ボリンジャーバンド・スクイーズを活用したトレードにおいて、スクイーズが発生しているかどうかを正確に把握することは非常に重要です。目視でチャートを確認するだけでは見落としや誤判断が生じることがあるため、定量的な指標を使ってスクイーズを検出する方法が広く使われています。
代表的な手法として、バンドウィドス(Band Width)指標を使う方法と、ジョン・カーター氏が開発した「TTMスクイーズ(Squeeze Momentum Indicator)」を活用する方法があります。これらの手法を組み合わせることで、より信頼性の高いスクイーズ検出が可能となります。
本記事では、各指標の計算方法・見方・活用のポイントを詳しく解説します。数式を含む内容も含まれますが、できるだけ分かりやすく説明しますので、ぜひ最後までお読みください。
1. バンドウィドス指標によるスクイーズ検出
1-1. バンドウィドスの計算方法
バンドウィドス(BW)は、ボリンジャーバンドの上部バンドと下部バンドの差を中心線(移動平均)で割った値です。この値が小さいほどバンドが収縮しており、スクイーズが進行していることを意味します。
計算式: BW = (上部バンド − 下部バンド) / 中心線 × 100
例えば、ビットコインの価格が100,000ドル、上部バンドが103,000ドル、下部バンドが97,000ドルの場合、BW = (103,000 − 97,000) / 100,000 × 100 = 6.0となります。この値が過去の最小値付近にある場合、スクイーズ状態と判断できます。
1-2. バンドウィドスの移動最小値との比較
バンドウィドスの絶対値だけでなく、過去一定期間(例:125日間)の最小値と比較することで、現在のスクイーズの強度を相対的に評価できます。この比較手法は「ボリンジャーバンド・スクイーズランク」とも呼ばれます。
具体的には、現在のBWが125日間の最低BWを下回っているとき、統計的に見て非常に珍しい低ボラティリティ状態にあると判断されます。このような状態が長続きするほど、後のブレイクアウトが大きくなりやすいとされています。
- BWが過去最小値の120%以下: 強いスクイーズ
- BWが過去最小値の150%以下: 中程度のスクイーズ
- BWが過去最小値を超え始めたとき: スクイーズ解消の予兆
2. TTMスクイーズ(Squeeze Momentum Indicator)の仕組み
2-1. TTMスクイーズの概要
TTMスクイーズは、ジョン・カーター氏が開発した複合指標で、ボリンジャーバンドとケルトナーチャネルを組み合わせてスクイーズを検出し、同時にモメンタム(価格の勢い)を可視化します。多くのトレーディングプラットフォーム(TradingViewなど)で標準的に利用できます。
TTMスクイーズは2つの要素から構成されます。1つ目がスクイーズ検出ドット(赤ドット=スクイーズ中、緑ドット=スクイーズ解消)で、2つ目がモメンタムを示すヒストグラム(上向き=上昇モメンタム、下向き=下降モメンタム)です。
2-2. ケルトナーチャネルとの組み合わせ
TTMスクイーズでのスクイーズ検出は、「ボリンジャーバンドがケルトナーチャネルの内側に収まっているかどうか」で判定されます。ケルトナーチャネルはATR(平均真のレンジ)を使って計算されるバンドで、ボリンジャーバンドよりも相場の通常の変動範囲をよく反映します。
- BB(ボリンジャーバンド)< KC(ケルトナーチャネル): スクイーズ中(赤ドット)
- BB(ボリンジャーバンド)> KC(ケルトナーチャネル): スクイーズ解消(緑ドット)
この条件が成立している間は、相場がエネルギーを蓄えているスクイーズ状態と判断されます。緑ドットに切り替わった瞬間がスクイーズ解消のシグナルであり、モメンタムの方向と合わせてエントリーを検討するタイミングとなります。
3. モメンタム・ヒストグラムの活用法
3-1. モメンタムの計算と意味
TTMスクイーズのモメンタムは、線形回帰を使った独自計算で求めます。価格の「勢い」がどの方向に向かっているかを数値化したものです。ヒストグラムが上向きであれば上昇モメンタム、下向きであれば下降モメンタムを示します。
モメンタムはゼロラインをまたいで増加しているか減少しているかも重要です。ゼロラインを上向きに突破するとき(底打ちから反転)は強い上昇サインとして解釈されます。逆にゼロラインを下向きに突破するとき(天井打ちから反転)は強い下降サインです。
3-2. スクイーズ解消とモメンタムの方向の組み合わせ
スクイーズが解消された瞬間(赤ドットから緑ドットへの切替)に、モメンタムの方向を確認することがエントリーの基本的なルールです。
- スクイーズ解消 + モメンタム上向き: 買いエントリーのシグナル
- スクイーズ解消 + モメンタム下向き: 売りエントリーのシグナル
さらに精度を高めるには、モメンタムが増加から減少に転じているか(ヒストグラムのバーが短くなってきているか)も確認します。ヒストグラムが増加傾向にある場合は勢いが継続しており、減少傾向にある場合は勢いが弱まっていると解釈できます。
4. TradingViewでのスクイーズ指標の設定方法
4-1. TTMスクイーズの追加手順
TradingViewでTTMスクイーズを使う場合は、インジケーターの検索から「Squeeze Momentum Indicator」または「TTM Squeeze」と入力することで見つけられます。公式版のほか、コミュニティが公開したカスタム版も多数存在します。
設定パラメーターとしては、ボリンジャーバンドの期間(デフォルト20)・σ(デフォルト2)、ケルトナーチャネルの期間(デフォルト20)・ATR倍率(デフォルト1.5)が主な調整項目です。ビットコインの場合、デフォルト設定のままでも十分機能することが多いですが、個人で検証を重ねながら最適な設定を探してみることを推奨します。
4-2. バンドウィドス指標の自作方法
TradingViewのPineScriptを使えば、バンドウィドス指標を自作することも可能です。簡単なコードで実装できるため、既存の指標に加えてカスタム指標を追加したいトレーダーには有益です。
基本的なPineScriptのロジックは、ボリンジャーバンドの計算(ta.bb関数を使用)→ 上下バンドの差を中心線で割る → プロットする、という流れになります。過去125日間の最小値との比較機能も追加することで、スクイーズの強度をより正確に評価できます。
5. 複数時間軸でのスクイーズ検証
5-1. マルチタイムフレーム分析の重要性
スクイーズの信頼性を高めるために、複数の時間軸でスクイーズが同時に発生していないかを確認する「マルチタイムフレーム分析」が有効です。例えば、週足・日足・4時間足の3つの時間軸すべてでスクイーズが観察された場合、その後のブレイクアウトはより大きな値動きにつながりやすいと考えられます。
逆に、短期時間軸だけでスクイーズが発生している場合は、中長期のトレンドと逆行するリスクがあるため、慎重に対処することが賢明です。上位足のトレンド方向に沿ったエントリーが、勝率を高めるうえで重要なポイントとなります。
5-2. 時間軸ごとのシグナルの優先順位
複数時間軸でシグナルが発生した場合の優先順位について、一般的には上位足(長い時間軸)のシグナルを優先することが推奨されます。週足でスクイーズが解消され上昇方向のシグナルが出ている場合、日足や4時間足のエントリーポイントを探して追随する戦略が有効です。
ただし、上位足のシグナルが出てから下位足のシグナルが一致するまでにタイムラグが発生することがあります。このタイムラグを利用して、より精度の高いエントリータイミングを狙う方法も有効です。
6. スクイーズ検出における実践上の注意点
6-1. 連続するスクイーズへの対応
スクイーズが解消された後、しばらくしてから再びスクイーズが始まることがあります。このような連続するスクイーズの場合、最初のスクイーズより2回目・3回目のスクイーズの方が解消後の値動きが大きくなることがあります。
連続スクイーズを観察する際は、それぞれのスクイーズの強度(バンドウィドスの最小値)と継続期間を記録しておくことが有益です。強度が増し継続期間が長くなるほど、解消時の爆発力が高まる傾向があります。
6-2. レンジ相場でのスクイーズの扱い
レンジ相場においてはスクイーズが繰り返し発生することがあります。レンジ内のスクイーズ解消は単なるレンジ内の値動きに過ぎないため、レンジ上限・下限のブレイクアウトと区別することが重要です。
水平サポート・レジスタンスラインを事前に把握したうえでスクイーズを監視し、レンジ外へのブレイクアウトが伴うスクイーズ解消のみをトレード対象とすることで、精度向上が期待できます。
まとめ
スクイーズを定量的に検出するための主要な手法として、バンドウィドス指標とTTMスクイーズインジケーターについて解説しました。バンドウィドスで相対的なスクイーズ強度を評価し、TTMスクイーズでスクイーズ状態とモメンタム方向を確認するという組み合わせが実践的です。
複数時間軸の分析を取り入れることで、シグナルの信頼性をさらに高めることができます。これらの手法を理解したうえで、自分のトレードスタイルに合った形で活用方法を検討してみてください。また、どのような手法も100%確実ではないため、常にリスク管理を最優先に据えることが大切です。
よくある質問
- Q1. TradingViewでTTMスクイーズを無料で使えますか?
- TradingViewのコミュニティスクリプトには無料で利用できるTTMスクイーズの実装が多数公開されています。ただし、オリジナルのTTMスクイーズはThinkOrSwim(TD Ameritrade)の有料ツールで使われているものです。TradingViewのフリープランでも基本的な機能は利用できます。
- Q2. バンドウィドスの比較期間は何日が適切ですか?
- 一般的には125日間(約半年)が多く使われます。ただしビットコインの市場サイクルを考慮すると、52週(365日)など年間単位での比較も有効です。自身のトレードスタイルや投資期間に合わせて調整することを推奨します。
- Q3. モメンタムの方向とスクイーズ解消が一致しない場合はどうしますか?
- スクイーズ解消のタイミングとモメンタムの方向が一致しない場合は、様子見が最善です。無理にエントリーせず、両者が明確に一致したタイミングを待つことで、精度の高いエントリーが可能になります。
※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。