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日本発の暗号資産プロジェクト一覧|Astar・Oasys・JasmyのVision

カテゴリ: Bitcoin 2.0

暗号資産やブロックチェーンの世界では、海外プロジェクトの話題が中心になりがちですが、実は日本からも世界的に注目されるプロジェクトが複数誕生していることをご存じでしょうか。規制が厳しいとされる日本の暗号資産環境において、独自のビジョンと技術力で存在感を示しているプロジェクトが着実に成長しています。

日本は暗号資産の規制面では世界に先駆けた法整備を行ってきた国でもあります。2017年の資金決済法改正により、暗号資産交換業者の登録制が導入され、利用者保護の枠組みが早くから整備されました。その反面、厳格な規制が新規プロジェクトの成長を阻害しているという指摘もあり、日本発のプロジェクトは海外拠点を活用しながらグローバルに展開するケースが多く見られます。

本記事では、Astar Network、Oasys、Jasmy(ジャスミー)を中心に、日本発の代表的な暗号資産プロジェクトのビジョン、技術的特徴、エコシステムの現状、そして今後の展望を包括的に解説していきます。日本のブロックチェーン産業の現在地を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

  • 日本の暗号資産市場の現在地
  • Astar Network|マルチチェーン時代のスマートコントラクトハブ
  • Oasys|ゲーム特化型ブロックチェーンの挑戦
  • Jasmy(ジャスミー)|データの民主化を目指すIoTプラットフォーム
  • その他の注目すべき日本発プロジェクト
  • 日本の規制環境とWeb3政策
  • 日本発プロジェクトの強みと課題
  • 今後の展望と注目ポイント
  • まとめ
  • よくある質問(FAQ)

  • 1. 日本の暗号資産市場の現在地

    1-1. 日本の暗号資産市場の規模と特徴

    日本は、ビットコインの黎明期から暗号資産の主要市場の一つとして知られてきました。2013年から2014年にかけてはビットコインの取引量で世界トップクラスを誇り、Mt.Gox事件(2014年)という大きな教訓を経て、世界に先駆けた規制整備が進められました。

    2026年3月時点で、日本の暗号資産市場には金融庁に登録された約30の暗号資産交換業者が存在しています。bitFlyer、Coincheck、GMOコイン、SBI VCトレード、bitbankなどが主要なプレイヤーです。取り扱い可能な暗号資産は金融庁のいわゆる「ホワイトリスト」に基づいて管理されており、新たなトークンの上場には厳格な審査が求められます。

    日本市場の特徴として、個人投資家の比率が高いことが挙げられます。機関投資家の参入は海外と比較して限定的であり、これは税制の問題(暗号資産の利益が雑所得として最大55%の課税対象となる点)が一因とされています。

    1-2. 日本のWeb3政策の動向

    日本政府は2022年以降、Web3を国家戦略の一つとして位置づける姿勢を明確にしています。

    2022年にはデジタル庁のもとに「Web3研究会」が設置され、2023年には自民党のデジタル社会推進本部「web3プロジェクトチーム(web3PT)」が「web3ホワイトペーパー」を発表しました。このホワイトペーパーでは、トークン税制の見直し、DAO(分散型自律組織)の法人格付与、ステーブルコイン規制の整備など、Web3産業を育成するための具体的な政策提言がなされています。

    2024年以降、暗号資産の期末時価評価課税の見直し(自社発行トークンの含み益への課税緩和)など、一部の政策が実現に向けて動き出しています。ただし、個人の暗号資産投資に対する税率の引き下げ(分離課税の導入)については、2026年3月時点でもまだ実現には至っていない状況です。

    1-3. 日本発プロジェクトを取り巻く環境

    日本発の暗号資産プロジェクトは、独特の環境の中で発展してきました。

    強みとしては、日本企業のブランド力と技術力、アニメ・ゲームなどのコンテンツ産業との親和性、そして堅実な法的基盤が挙げられます。特にゲームやIP(知的財産)関連のブロックチェーンプロジェクトにおいては、日本の豊富なコンテンツ資産が大きなアドバンテージとなっています。

    一方で、課題も少なくありません。厳格な規制による新規トークン上場のハードル、高い税率による投資家離れ、英語圏を中心としたグローバル市場へのリーチの難しさなどが、日本発プロジェクトの成長を制約する要因となっています。


    2. Astar Network|マルチチェーン時代のスマートコントラクトハブ

    2-1. Astar Networkの概要とビジョン

    Astar Network(アスター・ネットワーク)は、渡辺創太氏が創設した日本発のブロックチェーンプロジェクトです。もともとは「Plasm Network」という名称で開発が始まり、2022年に「Astar Network」にリブランドされました。

    Astar Networkのビジョンは、「マルチチェーン時代のスマートコントラクトハブ」になることです。異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現し、開発者がシームレスにdApps(分散型アプリケーション)を構築・展開できるプラットフォームを目指しています。

    当初はPolkadotのパラチェーンとして構築されましたが、その後はイーサリアムのレイヤー2ソリューション「Astar zkEVM」の展開も進めており、Polkadotとイーサリアムの両エコシステムにまたがるマルチチェーン戦略を推進しています。

    2-2. 技術的特徴

    Astar Networkの技術的な特徴をいくつか紹介します。

    マルチバーチャルマシン(Multi-VM)対応は、Astarの最も際立った特徴の一つです。EVM(Ethereum Virtual Machine)とWASM(WebAssembly)の両方のスマートコントラクト実行環境をサポートしており、Solidity(イーサリアムの主要なスマートコントラクト言語)で書かれたコントラクトだけでなく、Rust、C++、AssemblyScriptなどで書かれたWASMコントラクトも動作させることが可能です。

    dApp Staking(ダップ・ステーキング)は、Astar独自の開発者インセンティブメカニズムです。通常、ブロックチェーンのステーキング報酬はバリデーター(検証者)に対して支払われますが、Astarではステーキング報酬の一部がdApp開発者にも分配される仕組みを導入しています。ユーザーが特定のdAppに対してASTRトークンをステーキングすると、そのdAppの開発者にも報酬が支払われるため、開発者は持続的な収益源を得ながら開発を続けることができます。

    Astar zkEVMは、イーサリアムのレイヤー2としてPolygon CDK(Chain Development Kit)を活用して構築されたゼロ知識証明ベースのロールアップです。イーサリアムのセキュリティを継承しながら、高速かつ低コストのトランザクション処理を実現することを目指しています。

    2-3. エコシステムとパートナーシップ

    Astar Networkは、日本企業を中心に幅広いパートナーシップを構築しています。

    NTTドコモとの提携は、日本の大手通信企業がWeb3領域に参入する象徴的な事例として注目を集めました。ドコモはAstar Networkを活用したWeb3サービスの開発に取り組んでおり、両者の協力関係は日本のWeb3産業の発展において重要な意味を持っています。

    ソニーネットワークコミュニケーションズ、博報堂、カルビーなど、さまざまな業種の日本企業がAstar Network上でのプロジェクト開発や実証実験を行っています。これらの企業との連携は、ブロックチェーン技術の実社会への適用を加速させる可能性を持っているといえるでしょう。

    グローバルな面では、PolkadotおよびEthereumエコシステムの主要プロジェクトとの連携も進めており、日本発でありながら国際的なプレゼンスを確立しています。


    3. Oasys|ゲーム特化型ブロックチェーンの挑戦

    3-1. Oasysの概要とビジョン

    Oasys(オアシス)は、2022年2月に設立された日本発のゲーム特化型ブロックチェーンプロジェクトです。「Blockchain for Games」をスローガンに掲げ、ゲーム開発者とプレイヤーの両方にとって使いやすいブロックチェーンインフラの構築を目指しています。

    Oasysの設立メンバーおよびバリデーター(ブロック検証者)には、バンダイナムコ研究所、SEGA、スクウェア・エニックス、Ubisoft、Yield Guild Games(YGG)など、ゲーム業界を代表する企業や組織が名を連ねています。これほど多くの大手ゲーム企業がバリデーターとして参加しているブロックチェーンは世界的にも珍しく、Oasysの大きな競争優位性となっています。

    Oasysが解決しようとしている課題は明確です。既存のブロックチェーンゲームは、トランザクション手数料(ガス代)の高さ、処理速度の遅さ、環境負荷の大きさなど、ゲーム体験を阻害する要因を多く抱えていました。Oasysはこれらの課題をアーキテクチャレベルで解決し、「ゲーマーがブロックチェーンの存在を意識しない」シームレスな体験を提供することを目指しています。

    3-2. 二層構造のアーキテクチャ

    Oasysの技術的な特徴は、Hub Layer(ハブレイヤー)とVerse Layer(バースレイヤー)の二層構造にあります。

    Hub Layerは、Oasysネットワーク全体のセキュリティとコンセンサスを担当するレイヤー1です。Proof of Stake(PoS)コンセンサスメカニズムを採用し、前述の大手ゲーム企業などがバリデーターとして参加しています。OASトークンのステーキング、NFTやFT(Fungible Token)の管理、Verse Layer間のブリッジ(資産移動)などの機能を提供します。

    Verse Layerは、個々のゲームやプロジェクトが独自に構築・運用できるレイヤー2です。各Verseは独立した処理能力を持っており、ゲームのトランザクションはVerse Layer上で高速に処理されます。重要な点として、Verse Layer上のトランザクションではガス代が発生しない(ゼロガス)設計になっていることが挙げられます。これにより、ゲームプレイヤーは暗号資産の知識がなくても、通常のゲームと同じ感覚でブロックチェーンゲームを楽しむことが可能になります。

    この二層構造により、Hub Layerがセキュリティとデータの最終確定性を保証しつつ、Verse Layerが高い処理性能とユーザー体験を提供するという役割分担が実現されています。

    3-3. エコシステムと展開タイトル

    Oasys上では、すでに複数のゲームタイトルやVerse(レイヤー2チェーン)が稼働しています。

    MCH Verse(My Crypto Heroes)は、Oasys上で最も初期から稼働しているVerseの一つです。「My Crypto Heroes」は日本発のブロックチェーンゲームの先駆的存在であり、歴史上の英雄を集めて育成するRPGゲームとして知られています。

    HOME Verse(double jump.tokyo)は、ブロックチェーンゲーム開発企業のdouble jump.tokyoが運営するVerseです。同社はOasysの初期バリデーターの一つでもあり、複数のゲームタイトルをHOME Verse上で展開しています。

    SEGA、バンダイナムコなどの大手ゲーム企業によるOasys活用の取り組みも進んでおり、IPを活用したブロックチェーンゲームの開発が期待されています。日本のゲーム産業が持つ豊富なIPとOasysのブロックチェーンインフラの組み合わせは、グローバル市場においても大きな競争力を発揮する可能性があるでしょう。


    4. Jasmy(ジャスミー)|データの民主化を目指すIoTプラットフォーム

    4-1. Jasmyの概要とビジョン

    Jasmy(ジャスミー)は、元ソニー社長の安藤国威氏が代表を務めるJasmy株式会社が開発する、IoT(Internet of Things)とブロックチェーンを融合したプラットフォームです。2021年にJasmyのネイティブトークンであるJASMYが海外取引所に上場し、その後日本国内の取引所でも取り扱いが開始されました。

    Jasmyのビジョンは「データの民主化」です。現在のインターネットでは、個人の行動データや生活データがGAFAM(Google、Amazon、Facebook/Meta、Apple、Microsoft)などの巨大テック企業に集中的に収集・管理されています。Jasmyは、ブロックチェーン技術を活用して個人が自分自身のデータの所有権を取り戻し、データの利用・提供について自ら決定できる世界を目指しています。

    「Data is New Oil(データは新しい石油)」という言葉がありますが、Jasmyは「その石油は個人のものであるべきだ」という思想に基づいて設計されています。

    4-2. Jasmy IoTプラットフォームの技術構成

    Jasmy IoTプラットフォームは、主に2つの核心技術で構成されています。

    SKC(Secure Knowledge Communicator)は、個人データを安全に管理・活用するための仕組みです。ユーザーの個人データは暗号化された状態でJasmyのプラットフォーム上に保管され、ユーザー自身がデータの開示範囲やアクセス権限をコントロールすることが可能です。企業がユーザーのデータを利用したい場合は、ユーザーの明示的な同意を得る必要があり、その対価としてJASMYトークンが支払われる仕組みが構想されています。

    SG(Smart Guardian)は、IoTデバイスの認証とセキュリティを担当する機能です。IoTデバイスの個体識別情報をブロックチェーンに記録し、デバイスの真正性を検証します。これにより、偽造デバイスの排除やデバイス間の安全な通信が実現されるとされています。

    これらの技術が組み合わさることで、「IoTデバイスから生成されるデータを個人が管理し、必要に応じて企業に提供して対価を得る」というエコシステムの構築が目指されています。

    4-3. ビジネス展開と提携

    Jasmyは、複数の企業や団体との提携を通じてビジネス展開を進めています。

    パナソニック、トランスコスモス、WITZ(ヴィッツ)などの企業との連携が発表されており、IoTデバイスのデータ管理やマーケティングデータの活用などの分野での実証実験や実装が進められています。

    また、Jasmyは2023年以降、メタバースやNFTとの統合も視野に入れた事業拡大を推進しています。個人データの管理プラットフォームとしての機能を、メタバース空間での活動データや、NFTの所有権管理にも応用する構想が示されています。

    一方で、Jasmyトークンの価格は上場時の高値から大きく下落した経緯があり、トークン経済の設計やプロジェクトの進捗の遅さに対する批判的な声も存在します。プロジェクトの長期的な評価は、実際のプラットフォーム利用の拡大とエコシステムの発展にかかっているといえるでしょう。


    5. その他の注目すべき日本発プロジェクト

    5-1. Japan Open Chain

    Japan Open Chain(ジャパン・オープン・チェーン)は、G.U.Technologies株式会社が主導する、イーサリアム完全互換のパブリックブロックチェーンです。最大の特徴は、バリデーターが日本企業のみで構成されていることです。

    ソニーグループの子会社であるコーギア、NTTコミュニケーションズ、電通グループ、みんなの銀行などがバリデーターとして参加しており、「日本の法規制に完全に準拠したブロックチェーン」という独自のポジショニングを確立しています。

    Japan Open Chainは、特にステーブルコインの発行基盤としての活用が注目されています。2023年の改正資金決済法により日本でもステーブルコインの法的枠組みが整備されましたが、Japan Open Chainはその発行・流通基盤としての役割を担うことが期待されています。

    5-2. HashPort / HashPalette

    HashPort(ハッシュポート)は、日本のNFT・ブロックチェーンインフラ企業として知られています。同社が開発するPalette Chain(パレットチェーン)は、エンターテインメント分野に特化したブロックチェーンで、ネイティブトークンのPLT(パレットトークン)はCoincheckに日本初のIEO(Initial Exchange Offering)銘柄として上場しました。

    Palette Chainは、NFTの発行・流通に最適化された設計がなされており、日本のマンガ、アニメ、ゲームなどのIPを活用したNFTプロジェクトのプラットフォームとして利用されています。ガス代がPLTトークンで支払われるため、イーサリアムのガス代高騰の影響を受けにくいという利点があります。

    5-3. IOST

    IOST(Internet of Services Token)は、厳密には日本発ではなくシンガポール発のプロジェクトですが、日本のコミュニティが非常に活発であり、日本市場での存在感が大きいプロジェクトとして言及する価値があります。

    IOSTは高スループット(1秒あたり数千トランザクション)を実現するブロックチェーンで、DeFi、NFT、GameFiなどの分野でのアプリケーション開発基盤を提供しています。日本の暗号資産取引所にも早くから上場しており、日本の個人投資家に人気のある銘柄の一つです。


    6. 日本の規制環境とWeb3政策

    6-1. 暗号資産に関する法規制の現状

    日本の暗号資産に関する法規制は、世界的に見ても先進的であると同時に、厳格であるという二面性を持っています。

    資金決済法(Payment Services Act)は、暗号資産交換業者の登録制、顧客資産の分別管理、内部管理体制の整備などを定めています。この法律により、日本の暗号資産取引所は一定の安全性が保証されている一方で、新規参入のハードルが高く、取り扱い可能な暗号資産の種類が限定されるという制約も生じています。

    金融商品取引法との関係では、暗号資産のデリバティブ取引(先物、オプションなど)やセキュリティトークン(電子記録移転権利)の規制が定められています。2020年5月の改正により、暗号資産のレバレッジ取引の倍率が最大2倍に制限されるなど、投資家保護の観点からの規制が強化されてきました。

    6-2. 税制の課題

    日本における暗号資産投資の最大の課題の一つが税制です。

    現行の税制では、暗号資産の売却益は「雑所得」として総合課税の対象となり、所得税と住民税を合わせた最大税率は約55%に達します。これは、株式投資やFXの利益に適用される申告分離課税(約20%)と比較して著しく高い税率であり、暗号資産投資家にとって大きな負担となっています。

    また、暗号資産同士の交換(たとえばBTCをETHに交換する場合)も課税対象となるため、暗号資産のアクティブな利用が税務上の複雑さを生むという問題もあります。

    業界団体や自民党web3PTからは、暗号資産への申告分離課税の導入や、損失繰越控除の認可などが繰り返し提言されていますが、2026年3月時点では実現に至っていません。ただし、議論は着実に進んでおり、中長期的には税制改正が実現する可能性はあるといえるでしょう。

    6-3. ステーブルコインと改正資金決済法

    2023年6月に施行された改正資金決済法は、日本におけるステーブルコイン規制の枠組みを定めた重要な法律です。

    この改正により、「電子決済手段」として法定通貨に裏付けられたステーブルコインの発行・流通が法的に認められることになりました。発行者は銀行、資金移動業者、または信託会社に限定され、利用者保護のための厳格な要件が課されています。

    この法整備を受けて、三菱UFJ信託銀行の「Progmat」やJapan Open Chain上でのステーブルコイン発行プロジェクトなど、日本円建てステーブルコインの実用化に向けた動きが活発化しています。日本発のステーブルコインが普及すれば、日本の暗号資産エコシステム全体の流動性向上に寄与することが期待されます。


    7. 日本発プロジェクトの強みと課題

    7-1. 強み:企業連携とコンテンツIP

    日本発プロジェクトの最大の強みは、既存の大手企業との連携力とコンテンツIPの豊富さです。

    Oasysのバリデーターにバンダイナムコやスクウェア・エニックスが参加していること、Astar NetworkがNTTドコモやソニーグループと提携していることからもわかるように、日本の大手企業がブロックチェーン分野に積極的に関与し始めています。これは、海外の多くのプロジェクトにはない強固な企業基盤を意味しています。

    また、日本はアニメ、マンガ、ゲームという世界的に圧倒的な競争力を持つコンテンツ産業を有しています。これらのIPをブロックチェーン上で活用するNFTやGameFiプロジェクトにおいて、日本は本来的に大きなアドバンテージを持っているはずです。

    7-2. 課題:グローバル展開と人材

    一方で、日本発プロジェクトにはいくつかの構造的な課題もあります。

    グローバルマーケティングの弱さは、多くの日本発プロジェクトに共通する課題です。暗号資産市場は本質的にグローバルなものであり、英語圏のコミュニティやメディアでのプレゼンスが不可欠です。日本のプロジェクトは技術力やビジョンでは遜色がなくても、マーケティングやコミュニティビルディングの面で海外プロジェクトに後れを取るケースが見られます。

    ブロックチェーンエンジニアの不足も深刻な問題です。Solidity、Rust、Move、Cairoなどのブロックチェーン関連言語に精通したエンジニアの数は、日本ではまだ限られています。これは、プロジェクトの開発速度やイノベーションの質に直接影響する要素です。

    7-3. 課題:規制と税制のギャップ

    前述の通り、日本の暗号資産に関する規制と税制は、プロジェクトの成長を制約する要因となっています。

    特に、暗号資産の高い税率は、国内投資家の投資意欲を削ぐだけでなく、プロジェクト側にとってもトークン設計の自由度を制限する要因となっています。海外のプロジェクトがトークンエアドロップやインセンティブプログラムを自由に展開できるのに対し、日本の法規制はそうした施策の実施を困難にしている面があります。

    また、新規トークンの国内取引所への上場審査に時間がかかることも、日本発プロジェクトにとっての課題です。日本のユーザーが自国のプロジェクトのトークンをすぐに購入できないという状況は、エコシステムの発展を阻害する要因となり得ます。


    8. 今後の展望と注目ポイント

    8-1. 税制改革の行方

    日本の暗号資産市場の今後を左右する最大の要因の一つが、税制改革の行方です。

    申告分離課税の導入が実現すれば、個人投資家の暗号資産投資に対するハードルが大幅に下がり、市場全体の活性化が期待できます。また、損失繰越控除が認められれば、投資家のリスクテイク能力が向上し、日本発プロジェクトへの資金流入も増加する可能性があるでしょう。

    自民党web3PTを中心とした政策議論は継続しており、早期の実現を望む声は業界内で非常に強いです。政治的な動向に注目しておくことをおすすめします。

    8-2. 企業トークンとRWA(現実資産)のトークン化

    日本発プロジェクトの成長分野として注目されているのが、RWA(Real World Assets / 現実資産)のトークン化です。

    不動産、社債、ファンド持分などの伝統的な金融資産をブロックチェーン上でトークン化する動きは、世界的に加速しています。日本では、三井住友信託銀行や野村證券などの大手金融機関がセキュリティトークンの発行に取り組んでおり、Japan Open ChainやAstar Networkがそのインフラとして活用される可能性があります。

    日本の金融機関の信頼性と、ブロックチェーンの透明性・効率性を組み合わせたRWAトークンは、日本のWeb3産業にとって大きな成長機会となるかもしれません。

    8-3. GameFiとコンテンツNFTの進化

    日本が最も強みを発揮できる分野として、GameFiとコンテンツNFTの進化が期待されています。

    Oasysを中心としたゲーム特化型ブロックチェーンの発展により、日本の大手ゲーム企業が本格的なブロックチェーンゲームを展開する土壌が整いつつあります。「Play to Earn」の初期的な熱狂が落ち着いた現在、ゲーム性とブロックチェーンの利点を両立させた質の高いタイトルが求められており、日本のゲーム開発力が真価を発揮する場面が来るかもしれません。

    アニメやマンガのIPをNFTやメタバースで活用するプロジェクトも増加しており、日本のコンテンツ産業がWeb3の世界で新たな収益源を開拓できるかどうかは、注目に値するテーマです。


    まとめ

    日本発の暗号資産プロジェクトは、独自の規制環境と産業基盤の中で着実に成長を続けています。本記事のポイントを振り返ります。

    • Astar Networkは、マルチチェーン対応のスマートコントラクトハブとして、Polkadotとイーサリアムの両エコシステムで展開している
    • Oasysは、バンダイナムコやSEGAなどの大手ゲーム企業をバリデーターに迎えた、ゲーム特化型ブロックチェーンである
    • Jasmyは、個人データの所有権を個人に取り戻す「データの民主化」をビジョンとするIoTプラットフォームである
    • Japan Open ChainやHashPortなど、特定の分野に特化した日本発プロジェクトも複数存在する
    • 日本の規制環境は先進的である一方、税制の高さや新規上場のハードルが課題となっている
    • 大手企業との連携力とコンテンツIPの豊富さが、日本発プロジェクトの最大の強みである
    • 税制改革、RWAトークン化、GameFiの進化が、今後の成長の鍵を握る

    日本の暗号資産・ブロックチェーン産業はまだ発展途上の段階にありますが、技術力、企業基盤、コンテンツ資産という確かな土台の上に、着実に前進しています。これらのプロジェクトの今後の展開に注目していくことは、暗号資産投資家にとっても有意義ではないでしょうか。


    よくある質問(FAQ)

    Q1. Astar Networkのトークン(ASTR)はどこで購入できますか?

    ASTRトークンは、日本国内ではbitbank、GMOコインなどの取引所で取り扱われています。海外取引所ではBinance、Gate.io、Krakenなどでも取引が可能です。ただし、暗号資産の取り扱い状況は変動する可能性があるため、購入前に最新の上場状況を確認することをおすすめします。なお、トークンの購入は投資リスクを伴うため、ご自身の判断と責任において行ってください。

    Q2. Oasysのガス代がゼロなのはなぜですか?

    OasysのVerse Layer(レイヤー2)では、ゲームプレイヤーがトランザクションごとにガス代を支払う必要がないように設計されています。これはVerse Layerの運営者(ゲーム開発企業など)がインフラコストを負担する仕組みになっているためです。Hub Layer(レイヤー1)でのトランザクションにはガス代が発生しますが、日常的なゲームプレイはVerse Layer上で行われるため、プレイヤーはガス代を意識せずにゲームを楽しめるという設計思想です。

    Q3. Jasmyの「データの民主化」とは具体的にどういう意味ですか?

    「データの民主化」とは、個人が自分自身のデータの所有権と管理権を持ち、データの利用について自ら決定できる状態を指します。現在のインターネットでは、個人の行動データや嗜好データが大手テック企業に一方的に収集・利用されていますが、Jasmyはブロックチェーン技術を用いて個人データの管理を個人に取り戻し、データ提供の対価としてトークンを受け取れる仕組みを構築しようとしています。

    Q4. 日本発のプロジェクトに投資するメリットはありますか?

    日本発プロジェクトへの投資には、企業基盤の堅実さ、規制の透明性、日本のコンテンツIPとの連携可能性といったメリットが考えられます。一方で、グローバル市場での認知度が海外プロジェクトと比較して低い場合がある点や、日本の税制が投資リターンに影響する点は考慮すべきでしょう。投資判断は、各プロジェクトの技術力、チーム、パートナーシップ、トークン設計などを総合的に評価した上で行うことが重要です。

    Q5. 日本の暗号資産税制は今後変わる可能性がありますか?

    申告分離課税の導入に向けた議論は、業界団体や政治家を中心に継続的に行われています。2024年以降、法人税制の一部見直し(自社発行トークンの期末時価評価課税の緩和)は実現しましたが、個人投資家に対する抜本的な税制改正はまだ実現していません。ただし、Web3を国家戦略として位置づける政府の姿勢を考慮すると、中長期的には税制改革が進む可能性はあるといえるでしょう。

    Q6. 日本の取引所で購入できる日本発トークンにはどのようなものがありますか?

    2026年3月時点で、日本の主要な暗号資産取引所で取り扱われている日本発(または日本に深く関連する)トークンとしては、ASTR(Astar Network)、OAS(Oasys)、JASMY(ジャスミー)、PLT(パレットトークン)などがあります。ただし、取り扱い銘柄は取引所によって異なり、また新規上場や上場廃止が発生する場合があるため、最新の情報は各取引所の公式サイトでご確認ください。


    免責事項

    本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の暗号資産やプロジェクトへの投資を推奨するものではありません。暗号資産の取引にはリスクが伴い、元本を失う可能性があります。投資判断はご自身の責任において行ってください。本記事で紹介したプロジェクトの情報は2026年3月時点のものであり、プロジェクトの状況、技術仕様、パートナーシップなどは変更される可能性があります。最新の情報については、各プロジェクトの公式サイトおよびドキュメントをご参照ください。

    Bitcoin Analyze 編集部

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