税金・確定申告

仮想通貨を贈与したときの贈与税とは?基礎知識と課税のしくみを解説

近年、ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨(暗号資産)を家族や友人に贈与するケースが増えています。しかし、仮想通貨の贈与には現金や不動産と同様に贈与税が課税されることをご存じでしょうか。

贈与税の仕組みを正しく理解せずに贈与を行うと、思わぬ税負担が生じる可能性があります。本記事では、仮想通貨を贈与した場合の課税のしくみ、評価額の算定方法、申告手続きの流れについて詳しく解説します。

仮想通貨投資を家族間で共有したい方、資産を次世代に引き継ぎたい方にとって、贈与税の知識は欠かせません。ぜひ最後までお読みください。

1. 仮想通貨と贈与税の基本的な関係

1-1. 贈与税の対象となる「財産」とは

贈与税は、個人から個人へ財産を無償で譲り渡した場合に、受贈者(受け取った側)が納める税金です。日本の税法では「財産」とは金銭的価値があるすべてのものを指し、現金・預貯金・不動産・株式だけでなく、仮想通貨も含まれます。

国税庁は仮想通貨を「財産的価値のある財産」として認定しており、2017年以降の改正資金決済法の施行に伴い、課税対象として明確に位置づけられています。したがって、ビットコインやアルトコインを他者に贈与した場合には、贈与税の申告・納付義務が発生します。

贈与税は受贈者が払う税金であるという点を覚えておきましょう。贈与した側(贈与者)には原則として贈与税の納税義務はありませんが、譲渡所得税が発生する場合があるため注意が必要です。

1-2. 仮想通貨の贈与と譲渡所得税の関係

仮想通貨を贈与した場合、贈与者側でも課税問題が生じることがあります。税法上、仮想通貨の贈与は「みなし譲渡」として扱われ、贈与時点の時価で売却したとみなされる場合があるからです。

具体的には、贈与者が仮想通貨を取得した価格(取得価額)と贈与時の時価との差額が、贈与者の譲渡益として認識されます。この譲渡益は雑所得として所得税・住民税の課税対象となります。含み益が大きい仮想通貨を贈与する場合には、贈与者側の税負担も事前に試算しておくことが重要です。

ただし、個人間の贈与については「みなし譲渡」が適用されないとする解釈もあり、税務当局の判断が分かれるケースも存在します。確定申告の際には税理士に相談することをお勧めします。

2. 仮想通貨の評価額の計算方法

2-1. 贈与時の時価をどう算定するか

贈与税の課税標準となる仮想通貨の評価額は、贈与が行われた日(贈与日)における時価で算定します。国税庁の通達によれば、仮想通貨の評価は「売買実例価額」、すなわち実際に取引が行われた価格を基準とすることが原則です。

実務上は、取引所(コインチェック、GMOコイン、ビットフライヤーなど)が公表している当日の終値または取引価格を参照するのが一般的です。取引所によって価格が異なる場合は、贈与者や受贈者が主に利用している取引所の価格を用いることが多いとされています。

評価額の算定に迷う場合は、複数の主要取引所の平均価格を採用する方法も考えられます。いずれの方法を採用するにせよ、根拠となるデータを記録・保管しておくことが税務調査への備えとして重要です。

2-2. 評価額算定における注意点

仮想通貨は価格変動が激しいため、贈与日をいつに設定するかによって評価額が大きく異なる場合があります。贈与契約書を作成し、贈与日を明確に記録しておくことが不可欠です。

また、ウォレット間の送金(例えば取引所からハードウェアウォレットへの移動)は、同一人物の財産移転であるため贈与には該当しません。しかし、異なる人物のウォレットへ送金した場合は贈与と判断されます。オンチェーン上の取引履歴は税務当局も確認できるため、実態に即した申告が求められます。

さらに、NFT(非代替性トークン)やDeFiのLPトークンなど新しい形態の仮想通貨については、評価方法がまだ定まっていないケースもあります。これらを贈与する際は、専門家への相談を強くお勧めします。

3. 贈与税の計算方法と税率

3-1. 暦年課税制度の仕組み

贈与税には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2種類があります。暦年課税制度とは、1月1日から12月31日までの1年間に受贈した財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税する制度です。

基礎控除額110万円以内の贈与であれば、贈与税は課税されません。例えば、100万円相当のビットコインを贈与しても、他に贈与を受けていなければ贈与税はゼロです。この110万円の非課税枠は、仮想通貨を含むすべての財産の合計で判断される点に注意が必要です。

課税対象となる金額(課税価格)に応じた税率は以下のとおりです。一般税率(一般贈与財産)の場合、200万円以下は10%、400万円以下は15%(控除額10万円)、600万円以下は20%(控除額30万円)、1,000万円以下は30%(控除額90万円)と段階的に高くなります。1億円超の場合は最高税率55%が適用されます。

3-2. 特例税率(直系尊属からの贈与)

18歳以上の受贈者が、父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受ける場合には「特例税率」が適用されます。特例税率は一般税率より低く設定されており、200万円以下は10%、400万円以下は15%(控除額10万円)、600万円以下は20%(控除額30万円)、1,000万円以下は30%(控除額90万円)、1,500万円以下は40%(控除額190万円)、3,000万円以下は45%(控除額265万円)、4,500万円以下は50%(控除額415万円)、4,500万円超は55%(控除額640万円)です。

仮想通貨を親から子へ、または祖父母から孫へ贈与する場合には、この特例税率が適用されるため、一般税率と比べて税負担を抑えられます。家族間での仮想通貨贈与を検討する際には、特例税率の適用可否を必ず確認しましょう。

なお、特例税率の適用を受けるためには、贈与税の申告書に「特例贈与財産」として記載する必要があります。申告漏れがないよう注意が必要です。

4. 贈与税の申告手続きと期限

4-1. 申告が必要なケースと不要なケース

暦年課税制度における贈与税の申告が必要なのは、1年間に受贈した財産の合計が基礎控除額110万円を超えた場合です。仮想通貨の贈与であっても、この基準は同様に適用されます。

一方、110万円以下の贈与であれば申告義務はありません。しかし、将来の税務調査への備えや、複数年にまたがる贈与の記録として、贈与契約書を作成しておくことが推奨されます。「暦年贈与の事実」を明確にしておくことが、相続税対策上も重要です。

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日が申告・納付期限となります。この期限を過ぎると延滞税や加算税が課される場合があるため、スケジュール管理が重要です。

4-2. 申告書の書き方と提出方法

贈与税の申告書(第1表、第2表)は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。e-Taxを利用したオンライン申告も可能であり、マイナンバーカードがあれば自宅から申告を完結できます。

申告書には受贈財産の種類(仮想通貨の銘柄名・数量・評価額)、贈与者の氏名・住所、贈与を受けた日付などを記載します。評価額の根拠となる資料(取引所のレート証明など)は添付資料として保管しておきましょう。

税務署への持参、郵送、e-Taxのいずれの方法でも申告可能です。納付は最寄りの金融機関、コンビニ(30万円以下)、クレジットカード、インターネットバンキングなどで行えます。

5. 仮想通貨贈与における節税のポイント

5-1. 毎年110万円の非課税枠を活用する

暦年課税の基礎控除額110万円は、毎年リセットされます。つまり、複数年にわたって計画的に仮想通貨を贈与することで、贈与税を発生させずに資産を移転できます。例えば、100万円相当のビットコインを毎年贈与すれば、10年間で1,000万円相当を非課税で移転できる計算になります。

ただし、定期贈与(毎年一定額を贈与する旨の契約)として税務当局に認定された場合は、合計金額に対して一括で贈与税が課される可能性があります。この「定期金の贈与」とみなされないためには、贈与のたびに贈与契約書を作成し、金額や時期を固定しないことが重要です。

また、仮想通貨は価格変動があるため、贈与するタイミングによって評価額が変わります。価格が低い時期に贈与することで、同じ数量でも評価額を抑えられる場合があります。市況を見ながら戦略的に贈与するアプローチも考えられます。

5-2. 相続時精算課税制度との比較

贈与税には暦年課税のほかに「相続時精算課税制度」があります。この制度は60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用でき、累計2,500万円まで贈与税が非課税となります(2,500万円超は一律20%課税)。

ただし、相続時精算課税制度を選択した場合、贈与した財産は将来の相続財産に加算されるため、相続税の節税には直結しません。あくまでも「贈与税の支払い時期を相続時まで繰り延べる制度」と理解しておく必要があります。

2024年以降の改正により、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が設けられました。この改正により、相続時精算課税制度の使い勝手が向上しており、仮想通貨の贈与戦略においても検討する価値が高まっています。

6. 贈与税に関するよくある疑問

6-1. 海外取引所を通じた贈与の課税関係

海外の取引所を介して仮想通貨を贈与した場合でも、受贈者が日本の居住者であれば日本の贈与税が課税されます。取引が国境を越えていても、課税判断は受贈者の居住地を基準とするためです。

一方、贈与者が日本の非居住者(海外在住の外国人等)であり、受贈者も一定期間海外に居住している場合など、課税関係が複雑になるケースも存在します。国際税務の専門家への相談が不可欠です。

また、国外財産調書の提出義務(5,000万円超の国外財産保有者)との関係も整理しておく必要があります。海外ウォレットや海外取引所の資産は国外財産調書の対象となる可能性があります。

6-2. 仮想通貨を親から子への「教育資金贈与」に使えるか

教育資金の一括贈与の非課税特例(1,500万円まで非課税)は、金融機関を通じた特定の資金のみに適用されます。現時点では、仮想通貨をそのまま教育資金贈与の対象とすることはできません。

仮想通貨を売却して現金化し、その現金を教育資金贈与の口座に預け入れる形であれば、特例の適用を受けられます。仮想通貨の売却による利益が発生した場合は、贈与者側の確定申告が必要となる点も忘れずに対応してください。

まとめ

仮想通貨の贈与は、現金や不動産と同様に贈与税の課税対象となります。贈与日の時価で評価額を算定し、暦年課税の基礎控除額110万円を超えた部分に贈与税が課税されます。

節税の観点からは、毎年の非課税枠110万円を活用した計画的な贈与、価格が低い時期を選んだ贈与、相続時精算課税制度の活用などが有効な選択肢となります。

一方で、定期贈与とみなされるリスク、贈与者側の譲渡所得税、海外取引所を利用した場合の複雑な課税関係など、注意すべき点も多くあります。仮想通貨の贈与を検討する際は、税理士などの専門家に相談したうえで、適切な方法を選択することをお勧めします。

よくある質問

Q1. 仮想通貨を110万円以内で贈与した場合、申告は不要ですか?

暦年課税制度では、1年間に受贈した財産の合計が110万円以内であれば申告義務はありません。ただし、贈与の事実を証明するために贈与契約書を作成しておくことを強くお勧めします。なお、相続時精算課税制度を選択している場合は、110万円以内でも申告が必要なケースがあります。

Q2. 仮想通貨を贈与した贈与者にも税金がかかりますか?

贈与者には原則として贈与税はかかりませんが、仮想通貨の取得価額と贈与時の時価との差額が譲渡益として雑所得に算入される可能性があります。含み益が大きい仮想通貨を贈与する場合は、贈与者側の税負担も事前に確認することが重要です。

Q3. 仮想通貨の価格が贈与後に下落した場合、評価額は変更できますか?

贈与税の評価額は原則として贈与日の時価で確定します。贈与後に価格が下落しても、申告した評価額を遡って変更することは認められていません。価格変動リスクを踏まえ、贈与のタイミングは慎重に選ぶ必要があります。

※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Bitcoin Analyze 編集部

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