱への記載、法案の提出、国会での成立、施行という段階のうち、どこまで進んだのかを分けて読む必要があります。制度は変わりうるため、最新の状況は各機関の公表情報で確認してください。

決まっていること、議論されていること、決まっていないこと

ここまでの内容を状態ごとに整理すると、次のようになります。

区分 内容 確認できる資料
決まっていること 暗号資産の所得は原則として雑所得で総合課税。他の所得区分との損益通算と翌年以降への繰越控除は認められていない。給与所得者の20万円という基準、基礎控除48万円、給与所得控除の最低額55万円は現行どおり 国税庁が公表する暗号資産に関する税務上の取扱いの資料および質疑応答
議論されていること 申告分離課税への移行、税率20%、損失の3年間の繰越控除、暗号資産同士の交換時の課税繰り延べ、資金決済法から金融商品取引法への位置づけの変更 業界団体の税制改正要望書、金融庁の公表資料、金融審議会の配布資料と議事録
決まっていないこと 対象となる暗号資産の範囲、レンディングやステーキングで得た所得の扱い、損益通算を認める相手方の範囲、適用開始時期と経過措置の内容 確定した公表資料は存在しない。報道と要望書を区別して読む必要がある

この表の右の列にあるとおり、決まっていない項目には対応する根拠資料が存在しません。根拠資料を示せない話は、決定事項ではなく見通しとして扱うのが安全です。

一次資料で現在地を確認する手順

税制の現在地は、次の順番で確認すると短時間で把握できます。

  1. 国税庁のサイトで暗号資産に関する税務上の取扱いを探し、雑所得という区分と計算方法が現時点でどう書かれているかを確認します
  2. 金融庁の暗号資産関係ページで、制度の見直しに関する公表資料や金融審議会の資料が出ていないかを確認します
  3. 日本暗号資産取引業協会の公表資料で、直近の税制改正要望に何が書かれているかを読み、それが要望であることを前提に内容を把握します
  4. 報道記事を読む場合は、そこで引用されている一次資料の名称を探し、名称が示されていない情報は決定事項として扱わないようにします
  5. 要望の提出、与党の税制改正大綱、法案の提出と成立、施行という段階のどこまで進んでいるかを、年度ごとに確認します

この手順を年に数回繰り返すだけで、断片的な見出しに振り回されずに状態を追えます。実際の申告作業に関する情報は税金・確定申告カテゴリにまとめています。

仮に制度が動いた場合に論点となる周辺項目

課税方式が変わる場合、税率だけが変わって他はそのまま、という形にはなりにくい構造があります。あらかじめ論点を知っておくと、見出しだけで判断せずに済みます。

対象範囲の線引き

暗号資産と一口に言っても、交換業者で取り扱われている銘柄、分散型の仕組みでのみ流通する銘柄、ステーブルコイン、電子記録移転権利に該当するものなど、法的な位置づけは同じではありません。どこまでを新しい課税方式の対象にするのかは、それ自体が独立した論点です。

記録と計算の負担

課税方式がどうなっても、取得価額と売却価額の記録が必要である点は変わりません。取引履歴は交換業者から取得でき、たとえばコインチェックのような登録業者では年間の取引報告書が提供されます。取引が複数の場所に分散している場合は、クリプタクトのような損益計算ツールを使う方法もあります。制度の議論とは切り離して、記録を残す作業は先に進めておけます。

よくある質問(FAQ)

2026年8月時点で、暗号資産の税率は20%になっていますか

なっていません。2026年8月時点で暗号資産の所得は原則として雑所得に区分され、総合課税の対象です。20%という数字は業界団体などの要望で示されてきた目標値であり、所得税法や租税特別措置法の改正によって申告分離課税へ移行した事実はありません。最新の状況は国税庁と金融庁の公表情報で確認してください。

暗号資産同士を交換しただけでも申告が必要ですか

現行の取扱いでは、暗号資産を別の暗号資産に交換した時点で損益が確定するものとして扱われます。日本円を経由していなくても、交換時の時価と取得価額の差が所得の計算に入ります。交換時点での課税を見直すことは要望の項目に含まれていますが、2026年8月時点で取扱いは変わっていません。

年間の利益が20万円以下なら何もしなくてよいのですか

所得税の確定申告については、給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる場合に限り、給与以外の所得が20万円以下であれば不要とされています。ただし住民税には同じ基準がないため、市区町村への申告は別途必要です。また医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の所得も申告書に含めることになります。

損失が出た年は、翌年の利益と相殺できますか

現行制度では相殺できません。雑所得の損失は他の所得区分と損益通算できず、翌年以降への繰越控除も認められていません。同一年内であれば、他の雑所得との内部的な通算は可能です。3年間の繰越控除を認めることは要望の項目に含まれていますが、2026年8月時点で制度化されていません。

制度の状態を追い続けるための見方

暗号資産の税制は、要望、検討、大綱、法案、成立、施行という段階を踏んで動きます。見出しだけを追うと、要望の段階の内容が決定事項のように見えてしまうことがあります。情報に触れたときは、それがどの段階の話で、根拠となる公表資料の名称は何かを確認する習慣が有効です。

これから取引を始める段階であれば、制度の議論よりも先に、取引履歴の保存方法と計算の考え方を押さえておくほうが実務的です。基本的な流れは仮想通貨の始め方ガイドで確認できます。制度は変わりうるため、最新の情報は各機関の公表情報で確認してください。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

判断に迷う部分は、税理士への相談も選択肢になります。スキルマーケット「ココナラ」で確定申告の相談相手を探す(PR)。最終的な申告内容の判断はご自身の責任となるため、所轄の税務署への確認と併せてご検討ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

Bitcoin Analyze 編集部

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