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マイニングの廃熱利用とは?暖房・農業に転用する世界の事例を紹介

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マイニング機が消費した電力は、そのほとんどが熱に変わります。計算という仕事をしているように見えて、エネルギー収支の上ではほぼ電気ストーブと同じで、投入した分だけの熱が排気口から出てくる、というのが装置の実像です。

この事実を裏返すと、一つの疑問が浮かびます。どうせ出てしまう熱を、暖房や農業に使えないのか。世界ではすでに温水プール、集合住宅の給湯、ハウス栽培といった現場で試みが進んでおり、日本でも紹介される機会が増えました。この記事では、廃熱利用がどういう理屈で成り立つのか、実際に採用されている型にはどんなものがあるのか、そして家庭規模でどこまで現実的なのかを順に整理します。

読み終えるころには、「マイニングの熱を暖房に使える」という話を聞いたときに、それが成立する条件と、たいてい見落とされているコストの両方が思い浮かぶようになります。ここで扱うのは熱の性質に関する一般的な知識と、各地で報じられてきた取り組みの型です。順に見ていきましょう。

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マイニングの廃熱とは何か、電力はどこへ消えるのか

マイニング(採掘)は、取引を検証して新しいブロックをつなぐ計算作業で、専用機が休みなく動き続けます。この機械が電力から生み出す成果はデータだけで、物質的なものは何も出てきません。エネルギーの収支で見れば、投入した電力はごくわずかな通信を除いて、ほぼすべてが熱として排出されます。つまりマイニング機は、計算のおまけに熱を出す装置ではなく、熱を出しながら計算する装置です。

問題になるのは、その熱の質です。空冷式の専用機から出る排気は、一般に人肌より少し温かい程度から数十度の範囲にとどまり、そのままではお湯を沸かす用途には足りません。近年広がっている液体に浸して冷やす方式(液浸冷却)では、より高い温度の熱をまとめて回収しやすくなるとされ、再利用を前提にした設計が採りやすくなります。廃熱利用ができるかどうかは、この「取り出せる温度」でほぼ決まります。

世界で採用されている転用のかたち

用途 必要な熱の質 相性がよい条件
温水プール・入浴施設 中温の温水 年間を通じて熱の需要がある
集合住宅・地域熱供給 中温の温水 需要家が近く、配管を短くできる
ハウス栽培・育苗 低温の温風でも足りる 冬の暖房費が経営を圧迫している
乾燥・養殖 低温から中温 熱の需要量が安定して読める

報じられている取り組みを見ると、共通しているのは「もともと熱にお金を払っていた現場」だという点です。温水施設は水温の維持に、ハウス栽培は冬季の加温に、それぞれ燃料費を継続的に支払っています。そこへ別の理由で発生する熱を差し込めるなら、燃料費が浮き、マイニング側は冷却の手間と費用が減ります。北欧やカナダでは地域の熱供給の熱源として使う例が、園芸が盛んな地域ではハウスの加温に使う例が知られています。

うまくいく現場と、いかない現場を分けるもの

熱は電気のように運べない

電気は電線で遠くまで送れますが、熱は運ぶそばから逃げていきます。配管が長くなるほど損失も工事費も増え、採算は急速に悪化します。廃熱利用の事例がほぼ例外なく「発熱源のすぐ隣に熱の使い道がある」構図になっているのは、このためです。

需要の季節性という壁

暖房の需要は冬に偏ります。夏の間に出た熱は行き場を失い、結局は外へ捨てることになります。年間を通じて熱を必要とする温水施設や養殖、乾燥工程が相性がよいとされるのは、この偏りが小さいからです。

主役はどちらかを決めておく

見落とされがちなのが、事業の主従関係です。マイニングの採算は電力価格とコインの価格で動くため、熱の供給を最優先にすると相場が悪くても止められなくなります。逆に熱を使う側からすれば、寒い日に相場の都合で熱が止まる設備は怖くて頼れません。実際の取り組みでは、従来のボイラーを残して補助熱源として位置づけるなど、どちらが止まっても現場が困らない設計が採られています。

家庭での小規模実践はどこまで現実的か

先に結論を言うと、暖房として使うこと自体は難しくありません。難しいのは、それで得をするかどうかです。

電気ストーブと並べて考えると分かりやすくなります。同じ電力量を投入すれば、部屋に入る熱の量はほぼ同じです。違いは、マイニング機のほうはわずかながら報酬を生む点と、機械そのものの購入費、そして騒音です。空冷の専用機は業務用の送風機に近い音を出すものが多く、住宅の居室に置ける水準ではないとされています。静音性を重視した小型機や消費電力の小さい機材を選ぶ方向もありますが、その分だけ得られる報酬も小さくなります。

試すのであれば、次の点を先に確認しておくと失敗が減ります。

  • 設置する部屋の電気容量と、コンセント一口あたりの上限
  • 実測の消費電力。ワットチェッカーのような測定器で、カタログ値ではなく実際の値を押さえる
  • 騒音と設置場所。就寝時間帯にも動かせるかどうか
  • 夏場の扱い。暖房が要らない季節にどうするかを決めておく
  • 報酬の受け取りと記録。少額でも所得の扱いが生じる場合がある

最後の点は忘れられがちです。マイニングで受け取った報酬は、日本では取得した時点の時価をもとに所得として扱われるのが一般的とされています。金額が小さくても記録は残しておくほうが安全です。詳しくは仮想通貨の税金ガイドで扱っています。

廃熱利用が示している、もう少し大きな話

廃熱利用の面白さは、節約の工夫にとどまらない点にあります。マイニングは電力を消費するだけの存在と見られがちですが、熱まで含めて価値を回収できるなら、同じ電力から二つの成果を取り出していることになります。余った電力の受け皿として位置づける議論とあわせて読むと、ビットコインをめぐる環境の議論の見え方が変わってくるはずです。

一方で、過大な期待は禁物です。熱を再利用できる立地は限られ、季節性の壁も残ります。事業として成立している例の多くは、もともと熱を大量に使っていた施設が、燃料費の削減という明確な動機で導入したものです。「熱も使えるから儲かる」という順序ではなく、「熱を使う先があるから成立する」という順序で見るほうが実態に近いと言えます。この分野を掲げた出資話を検討する場合は、詐欺の見分け方も先に押さえておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

マイニング機の排熱で本当に部屋は暖まりますか

暖まります。投入した電力量に応じた熱が出るため、同じ消費電力の電気ヒーターとほぼ同じだけの暖房能力があると考えて差し支えありません。ただし温度の調節はしにくく、部屋が暑くなっても稼働を止めない限り熱は出続けます。

廃熱でお湯は沸かせますか

空冷式の排気をそのまま使ってお湯を沸かすのは現実的ではありません。取り出せる温度が低いためです。実際の温水利用の事例では、液体に浸して冷やす方式や熱交換器を組み合わせて、必要な温度と熱量を確保しています。個人が同じ構成を組むには相応の設備と工事が必要になります。

電気代を暖房費と考えれば採算は合いますか

暖房が必要な季節に限れば、考え方としては成り立ちます。もともと暖房に払うはずだった電気代の一部が報酬で戻る形になるためです。ただし機材の購入費、騒音対策、暖房が不要な期間の扱いまで含めると、差し引きは条件次第です。電気料金も報酬額も変動するので、試算するときは料金表と最新の相場を確認してください。

家庭で始めるなら何から確認すべきですか

まず設置場所の電気容量と騒音、次に夏場の運用です。この二つを解決しないまま機材を買うと、置き場所に困って動かないまま眠らせることになりがちです。そもそも保有が目的であれば、マイニングよりも取引所で買うほうが目的に合う場合が多く、比較の手順は始め方ガイドにまとめています。取引所の条件はコインチェックなど各社の公式情報で最新の内容を確認してください。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

Bitcoin Analyze 編集部

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