本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含む場合があります。
二重支払いは「ビットコインは改ざんできないから防げている」と説明されることがよくあります。ただ、この説明は順序が逆です。改ざんが難しいという性質は結果であって、原因ではありません。原因にあたるのは、世界中に散らばった見ず知らずの参加者たちが、管理者を置かずに「どの取引が先だったのか」という順番で合意する仕組みのほうです。
この記事では、そもそも二重支払いの何が難しいのか、従来の電子マネーがそれをどう回避してきたのか、そしてビットコインが管理者なしで同じ問題を解いた手順を、順を追って整理します。読み終えるころには、取引所やウォレットで表示される「承認待ち」が何を待っている時間なのか、なぜ高額の受け取りでは承認数を確かめたほうがよいのかまで、自分の言葉で説明できるようになります。
ここで扱うのは、ビットコインの公開仕様と各種公式資料で共有されている一般的な知識の範囲です。難しい数式は使いません。順に見ていきましょう。
日本円の入出金に対応した国内の登録業者なら、送金や積立まで一つの口座で完結します。口座開設と維持の費用はかからず、取扱銘柄や手数料体系は公式サイトで確認できます。
GMOコインの口座開設ページを見る →PR・GMOコイン(GMOコイン株式会社)。手数料や取扱銘柄は変更されることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。暗号資産は価格変動が大きく、投資判断はご自身の責任でお願いします。二重支払い(ダブルスペンド)とは何か
二重支払いとは、手元にある同じ1単位のお金を二度以上使ってしまうことを指します。現金では起こりません。1万円札を店員に渡した瞬間、その紙幣は自分の手から物理的に消えるからです。ところがデジタルデータは、送っても手元にコピーが残ります。同じデータをもう一度、別の相手へ送れてしまう。これがデジタル通貨が長く抱えてきた根本的な弱点です。
つまりデジタルのお金をつくるうえで本当に難しいのは「送ること」ではなく、送った側から確実に消えたと全員に納得させることでした。暗号技術による電子署名は1980年代には実用化されていましたが、署名が証明できるのは「本人が送った」ことだけです。「まだ一度も使っていない」ことは、署名だけでは証明できません。
従来の電子マネーは管理者の台帳で解決していた
銀行振込やクレジットカード、各種の電子マネーは、この問題を明快に解いています。中央に台帳をひとつ置き、その管理者だけが残高を書き換える権利を持つ、という方法です。残高が足りなければ管理者が拒否するので、二重支払いは構造的に起こり得ません。
代わりに、利用者は管理者を信頼する必要が生まれます。システムが止まれば送金は止まり、口座を凍結されれば資産は動かせず、記録が正しいかどうかは管理者の申告に頼ることになります。ビットコインが挑んだのは、この信頼の集中を外したうえで、なお二重支払いを防げるかという問いでした。
管理者を外した瞬間に立ちはだかる壁
管理者を置かないなら、台帳は参加者全員が持つことになります。ここで新しい問題が現れます。ある人が同じ残高を使う2つの送金をほぼ同時に別々の相手へ流したとき、世界中のどのコピーも「自分が先に受け取ったほう」を正しいと考えてしまうのです。ネットワークには距離がありますから到着順は場所によって入れ替わりますし、誰かが「こちらが先だ」と時刻を主張しても、他人にはその真偽を確かめる手立てがありません。
しかも、参加者の中には嘘をつく者が混ざっている前提で設計しなければなりません。分散したメンバーの一部が裏切っても全体として正しい合意に到達できるかという古典的な難問はビザンチン将軍問題と呼ばれ、誰でも自由に出入りできる開かれた環境では現実的に解けないと長く考えられてきました。1990年代から2000年代にかけて複数のデジタル通貨の構想が発表されましたが、この順序の合意という壁を越えられなかったとされています。技術的な背景をもう少し追いたい方はテクニカル解説のカテゴリもあわせてご覧ください。
ビットコインの解法、ナカモトコンセンサス
2008年に公開されたビットコインの論文が示したのは、順序の合意を人数の多数決ではなく投じられた作業量の多数決に置き換えるという発想でした。仕組みは大きく3つの部品からできています。
1. すべての取引を公開し、ひとつの列に並べる
ビットコインには「誰がいくら持っているか」という残高欄がありません。あるのは過去の送金の連なりだけで、残高は「まだ使われていない受け取り分」を集計して求めます。取引には、どの受け取り分を使うのかが必ず明記されます。したがって同じ受け取り分を指す取引が2つ現れれば、その事実は誰の目にも見えます。問題は、どちらを有効とするかを全員で一致させることに絞られます。
2. 列に加える権利にコストを課す
プルーフ・オブ・ワーク(仕事の証明)と呼ばれる仕組みです。取引をまとめたブロックを台帳に追加するには、条件を満たす値が出るまで膨大な計算を繰り返す必要があります。当たりを引く確率は投入した計算能力に比例するため、発言権は保有アカウントの数ではなく、現実に消費した電力と設備に比例します。名前をいくつ増やしても影響力は増えません。
3. 最も作業量が積み上がった列を正とする
枝分かれが起きたときは、累積の計算量が最も大きい枝が正しい歴史として採用されます。ある取引を取り消したければ、その取引を含むブロック以降をすべて作り直し、さらに正直な参加者全体が前へ進む速度を上回って追い抜かなければなりません。時間が経つほど追い抜きに必要な計算量は積み上がり、取り消しは急激に難しくなります。改ざん耐性はこの構造から生まれた結果であって、出発点ではないわけです。
実際に二重支払いを仕掛けるとどうなるか
同じ受け取り分を使う2つの取引を同時に流したとします。各ノードは自分が先に受け取ったほうを待機列に入れ、あとから届いた矛盾する取引は原則として受け付けません。やがて片方がブロックに取り込まれ、そのブロックの上に次のブロックが積まれていくと、もう片方は永久に有効化されない取引として捨てられます。この積み上がった数が承認数です。
| 承認数 | おおよその経過時間 | 一般的な実務上の扱い |
|---|---|---|
| 0(未承認) | 0分 | 取り消され得る。少額の対面決済など限定的な用途 |
| 1 | 10分前後 | 少額の受け取りなら実用範囲とされることが多い |
| 3 | 30分前後 | 中程度の金額で採用されることがある |
| 6 | 1時間前後 | 高額の受け取りで慣習的に使われてきた目安 |
ブロックの生成間隔はおよそ10分になるよう調整されますが、実際には前後します。必要な承認数もサービスごとに違いますので、入金反映の条件は利用先の公式情報でご確認ください。
それでも残る弱点、51%攻撃と未承認取引
ナカモトコンセンサスは二重支払いを不可能にしたのではなく、割に合わなくしたものです。仮に全体の過半数を超える計算能力を単独で握れば、自分の取引を含む枝を後から作り直して追い抜くことは理論上できます。これが51%攻撃と呼ばれるものです。ビットコインのように計算能力が大きく分散したネットワークでは、必要な設備と電力の規模から現実性は低いと考えられていますが、計算能力の小さいチェーンでは実際に被害が報告されたことがあるとされています。
より身近なのは未承認取引のリスクです。手数料を上げて送り直せる仕組みが標準で備わっているため、承認が1つも付いていない段階の取引は、内容を差し替えられる余地があります。高額の受け取りでは、承認が付くまで商品や役務を渡さないという運用が基本です。相手から「未承認だがすぐ入る」と急かされる場面は、それ自体が警戒すべき合図でもあります。こうした手口の見分け方は詐欺の見分け方ガイドにまとめています。
利用者としてどう向き合うか
個人としてできることは、意外なほどシンプルです。まず、受け取りは承認数を確認してから完了と見なすこと。次に、送金の取り消しは原則できないため、宛先の確認を丁寧に行うこと。そして、保有量が増えてきたら秘密鍵の管理そのものを見直すことです。二重支払いを防ぐ仕組みがどれほど強固でも、鍵を盗まれてしまえば正規の送金として処理されてしまいます。
取引所を使う場合、入金の反映条件や必要承認数は各社が公開しています。コインチェックやビットフライヤーのように国内で長く運営されている事業者は、入出金の条件をヘルプページで明示していますので、初回は必ず目を通しておくと安心です。口座開設からの流れ全体は仮想通貨の始め方ガイドで解説しています。
よくある質問(FAQ)
承認は本当に6回待つ必要がありますか
6という数字は初期から慣習的に使われてきた目安で、規則ではありません。少額であれば1承認で足りると判断するサービスもありますし、逆に大口の入金でより多くを求める場合もあります。金額と、取り消された場合に自分が被る損害の大きさで決めるのが基本です。
取引所の入金が「承認待ち」のまま進まないのはなぜですか
手数料が低すぎて、ブロックに取り込まれる順番が後回しになっている可能性があります。ネットワークが混雑している時間帯は、手数料の高い取引から先に処理されるためです。多くのウォレットには手数料を上げて送り直す機能がありますが、操作方法は利用中のウォレットの公式案内をご確認ください。
ビットコイン以外のチェーンでも二重支払いは防げますか
合意の仕組みが異なれば耐性も変わります。計算量ではなく預け入れた資産を根拠にする方式など複数の設計があり、それぞれ前提とするコストの種類が違います。共通しているのは、攻撃に必要なコストが得られる利益を上回るように設計されている点で、規模の小さいチェーンほどその前提が崩れやすくなります。
一度承認された取引が消えることはありますか
短い枝分かれが起きた直後に、1承認の取引が入れ替わることは仕組み上あり得ます。ただし承認が積み重なるほど確率は急速に下がり、実用上は数承認で十分に確定したものとして扱われています。ビットコインの基礎的な話題はビットコインのカテゴリでも継続的に取り上げています。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。