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OTC取引とは?機関投資家が取引所を使わずビットコインを買う理由

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ビットコインをまとまった規模で、たとえば数十億円分を一度に買おうとするほど、取引所の板では買えなくなります。買い注文を出すという行為そのものが価格を押し上げてしまい、買い進むほど平均取得単価が悪化していくからです。大口であるほど市場で買わない、というこの逆説が、OTC取引という仕組みが存在する理由です。

OTC取引とは、取引所の注文板を通さず、売り手と買い手が一対一で価格と数量を決めて売買する方法です。日本語では相対(あいたい)取引と呼ばれます。この記事では、機関投資家がなぜ板を避けるのか、OTCデスクの内側で何が起きているのか、そしてOTC関連のデータを需給のシグナルとして読むときに何に気をつけるべきかまでを扱います。

読み終えるころには、「大口の買いが入ったはずなのに価格がほとんど動かなかった」と報じられる場面で、その裏側で使われた執行方法を具体的に想像できるようになります。ここでは各取引所が公開している執行方法の説明と、板の構造から誰でも確認できる事実を突き合わせて整理しました。順に見ていきましょう。

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OTC取引とは何か

通常の取引所取引では、参加者全員が同じ注文板に注文を出し、価格が合致したものから約定していきます。誰がいくらでどれだけ買いたいかが公開され、約定した瞬間に価格として記録されます。

OTC取引はこの板を使いません。買い手が「1,000BTCを買いたい」と伝えると、OTCデスクと呼ばれる仲介業者が全数量分の価格を提示し、両者が合意すれば1本の取引として成立します。板に注文が並ばないため、約定するまで市場からは見えません。株式や外国為替では以前から一般的な取引形態で、暗号資産でも大口向けの標準的な選択肢のひとつになっています。

なぜ板を使わないのか

理由は、板の厚みが有限だからです。板には各価格帯にいくらの注文があるかが並んでいますが、その量は無限ではありません。成行で大量に買えば、最良の価格の注文を食い尽くし、次はより不利な価格、その次はさらに不利な価格へと約定が進みます。この、想定した価格と実際の平均約定価格とのずれをスリッページと呼びます。

数万円分の売買であればスリッページはほとんど意識する必要がありません。しかし数億円、数十億円の規模になると、執行のやり方だけで取得単価が無視できない差になります。加えて、大口の買い注文が板に現れること自体が他の参加者に情報を与え、先回りされて価格が動くという問題もあります。

観点 取引所の板で執行 OTCで執行
価格の決まり方 板にある注文を順に消化した結果 数量全体に対して提示された一本値
市場からの見え方 注文と約定が公開される 約定するまで見えない
大口時のスリッページ 数量が増えるほど大きくなりやすい 提示価格に織り込まれ、事後のぶれは小さい
主な利用者 個人から機関まで広く 最低取引金額を満たす法人・富裕層が中心
相手方のリスク 取引所が仲介する デスクの信用力と決済条件に依存する

板での執行が常に不利というわけではありません。時間をかけて注文を細かく分割し、少しずつ執行していく手法も広く使われています。要は、数量と急ぎ具合に応じて手段を選んでいるということです。執行の考え方全般は投資戦略のカテゴリでも扱っています。

OTCデスクの内側で起きていること

価格の提示(見積もり)

買い手は希望する数量を伝え、デスクは全数量に対する価格を提示します。提示された価格には、デスクが負う在庫リスクや調達コストが上乗せされています。買い手はその一本値を受けるかどうかを判断するだけなので、約定後に平均単価が想定から外れるという事態は起きにくくなります。

自己勘定型と仲介型

デスクには大きく2つの型があります。ひとつは自らの在庫を使って相手方となる自己勘定型で、その場で取引が完結する代わりに、デスクは価格変動リスクを引き受けます。もうひとつは売り手を探して結びつける仲介型で、デスク自身は在庫を持たず手数料を受け取ります。どちらの型かによって、価格の出方も約定までの速さも変わります。

決済と保管

合意後は、資金と暗号資産を交換する決済の工程に移ります。片方が先に送る形にすると相手方が履行しないリスクが残るため、第三者のカストディを介して同時に受け渡す方式が使われることが一般的です。本人確認や資金源の確認といった手続きも、取引所の口座開設と同様かそれ以上に厳格に行われます。

OTCのデータを需給シグナルとして読むときの限界

「OTCデスクの在庫が減っている=供給が枯渇している」といった読み方を目にすることがあります。方向としては理解できますが、扱いには注意が必要です。

  • OTCの取引はもともと非公開です。推定されているアドレスの集計であって、全体を網羅した数字ではありません。
  • どのアドレスをOTCデスクのものと見なすかは推定に依存します。分類が変われば数字も変わります。
  • 在庫の増減は、営業上の資金繰りや保管先の変更でも動きます。需要の強さだけを映しているわけではありません。
  • データは事後に判明します。判明した時点で価格に反映済みということも珍しくありません。

使うなら、単独の根拠にせず、取引所の残高推移や出来高と合わせて傾向として見るのが妥当です。オンチェーンのデータ全般に共通する読み方の注意点はテクニカル・分析のカテゴリにまとめています。

個人投資家とOTCの接点

OTCデスクには最低取引金額が設定されているのが一般的で、数千万円から数億円といった水準が求められることが多いとされています。したがって、多くの個人にとって直接の利用は現実的ではありません。国内でも大口向けの相対取引窓口を設けている事業者はあり、たとえばコインチェックSBI VCトレードのような主要な取引所が法人・大口向けのサービスを案内しています。条件や最低金額は変更されるため、検討する場合は必ず各社の公式情報で最新の内容を確認してください。

個人が同じ発想を取り入れるなら、注文を一度に出さず時間で分割することです。数百万円規模であれば板の流動性で十分に吸収できることがほとんどですが、指値を使う、複数回に分けるといった習慣は、価格が急変する局面で効いてきます。口座の準備段階から確認したい方は始め方ガイドを参照してください。

よくある質問(FAQ)

OTC取引の価格は取引所より安いのですか

一概には言えません。提示価格にはデスクのコストが乗るため、単純な板の最良気配より不利に見えることもあります。それでも大口で使われるのは、板で執行した場合に生じるスリッページまで含めた最終的な取得単価で比較しているからです。

OTC取引は価格チャートに反映されますか

取引所の板を経由しない約定は、その取引所のチャートには直接現れません。ただし、デスクが在庫を補充するために市場で買い付ければ、その分は板を通ることになります。市場に一切影響しないわけではないと理解しておくと安全です。

個人でもOTCを使えますか

最低取引金額の条件を満たし、必要な確認手続きを通れば利用できる場合があります。ただし条件は事業者ごとに異なり、変更もあります。通常の規模であれば取引所の板や積立で十分に対応できます。

OTCで買った場合、税金の扱いは変わりますか

日本の個人であれば、取引の場が板かOTCかによって課税上の区分が変わるという扱いにはなっていません。取得価額と売却価額から損益を計算する考え方は同じです。計算方法や必要な記録は税金ガイドで整理していますが、金額が大きい場合や事業性が絡む場合は税理士や国税庁の公式情報で確認してください。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

Bitcoin Analyze 編集部

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