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イーサリアムで送金したのに、いつまで経っても「保留中(Pending)」のまま処理されない――これがいわゆる「トランザクション詰まり」です。原因の多くは、設定したガス価格がネットワークの相場より低すぎることにあります。
詰まったトランザクションは、同じnonce(取引番号)でより高いガス価格の取引を上書き送信することでキャンセルまたは差し替えができます。MetaMaskなどの主要ウォレットには、この操作をボタン一つで行う機能が用意されています。
本記事では、詰まりが起きる仕組みから、MetaMaskでの具体的なキャンセル手順、手動での上書き方法、注意点までを解説します。
トランザクションが詰まる仕組み:nonceとガス価格
イーサリアムの各アドレスには、送信した取引に0から順に振られる「nonce(ノンス)」という連番があります。取引は必ずnonce順に処理されるため、nonce 5の取引が低いガス価格で滞留すると、後から送ったnonce 6以降の取引もすべて待たされます。
つまり、詰まりの正体は「安すぎる取引が列の先頭をふさいでいる状態」です。ネットワークが混雑してBase Fee(基本料金)が上がると、それを下回るガス価格しか設定していない取引は処理されずに残り続けます。
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キャンセルの基本原理:同一nonceでの上書き
ブロックチェーンには「送信済みの取引を取り消す」機能はありません。代わりに、同じnonceを持つ取引を2つ送ると、先に処理された方だけが有効になるというルールを利用します。
- キャンセル:同じnonceで「自分宛てに0ETHを送る」取引を高いガス価格で送信し、元の取引を無効化する
- スピードアップ:同じnonceで「同じ内容の取引」をガス価格だけ引き上げて再送信する
上書きが受け付けられるには、元の取引よりガス価格を一定割合(一般に10%以上が目安とされています)高く設定する必要があります。
MetaMaskでのキャンセル手順
MetaMaskには上書き送信の機能が組み込まれており、画面上は次の流れで操作します。
- MetaMaskを開き、「アクティビティ」タブを表示する
- 「保留中」と表示されている対象のトランザクションをタップ(クリック)する
- 詳細画面に表示される「キャンセル」ボタンを押す(処理を早めたい場合は「スピードアップ」)
- キャンセル用のガス代見積もりが表示されるので、内容を確認して承認する
- アクティビティ上でキャンセル取引が承認済みになれば完了
キャンセルにも新しい取引としてのガス代がかかる点に注意してください。また、確認画面でガス価格を推奨値より下げてしまうと、キャンセル取引自体が詰まる原因になります。
「スピードアップ」との使い分け
取引そのものは成立させたい(送金は完了させたい)ならスピードアップ、取引をなかったことにしたいならキャンセル、と使い分けます。期限切れのNFT購入など、いまさら成立してほしくない取引は必ずキャンセルを選びましょう。
手動で上書き送信する方法(上級者向け)
ウォレットにキャンセルボタンがない場合でも、手動で同じ操作を再現できます。
- ブロックチェーンエクスプローラーで、詰まっている取引のnonceを確認する
- ウォレットの詳細設定で「nonceのカスタマイズ」を有効にする
- 自分自身のアドレス宛てに0ETHの送金を作成する
- nonceを詰まっている取引と同じ値に設定する
- ガス価格(Max FeeとPriority Fee)を元の取引より十分高く設定して送信する
nonceの指定を誤ると、無関係の取引を上書きしたり、新規の取引として積み上がったりするため、送信前に必ず値を見直してください。ガス代やnonceの基礎的な仕組みはテクニカル解説カテゴリの記事もあわせて参考になります。
注意点とトラブル予防
- キャンセルは「早い者勝ち」です。元の取引が先に処理されればキャンセルは失敗するため、成立をエクスプローラーで確認するまで完了と考えないでください
- 「詰まりを解消します」と持ちかける第三者やツールに注意してください。秘密鍵やシードフレーズの入力を求めるものは詐欺の可能性が高いとされています。見分け方は詐欺の見分け方ガイドで解説しています
- 予防策として、送信前にガストラッカーで相場を確認し、ウォレットの推奨値を大きく下回る設定を避けましょう
資産管理の安全性を高めたい方は、ハードウェアウォレットの活用も検討するとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
キャンセルしたのに元の送金が成立してしまいました。なぜですか?
キャンセル取引が処理される前に、元の取引が先にブロックへ取り込まれたためです。同一nonceの競争は先に処理された方が勝つため、キャンセルは常に成功するとは限りません。ガス価格を十分高く設定するほど成功しやすくなります。
キャンセルにもガス代はかかりますか?
かかります。キャンセルも1件の新しいトランザクションであるため、その時点の相場に応じたガス代が必要です。ただし0ETHの自己送金は最小限のガス(21,000)で済むため、負担は比較的小さめです。
何日も放置した保留中の取引はどうなりますか?
ネットワークやノードの設定によっては、長期間処理されない取引がプールから破棄されることもあるとされています。ただし確実ではないため、不要な取引は放置せず、同一nonceでの上書きで明示的に整理するのが安全です。
取引所からの送金が詰まった場合も自分でキャンセルできますか?
できません。上書き送信は送信元アドレスの所有者しか行えないため、取引所からの出金が滞留している場合は、取引所のサポートに問い合わせる必要があります。自分で操作できるのは、自分のウォレットから送信した取引だけです。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。