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ビットコインの発行上限はなぜ2100万枚?希少性の設計思想を解説

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ビットコインの2100万枚という上限は、破れない暗号で封印されているわけではありません。上限を定めているのはソフトウェアの中のごく短い計算式で、書き換えること自体は誰にでもできます。それでもこの数字は、ビットコインのルールの中で最も動かしにくい部分だと考えられています。技術的には変更できるのに、現実には変わらない。この逆説の中身こそが、希少性の設計思想そのものです。

この記事では、2100万という数字がどこから出てきたのかという計算の話から始めて、実際の流通量が上限に届かない理由、そして「変えようと思えば変えられるのに変わらない」構造がどう成り立っているのかまでを順に整理します。読み終えれば、ビットコインの希少性が何によって支えられていて、どこまでが仕組みの保証で、どこからが市場の期待にすぎないのかを切り分けて考えられるようになります。

ここで扱うのは、公開されている仕様と各種公式資料で共有されている一般的な知識の範囲です。順に見ていきましょう。

2100万は「決めた数字」ではなく「出てきた数字」

先に決められたのは上限そのものではなく、発行のペースだったと説明されることの多い数字です。設計の前提は3つしかありません。

  • ブロックの生成間隔がおよそ10分になるよう、採掘の難易度が自動調整される
  • 最初のブロック報酬は50ビットコイン
  • 21万ブロックごとに報酬が半分になる(半減期)

21万ブロック分の時間は、およそ4年にあたります。報酬は50、25、12.5と半分ずつ減っていく等比数列になり、これを無限に足し合わせると100に収束します。つまり総発行量は21万ブロック × 100 = 2100万枚。2100万というきりのよい数字が先にあったのではなく、ブロック間隔と初期報酬と半減の周期を決めた結果として現れた値だ、という順序です。

時期 1ブロックあたりの報酬
2009年〜 50ビットコイン
2012年〜 25ビットコイン
2016年〜 12.5ビットコイン
2020年〜 6.25ビットコイン
2024年〜 3.125ビットコイン
2028年ごろ(予定) 1.5625ビットコイン

報酬はやがて最小単位(1億分の1ビットコイン)を割り込み、計算上は2140年ごろに新規発行がゼロになるとされています。半減期の時期はブロックの進み方によって前後するため、年は目安として捉えてください。

上限があることの意味は「誰にも増やせない」こと

法定通貨は、経済状況に応じて供給量を調整できることが利点であり、同時に利用者から見れば不確実性でもあります。どれだけ発行されるかを決めるのは政策判断であり、個人が何年も先まで正確に知ることはできません。ビットコインはこの部分を、人の判断からあらかじめ書かれたルールへ移しました。

重要なのは「量が少ない」ことよりも、将来の発行量が誰にとっても事前に計算できるという点です。10年後に何枚流通しているかを、今この瞬間に誰でも算出できます。新規発行が半減するたびに、既存の流通量に対する新規供給の割合は下がり続け、現在は年率で数パーセントを下回る水準にあるとされています。ただし、供給が絞られることと価格が上がることは別の話で、価格には需要側の要因が同じだけ働きます。

実際には2100万枚は流通しない

計算の切り捨てで数枚分が失われている

報酬額は最小単位に基づく整数で扱われるため、半減を重ねる過程で端数が切り捨てられます。この積み重ねにより、理論上の到達点はきっかり2100万枚をわずかに下回るとされています。日常の感覚では誤差の範囲ですが、上限が計算式から導かれた値であることを示す例です。

受け取られなかった報酬がある

初期には、採掘した報酬を請求する取引を正しく作らなかった例や、同じ内容の報酬取引が重複して古い記録を上書きし、結果として使えなくなった例が知られています。いずれも仕様上の抜けが修正される前の出来事で、現在は同じことが起こらないよう対策されています。

鍵を失ったコインは誰にも戻せない

秘密鍵を紛失した保有分は、記録の上では存在し続けますが、永久に動かせません。どれほどの量が事実上失われているかを正確に測る方法はなく、分析によって幅がありますが、初期に採掘された分を中心にかなりの量が動かなくなっているとする推計もあります。自己保管を考えるなら、鍵の管理方法はハードウェアウォレットの解説を先に読んでおくことをおすすめします。

技術的には変えられるのに、なぜ変わらないのか

ルールを守らせているのは採掘者ではなくノード

よくある誤解に「採掘者が多数決で決めている」というものがあります。実際には、ネットワークに参加する各ノードが、受け取ったブロックを自分の手元のルールで一つずつ検証しています。上限を超える報酬を含むブロックは、どれだけ計算量が投じられていても、単純に無効として捨てられます。採掘者が決められるのは取引の順番であって、ルールそのものではありません。

上限変更は互換性のない分岐になる

上限を引き上げる変更は、旧ルールのノードから見れば不正なブロックを作ることを意味します。全員が足並みをそろえて更新しない限り、ネットワークは2つに分かれます。そして分かれた先の一方は、上限を守る従来のビットコインとして存続します。つまり上限を変えるには、既存の参加者を説得するのではなく、別のネットワークを立ち上げて人々に乗り換えてもらう必要があるわけです。

誰にも変更する動機がない

保有者にとって、発行上限の引き上げは自分の持ち分が薄まることを意味します。取引所や決済事業者にとっても、顧客の資産価値を損ねる変更に賛同する理由がありません。採掘者は短期的に報酬が増えるように見えますが、価値が下がれば収入も下がります。実質的に変更不可能にしているのはコードではなく、この利害の一致だと考えられています。

2140年以降、ネットワークは何で守られるのか

新規発行がなくなると、採掘者の収入は取引手数料だけになります。手数料の総額が十分に大きければ計算能力は維持され、安全性も保たれます。ここは設計上まだ結論の出ていない論点で、ブロックの容量、手数料市場の成熟度、上位の決済層の普及度合いなど、複数の要素が絡みます。断定的に語られる将来像には、いずれも前提条件が付いていると考えたほうがよいでしょう。

とはいえ、これは100年以上先の話であり、その間に半減期は何度も訪れます。当面の実務的な関心は、半減期のたびに採掘の収益構造がどう変わり、それが市場にどう波及するかという点に置かれています。関連する分析はビットコインのカテゴリで継続的に取り上げています。

希少性をどう投資判断に落とすか

発行上限が保証しているのは「供給が増えない」ことだけで、「価値が上がる」ことではありません。供給が固定された資産の価格は、需要の変動をそのまま受け止めます。上限があるから値動きが穏やかになるという関係ではなく、むしろ需要の増減が価格に直接表れやすい構造だと理解しておくほうが、実態に近いはずです。

そのうえで長期保有を前提にするなら、どこで買うかよりも、保管と税務のほうが後から効いてきます。国内で購入する場合はビットバンクGMOコインなど、取扱通貨と手数料体系を公式ページで確認したうえで選ぶとよいでしょう。自己保管へ移すことを考えるならハードウェアウォレットの製品一覧を眺めて、対応通貨と入手経路を先に把握しておくと迷いません。売却や交換の際の課税関係は仮想通貨の税金ガイドにまとめています。

よくある質問(FAQ)

2100万枚に達したらビットコインは使えなくなりますか

新規発行が止まるだけで、送金も保有もそのまま続きます。変わるのは採掘者の収入源が報酬から手数料へ完全に移ることで、利用者側の操作や手順が変わるわけではありません。

すでに何枚くらい発行されているのですか

半減期を重ねてきた結果、発行済みの割合は総量の9割を超える水準に達しているとされています。残りは今後100年以上をかけて、少しずつ発行されていく計算です。正確な数値は公開されているブロックの記録から誰でも確認できます。

1枚が高すぎて買えないのですが

ビットコインは1億分の1まで分割できるため、1枚単位で買う必要はありません。国内の取引所では数百円程度から購入できるところが一般的です。最初の手順は仮想通貨の始め方ガイドで確認できます。

上限を変える提案が出たことはないのですか

議論の話題として上ることはありますが、実装として広い支持を集めた例は知られていません。前述のとおり、上限の変更は参加者の多くにとって不利益になります。提案が技術的に可能であることと、それが受け入れられることは、まったく別の問題です。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

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