税金・確定申告

海外取引所の利益も日本で課税される?CRSでバレる仕組みと申告のやり方

本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含む場合があります。

※本記事にはアフィリエイト広告(A8.net)を含みます。

国内の取引所で仮想通貨を売買していると、年が明けるころに年間取引報告書が届き、1年間の損益はある程度そこで把握できます。一方、海外の取引所には、日本の税務署へ向けた同じような書類を提出する義務がありません。この「書類が届かない」という一点だけを見て、海外取引所の利益は把握されないと考える人が一定数いるとされています。

しかし、報告書が届くかどうかと、納税義務があるかどうかは別の話です。前者は集計の便宜の問題にすぎず、後者は所得税法上の義務の問題です。日本の居住者であれば、どの国の取引所で得た利益であっても日本の課税対象になるのが原則とされています。この二つを同じ軸で比べてしまうところに、最初のつまずきがあります。

さらに近年は、金融口座の情報を各国の税務当局どうしが交換する枠組みが整い、国境をまたいだ資産の把握は以前より進んでいるとされています。本記事では、居住者の全世界所得課税という原則、情報が届く仕組み、そして海外取引所の損益を実際に申告する手順を順番に整理します。

日本の居住者なら海外取引所の利益も課税対象

所得税法では、国内に住所がある個人、または現在まで引き続いて1年以上居所がある個人を「居住者」として扱います。居住者のうち非永住者以外の人は、所得が生じた場所を問わず、全世界で得たすべての所得が課税対象になるとされています。海外の取引所に置いた資金で得た売却益も、この全世界所得課税の枠のなかに入ります。

判定基準は取引所の所在地ではない

課税されるかどうかを決めるのは、取引所がどの国にあるかではなく、取引した本人がどの国の居住者かという点です。日本に生活の本拠を置いたまま海外の取引所を利用しても、居住者としての納税義務は変わらないと考えられます。日本円を経由せず、ステーブルコインだけで運用していた場合も同じで、利益が確定していれば申告の対象になる場合があります。

非永住者に該当する場合の例外

居住者のうち、日本国籍がなく、過去10年以内に日本に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下の人は「非永住者」に区分されます。非永住者は、国外源泉所得のうち日本国内で支払われたものや日本国内へ送金されたものに限って課税されるという取り扱いがあるとされています。日本で生まれ育ち日本に住み続けている人は通常この区分には当たらないため、例外に期待できるケースは限られます。

海外口座の情報が日本に届く仕組み

共通報告基準(CRS)は、各国の金融機関が自国の非居住者の口座情報を税務当局へ報告し、当局どうしがその情報を毎年やり取りする国際的な枠組みです。日本もこの枠組みに参加しており、国税庁は海外の金融口座に関する情報を毎年多数受領していると公表されています。

交換される情報の中身

報告の対象になるのは、口座保有者の氏名、住所、居住地国、納税者番号、口座残高、利子や配当などの年間受取額といった項目とされています。取引の1件ごとの明細まで届くわけではありませんが、日本の税務当局が「この人は海外に一定額の口座を持っている」という事実を把握する材料にはなり得ます。

暗号資産に関する報告の枠組み

従来の共通報告基準は、銀行口座や証券口座を主な対象としてきました。これに加えて、暗号資産の取引情報を各国が交換する新しい枠組み(暗号資産報告枠組み)の整備が国際的に進められており、日本でも対応する制度づくりが行われているとされています。開始時期や対象となる事業者の範囲は今後変わる可能性があるため、最新の情報は国税庁の公表情報で確認してください。

情報の入口は一つではない

情報交換のほかにも、100万円を超える国外への送金や国外からの受金について金融機関が提出する国外送金等調書、その年の12月31日時点で国外財産の合計が5000万円を超える人が提出する国外財産調書など、国境をまたぐ資金の動きを捉える制度が複数あるとされています。海外取引所へ日本の銀行口座から入金した記録は、こうした経路で残ることになります。

国内取引所と海外取引所の違いを整理する

課税関係そのものは同じでも、実務上の手間や資料の集まり方には差があります。次の表は、申告作業の観点から両者を比べたものです。

項目 国内取引所 海外取引所
年間取引報告書 交付されるのが一般的 交付されない場合が多い
損益計算の手間 比較的少ない 全取引履歴を自分で集計する必要
価格の表示単位 円建てが中心 外貨建てや他の暗号資産建てが中心で円換算が必要
当局の把握経路 国内の法定調書や税務調査 情報交換、送金記録、各種調書など
サービス終了時の履歴 国内法令に沿った対応が期待できる 取り出せなくなる場合がある
居住者の課税関係 課税対象 同じく課税対象

違いは「税金がかかるかどうか」ではなく、「自分で用意しなければならない資料の量」に表れます。国内での基本的な流れは仮想通貨の税金ガイドで確認しておくと、海外分の作業も進めやすくなります。

課税されるタイミングと所得区分

個人が暗号資産の取引で得た所得は、事業として行っている場合などを除き、原則として雑所得に区分され、給与所得などと合算して総合課税の対象になるとされています。税率は所得金額に応じた累進で5パーセントから45パーセント、これに住民税がおおむね10パーセント加わる形です。

利益が確定する主な場面

日本円への売却だけでなく、他の暗号資産への交換、商品やサービスの決済に使った時点、レンディングやステーキングで報酬を受け取った時点なども、所得が生じたと扱われる場合があります。海外取引所ではビットコインやステーブルコインを基軸に売買することが多く、円に戻していないまま利益が積み上がっているケースは珍しくありません。

外貨建て取引の円換算

外貨や他の暗号資産で表示された取引は、原則として取引が行われた日のレートで円に換算して計算します。どのレート情報源を使うかは、合理的な方法を選んだうえで継続して適用することが求められるとされています。年をまたいで換算方法を変えると、計算の整合性を説明しにくくなる点に注意が必要です。

海外取引所の利益を申告する手順

作業の順番を決めておくと、履歴の抜けに気づきやすくなります。次の流れを目安にしてください。

  1. その年に使ったすべての取引所、ウォレット、レンディング先を書き出す
  2. 各サービスから全期間の取引履歴をダウンロードし、入出金の履歴もあわせて保存する
  3. 損益計算ツールに取り込み、円換算した年間損益を算出する
  4. 総平均法か移動平均法のいずれかを選び、届出の要否を確認したうえで継続して適用する
  5. 算出した所得を確定申告書の雑所得の欄に記入し、国外財産調書などの提出義務がないかを確認する
  6. 原則として翌年3月15日までに申告と納付を済ませる
  7. 履歴と換算レートの根拠を、あとから説明できる形で保管する

履歴の量が多い場合は、複数の取引所に対応したクリプタクトのような損益計算サービスを使うと、手作業の集計より抜けが起きにくいとされています。ツールが対応していない取引所については、明細を自分で整える必要があります。

過去の年分に申告漏れがあると気づいた場合は、期限後申告や修正申告という手続きがあります。税務当局の調査を受ける前に自主的に申告した場合は、加算税の取り扱いが軽くなる場合があるとされています。放置している期間が長いほど延滞税の負担も積み上がるため、早い段階で整理するほうが結果的に負担は小さくなる傾向があります。

よくある質問(FAQ)

海外取引所しか使っていなければ申告しなくてよいですか

利用した取引所の所在地は、納税義務の有無を左右しないとされています。日本の居住者であれば、海外取引所だけを使っていても、そこで生じた利益は日本の課税対象になるのが原則です。国内取引所を経由していないことは、申告不要の理由にはならないと考えられます。

利益が20万円以下なら申告は不要ですか

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下であれば所得税の確定申告を要しないという取り扱いがあるとされています。ただしこれは所得税の話であり、住民税については別に申告が必要になる場合があります。個人事業主や、医療費控除などで確定申告をする人には、この基準は当てはまりません。

取引所が閉鎖して履歴が取り出せない場合はどうすればよいですか

残っている入出金の記録、ブロックチェーン上の送金履歴、スクリーンショットなどから、合理的な方法で再構成することになります。推計した部分については、どのような資料と考え方で算出したかを説明できるようにしておくことが重要とされています。まだ利用できるうちに履歴を保存しておくのが、最も確実な備えです。

海外に住んでいれば日本での申告は不要になりますか

非居住者と判定されれば、日本での課税範囲は国内源泉所得に限られるとされています。ただし居住者か非居住者かは、住民票の有無ではなく生活の本拠がどこにあるかという実態で判定されます。住居、職業、家族の居所、資産の所在などが日本に残っている場合は、居住者と判断される場合があります。

まとめ

海外取引所を使っているかどうかは、課税されるかどうかの分かれ目ではありません。日本の居住者である限り、利益が生じた場所を問わず日本の課税対象になるのが原則とされています。年間取引報告書が届かない分、履歴の収集と円換算を自分で行う必要があるという点が、実務上の本当の違いです。

情報交換の枠組みは年々広がっており、暗号資産についても対象化が進められているとされています。制度の細部や適用時期は変わる可能性があるため、申告の前には必ず最新の情報を確認してください。これから口座を増やす予定がある人は、税金・確定申告カテゴリの記事もあわせて読んでおくと、記録の残し方を先に決めやすくなります。国内で口座を開くところから始める場合は、コインチェックのように年間取引報告書が交付される事業者を軸にすると、集計の負担を抑えやすい傾向があります。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

判断に迷う論点は、先に確認したほうが早い

この記事で扱ったのは、公開されている情報から言える一般的な扱いです。実際の申告では、自分の取引履歴に当てはめたときに判断が要る場面が出てきます。区分の判定、過年度の修正、複数の論点が重なる場合などです。

クリプト税理士は暗号資産の確定申告を専門に扱うサービスで、LINEから相談を始められます。対応範囲や費用は変わることがあるため、依頼前に公式ページで確認してください。

自分のケースに当てはめたときに、判断がつかない論点がある場合だけ:
クリプト税理士にLINEで対応範囲と料金を聞く(PR)

取引が国内取引所の現物売買だけで、金額も小さいなら、この記事の内容で足ります。税務署でも相談を受け付けているので、費用をかける前に確認する手もあります。

申告までの3工程PR

損益計算ツールが出せるのは所得金額までで、確定申告書そのものは作成できません。工程が分かれている点を先に押さえておくと、年明けに手が止まりにくくなります。

  1. 1取引履歴を集める各取引所から年間の履歴をダウンロードする
  2. 2年間の損益を計算する複数取引所の履歴をまとめて所得金額を出す
    クリプタクト
  3. 3確定申告書を作成して提出する出した金額を雑所得として申告書に入力する
    マネーフォワード クラウド確定申告やよいの青色申告 オンライン

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

Bitcoin Analyze 編集部

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください