投資戦略

海外取引所(BinanceとBybit)での確定申告完全ガイド:取引履歴取得・損益計算・申告手順を徹底解説【2026年版】

仮想通貨取引で利益を得た場合、たとえそれが海外の取引所を通じた取引であっても、日本居住者は確定申告の義務を負います。BinanceやBybitなどの海外取引所は日本の金融庁に登録していない取引所ですが、そこで得た利益は日本の税法の対象となります。

しかし、海外取引所での取引は国内取引所と比べて損益計算が複雑になりやすく、特にアルトコイン間のスワップ・先物取引・DeFi報酬などが絡む場合は対応に困ることも少なくありません。本記事では、BinanceおよびBybitでの取引を例に、取引履歴の取得から損益計算の方法、確定申告書の作成までの流れをわかりやすく解説します。税務処理は個人の取引状況によって異なるため、複雑なケースでは税理士への相談を強く推奨します。

1. 仮想通貨の税務基礎知識

1-1. 仮想通貨の利益は「雑所得」として課税される

日本の税制では、仮想通貨(暗号資産)の売却・交換・使用により生じた利益は「雑所得」として扱われます。雑所得には累進課税が適用され、所得額が高くなるほど税率も上がります。2026年時点の所得税・住民税の税率区分(所得税のみ、住民税は一律10%が加算)は次の通りです。

  • 195万円以下:5%
  • 195万円超〜330万円以下:10%
  • 330万円超〜695万円以下:20%
  • 695万円超〜900万円以下:23%
  • 900万円超〜1,800万円以下:33%
  • 1,800万円超〜4,000万円以下:40%
  • 4,000万円超:45%

住民税10%を合算すると、最高税率は55%に達します。大きな利益が出た場合には、相当額の税負担が発生することを念頭に置いておく必要があります。

1-2. 課税対象となる取引の種類

仮想通貨に関して課税対象となる主な取引は以下の通りです。仮想通貨を日本円(法定通貨)に交換したとき・仮想通貨同士の交換をしたとき・仮想通貨で商品・サービスを購入したとき(決済利用)・マイニング報酬を受け取ったとき・ステーキング報酬・レンディング利息を受け取ったとき・エアドロップで仮想通貨を受け取ったとき(価値があると判断される場合)・DeFiのイールドファーミング報酬を受け取ったときです。単に仮想通貨を購入した場合や、ウォレット間の送金(同一人物間)は課税対象になりません。ただし、送金履歴も記録として残しておくことが重要です。

2. BinanceとBybitの取引履歴の取得方法

2-1. Binanceからの取引履歴エクスポート手順

Binanceでは以下の手順で取引履歴をCSVファイルとしてエクスポートできます。

  1. Binanceにログインし、右上のアカウントメニューから「注文履歴」を選択します。
  2. 取引種別(スポット・先物・Earn等)ごとに履歴のダウンロードページがあります。
  3. 期間を設定(年度単位でのエクスポートを推奨)し、CSVファイルをダウンロードします。
  4. 先物取引の場合は「先物注文履歴」と「取引履歴」の両方をエクスポートすることを推奨します。

Binanceでは履歴の保存期間に制限があります(通常3ヶ月〜12ヶ月程度の表示)。定期的にダウンロードしておくことが重要です。

2-2. Bybitからの取引履歴エクスポート手順

Bybitでは以下の手順で取引履歴をエクスポートできます。

  1. Bybitにログインし、右上のアカウントメニューから「マイトレード」または「注文管理」を選択します。
  2. 各種取引(スポット・デリバティブ・Earn)のページで期間とファイル形式(CSV)を設定してエクスポートします。
  3. 資金調達率(Funding Rate)の受取/支払履歴も別途エクスポートすることを推奨します。

Bybitも履歴の保存期間に制限があることがあるため、月次または四半期ごとのバックアップを習慣化することをお勧めします。

3. 損益計算の方法と計算例

3-1. 取得原価の計算方法(移動平均法と総平均法)

仮想通貨の損益計算では、売却した仮想通貨の取得原価を算出する必要があります。日本の税制では「総平均法」または「移動平均法」のいずれかを選択できます。一度選択した方法は原則として変更できません。総平均法は年間の購入総額を購入総量で割って1単位当たりの取得原価を求める方法でシンプルです。移動平均法は新たに購入するたびに取得原価を更新していく方法で、取引回数が少ない場合は管理しやすいですが、頻繁に取引する場合は計算が複雑になります。実務上は税理士に相談のうえ判断することをお勧めします。

3-2. 具体的な計算例(スポット取引)

わかりやすい例で計算してみましょう。1月10日にBTC 0.1枚を500,000円で購入(取得原価:5,000,000円/枚)、3月15日にBTC 0.2枚を600,000円/枚で購入、8月20日にBTC 0.15枚を800,000円/枚で売却(売却金額:1,200,000円)とします。総平均法での取得原価計算:総購入額は500,000 + 1,200,000 = 1,700,000円、総購入量は0.1 + 0.2 = 0.3枚、1枚当たりの取得原価は1,700,000 ÷ 0.3 ≒ 5,666,667円、0.15枚の取得原価は5,666,667 × 0.15 ≒ 850,000円、売却益は1,200,000 − 850,000 = 350,000円(課税対象)となります。この350,000円が雑所得として申告する金額になります。

4. 先物・デリバティブ取引の損益計算

4-1. 無期限先物の損益計算の考え方

先物取引(無期限先物を含む)の損益は、ポジションを決済(クローズ)した時点で確定します。未決済のポジションは未実現損益として扱われ、課税対象にはなりません。計算する主な要素は、エントリー価格(建玉時の価格)・決済価格(クローズ時の価格)・取引量(枚数)・手数料(メイカー・テイカー)・資金調達率(Funding Rate)の受取・支払額です。損益計算式の概要:決済価格 × 取引量 − エントリー価格 × 取引量 − 手数料 ± 資金調達率。

4-2. 資金調達率の税務処理

無期限先物では定期的(例:8時間ごと)にロングとショートのポジション保有者間で資金調達率(Funding Rate)の授受が行われます。この受取分は仮想通貨の取得に相当すると考えられ、受け取った時点での円換算額が所得となる可能性があります。資金調達率の課税処理については税務当局の公式見解が明確でない部分もあるため、税理士に個別に確認することを推奨します。

5. 仮想通貨の損益通算と繰越控除

5-1. 仮想通貨の損失は他の所得と通算できるか

現行の税制では、仮想通貨取引で生じた損失は同年の他の雑所得との通算は可能ですが、給与所得や事業所得などとの損益通算は原則として認められていません。また、翌年以降への繰越控除(損失繰越)も現行制度では認められていません。これは株式投資(特定口座利用の場合)と比べて不利な扱いであり、仮想通貨税制の見直しを求める声も多くあります。2026年時点でも法改正の議論が続いていますが、実際の申告にあたっては最新の税制を確認してください。

5-2. 年内の損益を意識した売買タイミング

年内の損益通算を意識することで、税負担を適法に調整できる可能性があります。例えば、含み益がある通貨を売却して利益を確定する一方で、含み損がある通貨も年内に売却して損失を計上することで、年間の課税所得を圧縮できる場合があります。ただし、損出し目的の売買は経済的実態を伴う必要があり、脱税行為と見なされないよう注意が必要です。具体的な判断は税理士に相談することをお勧めします。

6. 確定申告書の作成手順

6-1. 確定申告が必要なケース

以下のいずれかに該当する場合は、原則として確定申告が必要です。仮想通貨取引の年間利益が20万円を超える場合(給与所得者の場合)・年間利益が38万円を超える場合(給与所得がない場合)・他の雑所得と合算して上記の金額を超える場合です。申告期限は通常翌年の3月15日です(所得税)。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。

6-2. 国税庁のe-Taxと申告書作成の流れ

確定申告は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)を利用してオンラインで完結させることができます。

  1. 損益計算ツールまたはスプレッドシートで年間の損益を集計します。
  2. e-Taxにログインし、申告種別(確定申告)を選択します。
  3. 「雑所得(仮想通貨等)」の欄に年間の収入金額と必要経費(手数料等)を入力します。
  4. 給与所得や他の所得がある場合は合算して記入します。
  5. 税額を確認し、電子申告(マイナンバーカード必要)または書面での提出を行います。

取引件数が多い場合は、仮想通貨専用の損益計算サービスの利用を検討することも一つの選択肢です。

7. 仮想通貨損益計算ツールの活用

7-1. 主な損益計算ツールの概要

取引量が多い場合や複数の取引所を利用している場合は、専用の損益計算ツールを活用することで作業効率が大幅に向上します。BinanceやBybitのCSVデータをインポートして自動で損益計算を行うツールが複数存在します。国内製の主要ツールはBinance・Bybit等の海外取引所のCSV形式に対応しているものが多いです。DeFi取引やNFT取引に対応しているツールも存在します。有料プランと無料プランがあり、取引件数に応じて選択してください。ただし、ツールの計算結果が常に正確とは限らないため、最終的な確認は自分で行うか税理士に依頼することをお勧めします。

7-2. CSVデータの前処理と注意点

BinanceやBybitからエクスポートしたCSVデータをツールにインポートする際には、以下の点に注意してください。取引所ごとにCSVの列構造が異なるため、対応ツールを選ぶ必要があります。送金履歴は「同一人物間の移動」として区別し、課税対象取引と混在しないように管理します。USDT等のステーブルコインとの交換も課税対象となりえるため、記録を欠かさないことが重要です。データの取得漏れがないよう、年度をまたぐ期間の履歴が完全であることを確認してください。

8. 専門家への相談タイミング

8-1. 税理士に相談すべきケース

以下のいずれかに当てはまる場合は、仮想通貨の税務に詳しい税理士への相談を強く推奨します。年間取引件数が数百件以上で損益計算が複雑な場合・先物・オプション・DeFi・NFT等の複合的な取引がある場合・取引履歴の一部が欠落または不明な場合・年間利益が数百万円以上になる場合・過去の申告に誤りがあると思われる場合です。

8-2. 早めの相談がトラブル回避につながる

確定申告期限(3月15日)間際になってから慌てて相談しても、対応できる税理士が見つからなかったり、書類準備が間に合わないケースがあります。できれば12月〜1月には準備を始め、1月中には取引履歴を整備しておくことを推奨します。仮想通貨取引に詳しい税理士であれば、単なる申告書作成だけでなく、節税対策や今後の取引戦略についても相談できます。

まとめ

BinanceやBybitなど海外取引所での仮想通貨取引も、日本の税制上は確定申告の対象です。取引履歴の定期的なエクスポート・保管、損益計算の方法の理解、申告スケジュールの確認が重要なポイントです。特に取引量が多い場合や複雑なデリバティブ・DeFi取引がある場合は、専門家への相談を早めに検討することをお勧めします。投資判断はご自身の責任で行ってください。また、税務に関する具体的な判断は必ず税理士等の専門家に確認してください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 仮想通貨取引で損失が出た年も確定申告は必要ですか?
損失のみで他の雑所得がない場合は申告義務がないケースが多いですが、年内に利益と損失の両方がある場合は通算のために申告した方が良い場合もあります。状況によって判断が異なるため、税理士に確認することをお勧めします。
Q2. BinanceのCSVは日本語版と英語版どちらが良いですか?
損益計算ツールへのインポートのしやすさから、英語版のCSVの方が対応しているツールが多い傾向があります。ただし各ツールの仕様によって異なるため、利用するツールの対応形式を確認したうえで選択してください。
Q3. 過去分を申告し忘れていた場合はどうすれば良いですか?
過去に申告漏れがあった場合は「期限後申告」または「修正申告」を行うことができます。自主的に申告・納税する場合は、税務調査によって発覚した場合よりもペナルティが軽減される可能性があります。早めに税理士に相談することをお勧めします。

※本記事は情報提供を目的としており、投資・税務・法律の助言ではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。税務処理については税理士など専門家にご相談ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Bitcoin Analyze 編集部

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください