ビットコイン - BTC

ETFで持つのとウォレットで持つのは何が違う?自己主権の観点で比較

本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含む場合があります。

ビットコインの発行上限が2,100万枚と決められていることは広く知られています。しかし、その1枚を「実際に動かせるのは誰か」は、保有の仕方によって変わります。証券口座の画面に並ぶETFの残高と、自分のウォレットに入っているビットコインは、値動きこそ同じでも、手にしている権利の中身が別物です。

先に結論をお伝えすると、ETFは価格の値動きを受け取る権利、ウォレットはビットコインそのものを動かす権利です。どちらが優れているという話ではなく、守れるものが違います。現物ETFの目論見書に書かれた保管と償還の仕組みと、主要なウォレットの公式ドキュメントの記述を突き合わせると、この差ははっきり見えてきます。

なぜそうなるのか、権利・リスク・コスト・税務の順に比較しながら解説します。

「ペーパービットコイン」批判が本当に指しているもの

ETFの残高が増えるたびに、「ペーパービットコイン」という言葉が話題になります。裏付けとなる現物がないまま、証券だけが増えているのではないか、という懸念を指した俗称です。

ただし、現物ETFは仕組み上、原則として現物のビットコインをカストディアン(顧客資産の保管を専門に行う業者)に預けたうえで設定されるとされています。ですから「裏付けがまったく存在しない」という言い方は正確ではありません。

批判が実際に突いているのは、もう一段深いところです。ETFの投資家は、そのビットコインの秘密鍵(コインを動かすための署名に使う鍵)を持ちません。送金にも決済にも使えず、ネットワークが分岐したときにどちらを選ぶかという意思表示にも関われません。ビットコインが「自分で保管できる資産」として設計された部分の恩恵は、ETFでは受け取れない。これが自己主権(セルフカストディ)の観点から見た論点です。

権利の中身を並べて比べる

言葉で並べると抽象的になるので、実務で効いてくる項目だけを表にしました。

項目 現物ETF 自己保管ウォレット
価格変動の享受 できる できる
秘密鍵を持つ人 運用会社が選んだカストディアン 自分
送金・決済への利用 できない できる
取引できる時間 証券市場の取引時間 24時間365日
保有しているだけでかかる費用 信託報酬が日々差し引かれる 原則なし(送金時に手数料)
主なリスク 運用会社や保管先の破綻・事故、上場廃止 鍵の紛失、フィッシング、操作ミス
相続・引き継ぎ 証券会社の手続きに乗せられる 引き継ぎ方法を自分で設計する必要がある
始めるまでの手間 証券口座があればすぐ ウォレットの準備と学習が必要

値動きを取るという一点だけを見れば、両者はほぼ同じ機能を果たします。差が出るのは、それ以外のすべてです。

自己主権が効く場面と、裏目に出る場面

効く場面

自分で鍵を持っていることが実際に役に立つのは、次のような状況です。

  • 市場が閉まっている時間帯でも、自分の判断で動かせる
  • 資産の一部を、特定の金融機関の信用に依存しない場所に置ける
  • 海外への送金や決済に、そのまま使える
  • 取引所やサービス事業者の破綻・出金停止から切り離せる

暗号資産で起きた大きな損失の多くは、価格下落そのものよりも、預けていた先のトラブルによるものだったと言われます。「自分の鍵でなければ自分のコインではない」という言い回しが繰り返されるのは、このためです。実際に自己保管へ移すなら、ハードウェアウォレットの選び方を先に読んでおくと機種選びで迷いません。製品の実勢価格はハードウェアウォレットの一覧で確認できます。

裏目に出る場面

自己保管には問い合わせ窓口がありません。回復フレーズ(ウォレットを復元するための単語列)を失えば、誰にも取り戻せません。パスワード再発行にあたる仕組みが存在しないことが、この方式の強さであり、同時に弱さでもあります。

加えて、自己保管を始めた人ほど、公式サポートを装った偽サイトや偽アプリの標的になります。回復フレーズを入力させようとする画面はすべて偽物だと考えて構いません。手口の型は詐欺の見分け方にまとめています。

コストと税務の違いも判断材料になります

ETFは保有しているだけで信託報酬が日々差し引かれます。年0.2%前後の商品もあれば年1%台の商品もあり、長期保有ではこの差が積み上がります。一方、自己保管の保有コストは原則ゼロで、代わりに購入時のスプレッドと送金手数料がかかります。短期なら売買コスト、長期なら保有コストが効くという構造です。

税務の区分も揃っていません。一般に、上場している投資信託やETFの売却益は申告分離課税、暗号資産の売却益は原則として雑所得として総合課税で扱われるとされています。損益通算や繰越控除の扱いも同じではありません。適用は商品や口座の種類、その年の制度によって変わりますので、仮想通貨の税金ガイドで全体像をつかんだうえで、必ず最新の公式情報や税務の専門家に確認してください。

もうひとつ実務的な注意点として、日本の証券会社で現物ビットコインETFを買えるかどうかは、商品・時期・口座区分によって異なります。「経費率が安い商品を見つけたのに、そもそも買えなかった」ということが起こり得ますので、比較の前に取扱いの有無を確認しておくと無駄がありません。

国内で現物を持つ場合は、コインチェックGMOコインのような国内の登録業者で購入し、必要な分だけ自分のウォレットへ送る流れが基本になります。口座開設から購入までの手順は仮想通貨の始め方ガイドにまとめています。

金額と目的で使い分ける

ここまでを踏まえた、現実的な線引きです。

  • 値動きだけを取りたい、証券口座の中で完結させたい場合はETF
  • 数万円程度で仕組みを覚えている段階なら、取引所の口座に置いたままでも実害は限定的
  • 生活資金と切り離して長期で持ち、金額がまとまってきたら、一定額を超えた分から自己保管へ
  • 送金や決済に使う予定があるならウォレット一択

両方を持つのも珍しい選択ではありません。証券口座でETFを積み立てつつ、一定額はハードウェアウォレットに移しておく組み合わせなら、値動きを取る手軽さと、金融システムから独立した保管の両方を確保できます。ビットコインそのものの設計思想についてはビットコインのカテゴリ記事もあわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

ETFを買えば、ビットコインを持っていることになりますか?

経済的な損益はほぼ同じように動きますが、法的に持っているのはファンドの受益権であって、ビットコインそのものではありません。送金はできず、鍵も渡されません。

取引所に預けたままの状態は、自己保管に入りますか?

入りません。秘密鍵を管理しているのは取引所なので、位置づけとしてはETFと自己保管の中間です。事業者の信用に依存する点はETFと共通で、価格変動以外のリスクを抱えている点も同じです。

少額のうちは利便性を優先しても構いませんが、金額が増えたら見直す前提で考えておくと安全です。

いくらから自己保管に移すべきですか?

一律の正解はありません。目安になるのは「失っても生活が変わらない金額を超えたかどうか」です。移すときは、いきなり全額を送らず、最小額でテスト送金して着金を確認してから残りを動かしてください。

ハードウェアウォレットが壊れたら、資産は消えますか?

消えません。回復フレーズが手元にあれば、別の端末で同じウォレットを復元できます。守るべき本体は機器ではなく回復フレーズのほうだと考えてください。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

Bitcoin Analyze 編集部

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

Amazonのアソシエイトとして、Bitcoin Analyzeは適格販売により収入を得ています。