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※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。記載の内容は2026年8月時点で国税庁の公開情報および各公式サイトを確認した一般的な解説であり、個別の税務判断については税理士または所轄の税務署にご確認ください。
取引所の注文履歴を見返していて、「同じ銘柄を同じ数量だけ売買したのに、手数料の金額が違う」と気づいたことはないでしょうか。入力ミスでも、取引所側のエラーでもありません。多くの場合、その差はメイカー・テイカーという注文の性質の違いから生まれています。
この記事では、メイカーとテイカーがそれぞれ何を指すのか、どの注文がどちらに分類されるのか、そして手数料の差が積み重なるとどれくらいのコストになるのかを、仮の数字を使って整理します。
目次
- 同じ売買でも手数料が違う理由
- メイカーとテイカーの定義
- どの注文がどちらになるか
- 仮の手数料率で年間コストを試算する
- post onlyの使いどころと弱点
- 待つコストとのトレードオフ
- 手数料も記録に残す
- よくある質問
同じ売買でも手数料が違う理由
結論から言うと、手数料が違う理由は「板に注文を並べた側」なのか「板にある注文を取った側」なのかの違いにあります。取引所の手数料体系にはいくつかの種類がありますが、売買手数料そのものの中でも、この二つの立場によって料率が分かれている取引所が少なくありません。手数料全体の種類については手数料の全種類を整理した記事で一覧にしています。
この立場のことを、メイカー(Maker)、テイカー(Taker)と呼びます。同じ「買い注文」を出しているつもりでも、出し方によってどちらの立場になるかが変わり、結果として適用される手数料率も変わることがあります。
メイカーとテイカーの定義
メイカーとテイカーの違いを理解するには、まず「板」の仕組みを知っておく必要があります。板とは、買いたい人と売りたい人の注文が価格ごとに並んでいる一覧表のことです。板の読み方そのものは板の読み方を解説した記事で詳しく扱っていますので、ここでは手数料に関係する部分だけ整理します。
メイカーとテイカーは、次のように区別されます。
- メイカー:板に注文を並べて、流動性を提供する側です。指値注文を出し、その注文がすぐには約定せずに板に残る場合が該当します。
- テイカー:板にすでに並んでいる注文と即座に約定して、流動性を取る側です。成行注文はこれに当たりますし、指値注文であっても、既存の気配(すでに板にある注文の価格)に当たる価格で出せば、即座に約定してテイカー扱いになります。
ポイントは、注文の種類(成行か指値か)そのものではなく、「約定した瞬間に板へ新しく注文を並べたか、それとも板にあった注文を消費したか」で決まるという点です。指値注文だからといって、常にメイカーになるとは限りません。
ここで出てくる「流動性」という言葉は、その時点で板に並んでいる注文の厚みを指します。メイカーは板に注文を積み増して流動性を増やす側、テイカーはその注文を消費して流動性を減らす側、と言い換えることもできます。取引所がメイカーを優遇する料率を設定しているのは、板を厚くしてくれる注文の方が、他の参加者にとって約定しやすい市場につながるためです。
どの注文がどちらになるか
実際にどの注文がメイカー・テイカーのどちらに分類されるのか、代表的なパターンを整理すると次のようになります。手数料率は取引所によって異なるため、ここでは「仮に0.05%なら」という仮定の数字で考え方だけを示します。
| 注文の出し方 | メイカー/テイカーの別 | コストの考え方(仮の数字) |
|---|---|---|
| 成行注文 | テイカー | 板にある注文にすぐ当たるため、仮にテイカー料率が0.10%なら、その料率がそのまま適用されます |
| 指値注文(板に並んで待つ) | メイカー | 約定を待つ代わりに、仮にメイカー料率が0.02%なら、テイカーより低い料率が適用されます |
| 指値注文(既存の気配に当たる価格) | テイカー | 指値であっても即座に約定するため、仮のテイカー料率0.10%が適用されます |
| post only注文 | メイカー限定 | テイカーになる価格では発注自体が成立しません(不成立として処理されます) |
この表からわかるとおり、「指値注文=メイカー」ではありません。指値であっても、出す価格次第でテイカーになる場合があります。
仮の手数料率で年間コストを試算する
手数料率の差が実際にどれくらいの金額になるのか、仮の数字で計算してみます。以下はあくまで試算のための仮定であり、特定の取引所の実際の料率ではありません。
仮にメイカー料率を0.02%、テイカー料率を0.10%とし、月100万円分の売買(年間の約定代金の合計が1,200万円)をすべてテイカー注文で行った場合と、すべてメイカー注文で行った場合を比較します。
- すべてテイカーの場合:1,200万円 × 0.10% = 12,000円
- すべてメイカーの場合:1,200万円 × 0.02% = 2,400円
- 差額:9,600円
取引額が同じでも、注文の出し方によって年間で1万円近い差が生まれる計算になります。仮に取引頻度がこの2倍になれば、単純計算で差額も2倍の19,200円になります。反対に、年に数回程度の売買であれば、手数料率の差が金額に与える影響はそれほど大きくありません。取引の頻度が多い人ほど、メイカー・テイカーの違いを意識する価値が大きくなるということです。実際の料率は取引所ごとに異なり、取引量に応じて優遇される場合もあるため、この数字自体を目安にするのではなく、「出し方によって差が積み重なる」という構造を押さえておくことが重要です。
post onlyの使いどころと弱点
手数料率の差を確実に取りにいく方法として、post only(メイカー限定)という注文設定があります。これは、注文が約定した際にテイカーになってしまう価格であれば、その注文自体を発注せずに不成立とする設定です。
post onlyを使うメリットは、意図せずテイカー料率を払ってしまう事態を避けられる点です。相場を見ながら指値を出したつもりが、気づかないうちに既存の気配に当たる価格になっていて、テイカー扱いになっていた、ということを防げます。
一方で弱点もあります。テイカーになるはずだった注文は約定せずに終わるため、「そのタイミングで買いたかったのに買えなかった」という約定しないリスクを抱えることになります。指値注文が板に残ったまま約定しない状態が続くケースは指値が刺さらないときの記事でも扱っていますが、post onlyはこのリスクを構造的に受け入れる設定だと理解しておく必要があります。
たとえば、想定していた価格に届かないまま相場が上昇してしまった場合、post only注文はそのまま板に残り続け、結果的に一度も約定しないということも起こり得ます。手数料は抑えられても、買いたかったタイミングを逃してしまえば本末転倒です。急いで約定させたい場面には向かない設定だと言えます。
待つコストとのトレードオフ
メイカーとして約定を待つ選択には、手数料以外のコストも関係します。それが、待っている間に価格が動いてしまうリスクです。
暗号資産は価格変動が大きく、指値を出してから約定するまでの間に相場が離れていくことがあります。たとえば、現在の価格より少し安い位置に指値を置いて待っていたところ、約定する前に相場が大きく上昇してしまえば、当初の想定より高い価格で成行注文を出さざるを得なくなります。安い手数料を狙って指値を板に並べたものの、価格がその指値から遠ざかってしまい、結局は成行注文で追いかけて約定させることになれば、テイカー料率と当初より不利な価格の両方を負担する結果になりかねません。
つまり、メイカーとテイカーのどちらが得かは、手数料率の差だけで単純に判断できるものではありません。「手数料は高くても、今の価格ですぐに約定させたい」のか、「手数料を抑えるために、価格が動くリスクを受け入れて待つ」のか、そのときの相場状況と自分の方針によって選び方は変わります。
手数料も記録に残す
メイカー・テイカーどちらの手数料であっても、実際に発生した費用として損益に影響します。国税庁が公開している暗号資産の所得計算に関する考え方(No.1524)でも、譲渡の際の対価や必要経費が所得計算の要素として位置づけられており、約定価格と手数料の両方が計算に関わってきます。個別の取り扱いは税理士または所轄の税務署への確認が前提になりますが、手数料も記録として残しておくことは、後から損益を振り返る際に欠かせません。
取引回数が増えると、メイカー・テイカーの別によって手数料率が注文ごとに変わるため、手作業での集計は手間がかかります。クリプタクトは取引所からの取引データを取り込む際に手数料を含めて処理できるため、注文ごとの手数料を個別に拾い直す必要がありません。損益計算を自動化する具体的な手順は損益計算を自動化する方法の記事にまとめています。
クリプタクトの無料プランは、年間の取引が50件以内であれば結果表示まで利用でき、それを超える場合は有料プラン(Basicで年額6,600円〜)が必要になります。対応取引所やプランの詳細はクリプタクト公式サイトの案内ページで確認できます。まずは自分の取引履歴を取り込んで、メイカー・テイカーを含めた手数料が損益にどう影響しているかを見てみるのも一つの方法です。→ クリプタクト公式サイトで無料プランを試す
よくある質問
メイカーとテイカー、どちらが得ですか?
一概には言えません。メイカーは手数料率が低い(場合によっては還元される)可能性がありますが、約定を待つ間に価格が動くリスクを伴います。今すぐ約定させたいのか、手数料を抑えるために待てるのか、そのときの状況によって答えは変わります。
指値注文であれば手数料は安くなりますか?
指値注文だからといって、常にメイカーになるわけではありません。既存の板にある注文に当たる価格で指値を出した場合は、即座に約定してテイカー扱いになります。板に残って約定を待つ指値だけが、メイカーとして扱われます。
post onlyを設定すれば手数料を抑えられますか?
post onlyはメイカーになる注文だけを発注する設定なので、テイカー料率を払うことは避けられます。ただし、テイカーになるはずだった注文は不成立として処理されるため、狙ったタイミングで約定できない場合がある点には注意が必要です。
メイカー手数料がマイナスというのはどういう意味ですか?
取引所によっては、メイカー注文に対して手数料を徴収するのではなく、逆に一部を還元(リベート)する料率を設定している場合があります。板に注文を並べて流動性を提供したことへの対価という考え方です。こうした料率を設定しているかどうか、また具体的な水準は取引所によって異なります。
メイカーとテイカーの違いは、取引所の手数料体系の中でも見落とされやすい部分ですが、注文の出し方ひとつで年間のコストが変わってくる要素です。まずは自分がよく使う注文方法がどちらに当たるのかを確認し、手数料も含めて取引の記録を残しておくことをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断は税理士または所轄の税務署にご確認ください。暗号資産は価格変動が大きく、投資判断はご自身の責任でお願いします。
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