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RSI(Relative Strength Index、相対力指数)は、値上がりした幅と値下がりした幅を同じ期間で比べ、値動きの勢いを0から100で表す指標です。一般的な14期間RSIは、単に「14本のうち何本上がったか」を数えるものではありません。最初の平均を作った後、Wilder式で平均上昇幅と平均下落幅を更新するところまでが計算です。

先に結論
- 14期間RSIの最初の値には、終値15本から得られる14本の変化幅が必要
- 初期平均の後は、単純平均ではなくWilder式で平滑化する
- 70超・30割れは「過熱を調べる条件」であって、反転や利益を保証しない
- チャート間の差は、価格データ、時間区切り、初期値、欠損処理をそろえて確認する
RSIの計算方法:Wilder式を4段階で再現する
期間を n=14、当期終値を Close(t) とします。一般的なWilder式は次の順で計算できます。TradingViewの公式説明も、上昇幅と下落幅にWilder系の移動平均であるRMAを使う式を示しています。TA-Libの公式C実装も、最初の14変化を平均した後、前回平均に13を掛けて当期分を加え、14で割っています。
- 変化幅:
Change(t) = Close(t) - Close(t-1) - 上昇幅・下落幅:
Gain(t) = MAX(Change(t), 0)、Loss(t) = MAX(-Change(t), 0) - 最初の平均:最初の14本のGain合計とLoss合計を、それぞれ14で割る
- RSI:
100 × 平均上昇幅 ÷ (平均上昇幅 + 平均下落幅)
4番目は、よく掲載される RS = 平均上昇幅 ÷ 平均下落幅、RSI = 100 - 100 ÷ (1 + RS) と同じ結果になります。合計変化がゼロのときの扱いは実装差があり、TA-Libは平均上昇幅と平均下落幅がともにゼロなら0を返します。使用するチャートやライブラリの仕様も確認してください。
終値15本で最初のRSIを検算する
例として、終値が次の順だったとします。
100, 102, 101, 103, 104, 103, 105, 106, 104, 105, 107, 106, 108, 107, 109
14本の変化幅は +2, -1, +2, +1, -1, +2, +1, -2, +1, +2, -1, +2, -1, +2 です。上昇幅の合計は15、下落幅の合計は6になります。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 初期平均上昇幅 | 15 ÷ 14 |
1.071428… |
| 初期平均下落幅 | 6 ÷ 14 |
0.428571… |
| 最初のRSI | 100 × 15 ÷ (15 + 6) |
71.428571… |
次の終値が108なら、変化幅は-1です。平均上昇幅を (1.071428… × 13 + 0) ÷ 14、平均下落幅を (0.428571… × 13 + 1) ÷ 14 と更新すると、次のRSIは約67.94になります。毎回、直近14本だけを単純平均し直す計算とは一致しません。
Excel・Googleスプレッドシートで確かめる
A列のA2から終値を入力する場合、B3以降に変化幅、C列に上昇幅、D列に下落幅を置きます。最初のRSIは16行目で計算できます。
B3 = A3-A2
C3 = MAX(B3,0)
D3 = MAX(-B3,0)
E16 = AVERAGE(C3:C16)
F16 = AVERAGE(D3:D16)
G16 = IF(E16+F16=0,0,100*E16/(E16+F16))
E17 = (E16*13+C17)/14
F17 = (F16*13+D17)/14
G17 = IF(E17+F17=0,0,100*E17/(E17+F17))
表示セルだけを丸め、途中の平均値は丸めない方が検算しやすくなります。14期間とは14日とは限らず、1時間足なら14本の1時間足、日足なら14本の日足です。
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同じ14期間でもチャートごとにRSIが違う理由
計算式が同じでも、入力や初期条件が違えば値は変わります。数ポイントの差を見つけたら、指標が壊れていると決めつける前に次をそろえます。
- 価格系列:BTC/JPYかBTC/USDTか、どの取引所の終値か
- 足の区切り:日足のタイムゾーン、1時間足の開始時刻
- 入力値:終値か、OHLC平均など別のソースか
- 平滑化:Wilder式のRMAか、単純移動平均・EMAか
- 初期値:最初の平均をどこから作るか、読み込む過去データの長さ
- データ処理:欠損足、異常値、丸め、リアルタイム未確定足の扱い
比較するときは、同一取引所・同一通貨ペア・同一時間足・同一終値列をCSVで固定し、確定した足だけで再計算します。未確定足の終値は動くため、RSIも足の確定前に変化します。
RSIの70・30をどう読むか
FidelityとTradingViewの解説では、一般的な目安として70超をoverbought、30未満をoversoldとしています。ただし、これは「すぐ下がる」「すぐ上がる」という予測ではありません。Fidelityは、強いトレンドではRSIが買われすぎ・売られすぎの領域に長くとどまることがあると注意しています。
| 観察値 | 確認できること | 確認できないこと |
|---|---|---|
| RSI > 70 | 設定期間内で上昇幅が相対的に大きい | 天井、次の足の下落、売却利益 |
| RSI < 30 | 設定期間内で下落幅が相対的に大きい | 底、次の足の上昇、購入利益 |
| RSI ≈ 50 | 平滑化した上昇幅と下落幅が近い | 相場が安全、価格が横ばい |
期間を短くすれば最近の変化への反応が速くなり、長くすれば値は滑らかになります。しかし、短期設定は「精度が低い」、長期設定は「信頼性が高い」と式だけからは言えません。期間としきい値は、対象市場と時間足を固定したテスト結果で比較します。
ダイバージェンスは反転保証ではない
一般に、価格が高値を更新する一方でRSIの高値が切り下がる状態を弱気ダイバージェンス、価格が安値を更新する一方でRSIの安値が切り上がる状態を強気ダイバージェンスと呼びます。両者は値動きとモメンタムの方向が一致していないことを示しますが、反転の時期や幅は決めません。
検証するなら「高値・安値をどう選ぶか」を先に数値化します。例えば、左右各3本より高い足を高値候補とする、2つの候補の間隔を5〜30本にする、といった条件です。チャートを見た後で都合のよい山だけを選ぶと、再現できない後知恵になります。ピボット確定に右側3本を使う場合、そのシグナルを3本前に発生したものとして売買すると先読みです。
RSIとMACD・ボリンジャーバンドを組み合わせる前に
「RSIが30未満かつMACDが交差」「RSIが30未満かつ価格がボリンジャーバンド下限以下」と条件を増やしても、強い買いシグナルになるとは限りません。条件を増やすと取引回数が減り、偶然よかった組み合わせを選ぶ危険も増えます。
組み合わせる場合は、各指標に役割を1つずつ割り当てます。RSIは勢い、移動平均は価格の位置、ボリンジャーバンド幅は変動の大きさ、というように定義し、エントリー・手仕舞い・無効条件をテスト前に固定します。同じ価格から計算した指標同士は独立した証拠とは限りません。
変動幅の測り方も式から確認する: ボリンジャーバンド幅とスクイーズの条件は、TTM Squeezeの検証記事で計算例を確認できます。
手数料込みでRSIルールを検証する手順
RSIの有効性は、指標の説明文ではなく、事前に決めたルールと未知期間の成績で判定します。最低限、次の条件を記録します。
- 対象:取引所、通貨ペア、現物・レバレッジの別
- データ:時間足、タイムゾーン、開始日・終了日、欠損処理
- 計算:価格ソース、期間、Wilder式、丸め、未確定足を使わないこと
- 売買条件:シグナルを確定足で判定し、約定できるのは次の足以降とする
- コスト:売買手数料、スプレッド、スリッページ、資金調達料
- 比較対象:同期間の保有、現金、単純な定期購入など
- 評価:総損益だけでなく、最大ドローダウン、取引回数、勝率、損益比
- 未知期間:条件を決めた期間と、最終評価する期間を分ける
例えば「RSIが30未満で買う」を試す場合も、30を初めて下回った確定足なのか、30を下から上に戻した確定足なのかで別ルールです。出口、最大保有期間、同時保有、再エントリーまで定めなければ結果を再現できません。20・25・30・35を試して最もよかった値だけを採用するなら、多重検定による過学習も疑います。
Wilder本人の説明を日本語で読む
式の由来から確認したい人には、J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア著『ワイルダーのテクニカル分析入門 オシレーターの売買シグナルによるトレード実践法』があります。パンローリングの書誌では、長尾慎太郎監修、井田京子訳、2019年3月発売、ISBN 978-4-7759-7246-5です。RSIだけでなく、方向性指数、パラボリック、ボラティリティなども扱います。
本書は暗号資産専用の攻略本でも、現在のチャートサービスの操作説明書でもありません。歴史的な原典の考え方と計算をたどりたい人向けです。利益や再現性を保証するものではなく、実運用ではデータとコストを使った別の検証が必要です。
書名・ISBNを確認して探す
『ワイルダーのテクニカル分析入門』/ISBN 9784775972465。版や販売元、価格、在庫、配送条件はAmazonの商品ページで確認してください。
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まとめ
RSIを検証可能にする要点は、14本の変化幅から初期平均を作り、その後をWilder式で更新することです。70・30やダイバージェンスは観察条件であり、反転の確定や利益の約束ではありません。同じデータで手計算とチャートを照合し、売買へ使う場合は次足約定、コスト、未知期間を含むルールで評価してください。
- TradingView「Relative Strength Index (RSI)」(計算式、RMA、70・30、ダイバージェンス)
- Fidelity「Relative Strength Index (RSI)」(強いトレンドと過熱圏の注意)
- TA-Lib「Relative Strength Index (RSI)」(公式指標文書)
- TA-Lib公式C実装「ta_RSI.c」(初期平均、Wilder平滑化、ゼロ時の処理)
- パンローリング『ワイルダーのテクニカル分析入門』書誌(著者、訳者、発売月、ISBN、収録内容)
よくある質問(FAQ)
RSIの14期間は何を数えますか?
価格変化を14本数えます。変化を1本作るには前の終値が必要なので、最初の14期間RSIには通常15本の終値が必要です。1時間足なら14時間分の変化、日足なら14日分の変化です。
RSIが70を超えたら売るべきですか?
70超だけでは売却の根拠になりません。設定期間内で上昇幅が相対的に大きいことを示しますが、強い上昇局面では70超が続くことがあります。売買に使うなら、出口とコストを含む事前ルールを別期間で検証します。
チャートごとにRSIが違うのはなぜですか?
取引所の終値、通貨ペア、足のタイムゾーン、価格ソース、初期平均、平滑化、欠損処理、読み込んだ過去データの長さが違うためです。同一CSVと確定足で比較すると原因を切り分けやすくなります。
RSIのダイバージェンスは反転を保証しますか?
保証しません。価格とRSIの高値・安値の方向が一致していない状態を示すだけです。高値・安値の選び方と確定時点を先に定義し、先読みを避けて検証する必要があります。
RSIは暗号資産でも同じ式ですか?
同じWilder式を適用できます。ただし、24時間取引、取引所ごとの価格差、日足の区切り、スプレッドなど、入力データと実際の取引条件は株式市場と同じではありません。
【免責事項】本記事は指標の計算・検証方法を説明する情報提供であり、投資助言、勧誘、利益保証ではありません。暗号資産は価格変動が大きく、元本を失う可能性があります。判断はご自身の責任で行ってください。



