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ストラテジー社のビットコイン戦略とは?大量保有企業の狙いとリスク

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「借り入れでビットコインを買っている会社だから、価格が急落すれば担保割れですぐに強制売却される」——大量保有企業をめぐって最もよく見かける説明ですが、資金調達の中身を追うと、この理解は正確ではありません。中心にあるのは無担保の転換社債と株式の発行であり、価格が下がった翌日に持ち高を投げさせるような追加担保の条項は、基本的に置かれていないからです。

では危険がないのかというと、そうではありません。リスクはまったく別の場所にあります。この記事では、ストラテジー社(社名変更前はマイクロストラテジー)がとってきた資金調達の型を分解し、その仕組みが成り立つ条件と、条件が崩れたときに何が起きるのかを順に整理します。

読み終えるころには、同社の株価がビットコイン価格より大きく動く理由と、決算や社債の満期といったニュースのどこを見ればよいのかが分かります。公表されている資金調達の枠組みと、追随する企業の動きを突き合わせて構成しました。順に見ていきましょう。

事業会社から「ビットコインを保有する会社」へ

同社はもともと企業向けの分析ソフトウェアを提供する会社でした。2020年に手元資金の一部をビットコインに換えたことを起点として、以降は継続的に買い増しを行い、資産の大部分をビットコインが占める構造へと変わっていきます。2025年には社名も「Strategy」へと改められました。

重要なのは、買い増しの原資が本業の利益だけではないという点です。ソフトウェア事業の利益規模と、保有するビットコインの規模には大きな開きがあります。差を埋めているのは、資本市場から調達した資金です。つまりこの戦略の本体は、ビットコインの売買判断そのものではなく、資金調達の設計にあります。

資金の作り方は大きく3つ

転換社債

一定の条件で株式に転換できる権利がついた社債です。投資家は株価上昇の恩恵を受けられる代わりに、利率は低く設定されます。同社が発行してきたものは、無利息に近い条件で、転換価格を発行時点の株価より3割前後高い水準に置く設計が中心だったと説明されています。

ここが冒頭の誤解に関わる部分です。これらは無担保の社債であり、保有するビットコインが値下がりしたからといって、追加の担保を差し入れたり自動的に売却したりする条項は組み込まれていません。信用取引のような即時の追証は発生しない構造です。

株式の追加発行

市場価格で少しずつ新株を売り出す方式(一般にATM型と呼ばれます)を使い、継続的に資金を調達します。返済義務が発生しないため、財務上は最も負担の軽い調達手段です。2024年には、数年かけて株式と社債で大規模に調達する計画が公表されました。

優先株

2025年以降は、決まった配当を支払う優先株も組み合わせています。普通株の希薄化を抑えつつ資金を得られる一方、配当という現金支払いの義務が毎期発生する点が異なります。

戦略が成り立つ唯一の条件

この仕組みには、成立条件が一つあります。会社の時価総額が、保有するビットコインの評価額を上回っていることです。両者の比率は一般にmNAV(保有資産に対する時価総額の倍率)と呼ばれます。

状態 新株発行の結果 戦略への影響
時価総額が保有資産より高い 調達額で買えるビットコインが、希薄化で減る分を上回る 1株あたりの保有量が増え、増資を続ける動機が働く
時価総額が保有資産と同水準 増減がほぼ相殺される 買い増しの意味が薄れ、調達ペースが鈍る
時価総額が保有資産を下回る 希薄化のほうが大きくなる 増資が既存株主の持ち分を削る側に回り、資金調達の循環が止まる

同社が「1株あたりのビットコイン保有量」を独自の成果指標として掲げてきたのは、この構造を株主に説明するためです。プレミアムが乗っている限り増資が正当化され、消えた瞬間に前提が崩れる——これがこの戦略の核心であり、同時に最大の弱点でもあります。

顕在化しうるリスクを整理する

プレミアムの消滅

相場が長く冷え込み、投資家がビットコインに触れる手段として同社の株式を選ばなくなれば、倍率は1倍に近づきます。強制売却は起きなくても、買い増しのエンジンが止まります。成長期待を織り込んで買われていた株価には、この局面で厳しい調整が生じ得ます。

満期と償還のタイミング

追証はなくても、社債には満期があり、投資家が早期償還を請求できる日が設定されている場合もあります。その時点で株価が転換価格を下回っていれば、株式への転換は起きず、現金での返済が必要になります。借り換えができるかどうかが分かれ目で、これは価格ではなく時間軸のリスクです。優先株の配当も同様に、毎期の現金支出として効いてきます。

会計と税務

米国の会計基準では、2025年から暗号資産を時価で評価する扱いが適用されています。含み益が利益として計上される一方、下落局面では巨額の損失が損益計算書に現れます。決算の見え方が相場に強く連動するため、業績のブレは以前より大きくなります。税務上の取り扱いについても議論が続いており、確定した前提として読むべきではありません。

指数や規制をめぐる判断

株価指数の構成銘柄に採用されるか、あるいは資産構成を理由に除外されるかといった判断は、指数連動資金の売買を通じて需給に直接影響します。企業の業績とは無関係に株価が動く要因として、無視できない大きさを持ちます。

追随企業と、個人が真似できない理由

同じ発想でビットコインを財務資産として積み上げる上場企業は、日本を含む各国で増えました。ただし、資金調達の条件は会社ごとに違います。低い金利で長期の資金を集められる会社と、そうでない会社では、下落局面での耐久力がまったく異なります。同じ戦略という言葉でまとめて評価するのは適切ではありません。

そして個人はこの型を再現できません。転換社債を発行できませんし、信用取引やレバレッジ商品には即時の追証があります。無担保・長期・低利という条件は、上場企業が資本市場にアクセスできるからこそ成立するものです。

個人が同じ「長期で持ち続ける」という部分だけを取り出すなら、余剰資金の範囲で現物を買い、自分で保管するほうが構造としては素直です。株式で持つ形は、企業の財務判断や経営陣の交代といった、ビットコインとは無関係な要因を丸ごと抱え込むことになります。保管方法はハードウェアウォレットの選び方で解説しており、機種はハードウェアウォレットの一覧から比較できます。現物の購入自体はGMOコインなどの国内交換業者で完結します。

関連する論点はビットコインカテゴリ投資戦略カテゴリでも継続して取り上げています。

よくある質問(FAQ)

同社の株を買えば、ビットコインを持つのと同じですか?

同じにはなりません。株価にはプレミアムの伸縮、増資による希薄化、負債の返済スケジュール、経営判断といった要素が上乗せされます。そのため、上昇局面ではビットコインより大きく上がり、下落局面ではより大きく下げる傾向が指摘されています。値動きの振れ幅が拡大した別の商品だと理解してください。

ビットコインが急落したら保有分は強制的に売られますか?

調達手段の中心が無担保の社債である以上、価格の下落だけを理由に自動的な売却が発動する仕組みにはなっていません。ただし社債の満期や早期償還の請求日に現金が必要になり、借り換えが難しい状況が重なれば、保有資産の一部を現金化する選択肢が現実味を帯びます。危険なのは価格そのものより、資金繰りの期日です。

日本から投資する場合の税金はどうなりますか?

米国株として売買する場合と、暗号資産を直接売買する場合では、所得の区分も課税方法も異なるのが一般的です。暗号資産の取り扱いは仮想通貨の税金ガイドで整理していますが、株式の課税関係も含めて、最終的には国税庁の公式情報と税理士への確認をおすすめします。

この戦略はいつまで続けられるのですか?

外部から期限を断定することはできません。判断材料になるのは、時価総額と保有資産の倍率、社債の満期が集中する時期、そして調達の頻度です。この3つを追っていれば、資金調達の循環がまだ回っているのか、鈍り始めているのかは読み取れます。

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、投資助言ではありません。最新の情報は公式情報をご確認ください。

この記事について

執筆・編集:Bitcoin Analyze 編集部

金融庁・国税庁および各事業者の公式資料にあたり、基準日と定義を固定したうえで記事を作成しています。価格予測や利益保証は扱いません。事業者の条件は変更されるため、最終的な判断は公式情報をご確認ください。

主な参照先

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