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キーワード: 確定申告・税金・仮想通貨
「仮想通貨で損をしてしまった。確定申告って必要なの?」

「損してるのに税金が発生するなんてことあるの?」
損失が出た年は「申告しなくていいか」と思いがちですよね。
でも状況によっては申告すべき場面もありますし、逆に申告することで税負担を減らせることもあります。
この記事では、仮想通貨で損失が出た場合の確定申告の必要性、損益通算の仕組み、そして2028年から使えるようになる繰越控除まで丁寧に解説します。
申告することのメリット・デメリット、税務戦略まで含めて解説しますので、損失を抱えている方はぜひ最後まで読んでみてください。
【結論】仮想通貨の損失は確定申告で申告すべき?損益通算と繰越控除を解説とは、ビットコイン・仮想通貨分野において重要な概念です。本記事では、その仕組みや特徴、活用方法について詳しく解説します。
仮想通貨で損失が出た場合の確定申告
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原則:損失のみなら申告不要
仮想通貨取引で損失だけが発生した年は、原則として確定申告は不要です。
他に申告が必要な所得(事業所得・不動産所得など)がなければ、申告しなくても問題ありません。
ただし、以下のケースでは注意が必要です。
- 他の雑所得(FX・副業など)がプラスになっている場合:仮想通貨の損失と合算して雑所得が全体でいくらになるかを把握する必要がある
- 損失を記録として残しておきたい場合:現行制度では繰越控除は不可ですが、2028年以降の新制度に備えて記録を管理しておくと便利
損失でも申告した方が得なケースがある
仮想通貨以外に同年の雑所得がある場合、損益通算によって課税対象の所得を減らせることがあります。
これについては次のセクションで詳しく解説します。
損益通算とは何か?
損益通算の基本
損益通算とは、同じ所得区分内で利益と損失を相殺することです。
たとえば同じ年の仮想通貨取引でAコインで30万円の利益、Bコインで20万円の損失が出た場合:
損益通算後の課税対象 = 30万円 − 20万円 = 10万円
この通算は自動では行われません。確定申告で自分で計算して申告する必要があります。
仮想通貨内での損益通算
仮想通貨の取引内(雑所得内)での損益通算は可能です。
複数の銘柄をトレードしている場合、年間を通じたすべての仮想通貨損益の合計を算出します。
例:
- BTC売却益:+50万円
- ETH売却損:−20万円
- SOL売却損:−10万円
合計:+50万円 − 20万円 − 10万円 = +20万円が課税対象
他の所得との損益通算は「原則できない」
仮想通貨の損失は、株式や不動産の損失と通算することはできません。
また株式の損失と仮想通貨の利益を通算することもできません。
これは仮想通貨が「雑所得」に区分されているためで、他の所得区分(分離課税の申告分離所得)との通算が認められていないからです。
ただし「同じ雑所得同士」なら通算が可能です。
FXの利益(申告分離課税)とは通算できませんが、副業の雑所得とは条件次第で通算できる場合があります。
損益通算の具体例
ケース①:同年内で複数コインを取引
- BTC:100万円の利益
- ETH:60万円の損失
- XRP:20万円の損失
合計:100万円 − 60万円 − 20万円 = 20万円が課税対象
申告しなければ100万円に課税されてしまいますが、損益通算することで課税対象を20万円に圧縮できます。
ケース②:仮想通貨と副業の損益
- 仮想通貨取引:−50万円(損失)
- ブログ収入(雑所得):80万円の利益
同じ雑所得内での通算として、80万円 − 50万円 = 30万円が課税対象になる可能性があります。
(ただし「事業所得」と雑所得の区分や通算可否は個別に確認が必要です)
ケース③:損失だけの年
- 仮想通貨取引:−80万円(損失のみ)
- 他に申告する所得なし
この場合、確定申告は不要です。
損失は翌年以降に繰り越せません(2027年以前は)。
2028年から始まる「損失繰越控除」制度
繰越控除とは
損失繰越控除とは、当年の損失を翌年以降に持ち越して、将来の利益から差し引く仕組みです。
例えば2028年に100万円の損失が出た場合:
- 2029年の利益50万円から差し引き → 課税対象は0円(残り50万円繰越)
- 2030年の利益50万円から差し引き → 課税対象は0円
株式投資やFXでは当たり前に使える制度ですが、仮想通貨では2028年まで利用できません。
令和8年度税制改正大綱で正式決定
2025年12月19日に公表された令和8年度税制改正大綱では、申告分離課税の導入とともに3年間の損失繰越控除が明記されました。
- 対象:申告分離課税が適用される「特定暗号資産」の取引損失
- 繰越期間:3年間
- 施行:2028年1月が有力
繰越控除の活用で税負担が大きく変わる
具体的にシミュレーションしてみましょう。
2028年:−100万円の損失
2029年:+200万円の利益
繰越控除なし → 200万円 × 20.315% = 約40.6万円の税金
繰越控除あり → (200万円 − 100万円) × 20.315% = 約20.3万円の税金
約20万円も節税できる計算です。
特に相場の波があるなかで長期投資をしている方にとって、非常に重要な制度になります。
2026〜2027年に損失が出た場合はどうする?
繰越控除は使えないが記録を残す
残念ながら2026〜2027年の損失は、2028年施行の繰越控除制度では対象外になります。
現行制度では損失の繰り越しはできません。
ただし、損益計算の記録はしっかり残しておきましょう。
取引所のCSVデータを年ごとにバックアップし、税金計算ツール(Cryptact・Gtax等)にデータをインポートして記録管理することをおすすめします。
損切りして損益通算に活用する
同じ年内に利益が出ている銘柄がある場合、含み損のある銘柄を年末までに売却して損失を確定させることで、同年内の損益通算が可能です。
「含み損を抱えたまま年を越す」より、「損失を確定させて同年の利益と通算する」ほうが税負担を減らせます。
これを「損出し」と呼び、投資家の間でも活用されているテクニックです。
確定申告での損失の申告手順
損失が発生した年の申告手順(同年に利益もある場合)
- 全取引所のCSVを取得する
- Cryptact・Gtaxなどのツールで年間損益を計算
- 損益通算後の合計所得を確認
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作成
- 雑所得欄に損益通算後の数字を入力
損失のみの年(申告しない場合)
- 申告書の作成は不要
- ただし取引履歴・CSVデータは7年間保管推奨
- 損益計算ツールのデータも保存しておく
損失を最小化する税務戦略
戦略①:損出し(年末の損益調整)
「損出し」とは、年末が近づいたときに含み損のある銘柄を一度売却して損失を確定させ、同年の利益と通算する手法です。
具体的なイメージは以下のとおりです。
- 11月時点でBTCの売却益:+80万円
- 含み損を抱えたETH:−50万円(未確定)
このまま年末を迎えると、80万円に課税されます。
しかし年末にETHを売却して損失を確定させると:
80万円 − 50万円 = 30万円が課税対象に圧縮できます。
損出し後すぐに同じ銘柄を買い戻すことも法律上は問題ありません(株のようなウォッシュセール規制は仮想通貨にはありません)。
ただし、売却直後に同じ価格で買い戻せるとは限らず、価格変動リスクがある点は注意が必要です。
戦略②:翌年への利益確定持ち越し
年末に大きな含み益がある場合、年をまたいで翌年に利益確定することで、その年の課税を翌年に先送りできます。
ただし単純に「先送りして問題を後回しにする」のではなく、翌年の収入状況(課税所得が下がる見込みなど)を考慮した上で判断することが重要です。
戦略③:低所得年に利益確定する
総合課税の場合、課税所得が低い年ほど税率が低くなります。
育児休業中・転職直後で年収が低い年、または退職して無職の期間などに利益確定をまとめることで、税率を抑えられる可能性があります。
戦略④:2028年以降を見据えた持ち越し
含み益が大きく、現在の所得が高い場合は2028年1月以降まで利益確定を先延ばしすることで、申告分離課税20%が適用される可能性があります。
ただし税率変更のために相場リスクを取り続けることは、投資判断として常に合理的とは言えません。
ご自身の状況に合わせて慎重に判断することをおすすめします。
少額損失の申告は必要か
少額でも記録は残すべき
仮想通貨の損失が少額だとしても、取引記録は必ず保管しておくことをおすすめします。
理由は以下のとおりです。
- 翌年以降の取得単価の計算に記録が必要
- 税務調査が来た際に取引実態を証明できる
- 損益計算ツールへの過去データの引き継ぎに必要
申告書の「損失ゼロ申告」は一般的ではない
現行制度では仮想通貨の損失を繰り越す制度がないため、損失のみの年に「損失を申告して記録に残す」メリットは限定的です。
2028年以降の制度改正後は状況が変わりますが、2026〜2027年については損失繰越が制度上存在しないため、記録の保管を優先しましょう。
損失に関するよくある誤解
誤解①「損したなら申告しなくていい」
同年内に利益も損失もある場合は、損益通算のために申告が必要なケースがあります。
利益側だけ漏れて申告すると過少申告になる可能性があります。
誤解②「仮想通貨の損失で株の利益を相殺できる」
現行制度ではできません。株式(申告分離課税)と仮想通貨(雑所得)は別の課税区分であるため、通算不可です。
誤解③「2028年以降はすべての損失を繰り越せる」
2028年以降に「特定暗号資産」として指定された銘柄のみが繰越控除の対象になります。
すべての仮想通貨が対象になるかどうかは、今後の政令で決まります。
損益通算をフル活用するための実践チェックリスト
損益通算のメリットを最大限に活かすための年間チェックリストをまとめました。
年初(1月)にやること
- 前年分のCSVを全取引所からダウンロードしておく
- 損益計算ツール(Cryptact・Gtax等)に取引データをインポートする
- ステーキング報酬・レンディング利息もすべてデータに反映させる
年末(11〜12月)にやること
- 年間の損益状況を確認する(利益が出ているかどうか)
- 含み損のある銘柄があれば「損出し」を検討する
- 損出しするなら12月31日までに売却を完了させる(年をまたぐと翌年の損失になる)
確定申告前(1〜3月)にやること
- 全取引所のデータが揃っているか確認する
- 損益計算ツールで最終的な年間損益を確定させる
- 国税庁のe-Taxで申告書を作成・提出する(3月15日までに)
2026〜2027年に損失を出した場合の最善策
繰越できないことを前提に考える
2026〜2027年の損失は2028年以降の制度に繰り越せません。
でも「損したから申告もしなくていい」と放置するのは危険です。
正しい対応は以下のとおりです。
- 全取引所のデータを保管する(CSVを7年間保存)
- 損益計算ツールでデータを整理する(後の取得単価計算に必要)
- 同年内の利益がある場合は必ず損益通算して申告する
損失があるからこそ「記録と申告」が重要になります。
「記録ゼロ = 後で困る」という状況は避けましょう。
損失の翌年以降への活用(2028年〜)
2028年以降に申告分離課税が施行されたら、その年以降の損失を3年間繰り越せます。
2028年以降に損失を出した場合は積極的に申告して、繰越控除を活用する準備をしておきましょう。
信頼できる取引所で記録管理を
損益通算や確定申告を正確に行うには、取引記録が整っていることが最も大切です。
国内の主要取引所を利用していれば、CSVで取引履歴を管理できるので安心です。
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損失が出た後に取るべき心理的な対処法
損失に動揺しない長期的視点
仮想通貨市場は暴落と上昇を繰り返すことで知られています。
損失が出たからといって即座に「全部売る」という選択が最善とは限りません。
過去のデータを見ると、ビットコインは大きな下落の後にそれ以上の上昇を記録してきた事例が多くあります。
損失が出た年こそ、「長期視点で見るとどこにいるのか」を冷静に考えることが大切です。
損切りは「失敗」ではなく「戦略」
含み損を抱えたまま持ち続けることが必ずしも正解とは言えません。
損切りをして損失を確定させることで、同年内の利益と損益通算できますし、資金を他の銘柄に移すことも可能になります。
「損切り = 失敗」ではなく「損切り = リスク管理の一手段」として前向きに捉えましょう。
損失を記録として活かす
損失が出た原因を記録・分析することは、将来の投資判断を改善するために非常に有益です。
- どの銘柄で・いつ・いくら損したか
- その時の市場状況はどうだったか
- 判断ミスはあったか、それとも市場全体の下落だったか
こうした記録を積み重ねることで、投資判断の精度が上がっていきます。
相場の「暴落サイクル」を理解する
仮想通貨市場は過去に何度も大幅な下落を経験してきました。
そのたびに多くの投資家が損失を抱えましたが、長期保有者の多くはその後の上昇でリカバリーしています。
- 2018〜2019年:最高値から約85%下落 → その後2020〜2021年に大幅上昇
- 2022年:FTX破綻等で大幅下落 → 2023〜2024年にかけて回復
- ビットコイン半減期(約4年ごと)の翌年に大きな上昇が起きやすいという過去パターンがある
損失が出ている時期に焦って売却すると、その後の回復を取り逃がすことがあります。
「損失を記録しながらも、長期の流れを見失わない」ことが投資家として最も重要な心構えです。
まとめ
仮想通貨の損失と確定申告についてまとめます。
- 損失のみなら原則申告不要(ただし他の雑所得がある場合は要確認)
- 同年内の複数銘柄間で損益通算が可能(必ず申告して活用する)
- 他の所得区分(株式・FXなど)との損益通算は現行制度では不可
- 損失の繰越控除は2028年以降に導入予定(特定暗号資産に限定)
- 今すぐできること:取引記録を正確に残し、損出しを年末前に検討する
損失が出ている時期こそ、正確な記録と適切な申告が節税の鍵になります。
無料の損益計算ツールを活用して、しっかり管理していきましょう。
損益計算に役立つ無料ツール:
- Cryptact(クリプタクト):国内最大手、170以上の取引所に対応
- Gtax(ジータックス):使いやすいUIで初心者向け
- Kryptos(クリプトス):移動平均法・総平均法の両方に対応
よくある質問(FAQ)
Q. 仮想通貨で損失が出た年に確定申告をしないと罰則がありますか?
A. 他に申告すべき所得がなく、損失のみであれば申告義務はありません。ただし申告すべき所得がある場合に無申告だと加算税等のペナルティが生じます。
Q. 損出しをしてすぐに同じ銘柄を買い直しても問題ありませんか?
A. 仮想通貨には株式のような「取得日の制限(ウォッシュセール規制)」はないため、売却直後に同じ銘柄を購入することは問題ありません。
Q. ステーキング報酬と取引損失は通算できますか?
A. 同じ雑所得内の損益として通算できます。ステーキング報酬の利益から取引損失を差し引いた合計が課税所得になります。
Q. 損失繰越控除は2028年より前の損失にも遡って適用できますか?
A. 現状の見通しでは、2028年以降に発生した損失から対象となります。2027年以前の損失には遡って適用できない見込みです。
Q. 申告漏れが後からわかった場合どうすればいいですか?
A. 修正申告や更正の請求で対応できます。過少申告の場合は加算税・延滞税が発生することがあるため、気づいたら早めに税務署に相談しましょう。
Q. 損益通算の申告をしないでいると、どうなりますか?
A. 利益側だけ申告して損失を申告しないと、過大な税金を払うことになります。また税務調査で全取引が確認されれば、損益通算が正しく行われていないことが判明します。損益は必ず全部含めて申告しましょう。
Q. 仮想通貨の損益通算は税理士なしでできますか?
A. 取引件数が少なく国内取引所のみ使用している場合は、CryptactやGtaxなどのツールを使えば自分でも対応できます。DeFiや海外取引所を使っている場合は、専門の税理士に相談することを強くおすすめします。
Q. 同年内に複数の仮想通貨を売買した場合、どうやって損益通算しますか?
A. 年間を通じた全ての仮想通貨取引の損益を合算します。CryptactやGtaxに全取引所のCSVをインポートすれば、自動的に合算した損益が計算されます。その数字を確定申告書の雑所得欄に記入します。
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本記事は情報提供を目的としており、税務・投資の専門的なアドバイスを提供するものではありません。税制は変更される可能性があります。個別の税務についてはご自身で税理士等の専門家にご相談ください。

