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Aave V3ループ(レバレッジ)戦略の仕組みと実践手順:利回り最大化の理論と注意点

Aave V3のループ戦略とは、資産を供給して借り入れ、借りた資産を再度供給するサイクルを繰り返すことでレバレッジポジションを構築する手法です。適切に実行すれば少ない元手で大きなエクスポージャーを得られますが、誤るとヘルスファクターが急低下し清算に至るリスクもあります。本記事ではループ戦略の理論から実践手順、リスク管理まで体系的に解説します。

ループ戦略の基本原理

ループの仕組みをステップで理解する

ループ戦略の基本ステップは以下の通りです。①ETHをAaveに供給する。②供給したETHを担保にUSDCを借り入れる(LTVの50〜60%程度)。③借りたUSDCでETHを市場で購入する。④購入したETHを再度Aaveに供給する。⑤②〜④を繰り返す。このサイクルを重ねることで、最初に投じたETHよりも大きなETHポジションを担保として持つことができます。

ループを回すたびに借入残高も増加するため、全体のエクスポージャーは増えますが、担保価値に対する借入比率(実効LTV)も上昇します。ループの限界は実効LTVが清算閾値に近づいた時点です。理論上は無限にループできますが、現実的には3〜5回程度でリスクが高まります。

ループ倍率と担保効率の計算

ループ倍率は「1 ÷ (1 – LTV)」で近似できます。LTVが75%の場合、理論的な最大倍率は1÷(1-0.75)=4倍です。ただしこれは無限ループを仮定した理論値であり、実際には各ループで交換手数料・スリッページ・ガス代がかかるため、現実的な倍率は2〜3倍程度が上限となります。

具体例として、1ETH(現在価値200万円)からLTV60%でループを3回行った場合を計算します。1回目:200万円供給→120万円借入→0.6ETH購入。2回目:0.6ETH供給→72万円借入→0.36ETH購入。3回目:0.36ETH供給→43万円借入→0.215ETH購入。合計で約2.175ETHの担保と235万円の借入残高になります。実効LTVは約108%ではなく担保評価額ベースで計算するため、実際のHFは保有ETH評価額に依存します。

ETHループとステーブルコインループの違い

ETHループの特性と清算リスク

ETHを担保にUSDCを借りてETHを再購入するループは、ETH価格が上昇するほど含み益が増加する強気戦略です。ETH価格が上昇すると担保価値が上がりHFも改善されます。逆にETH価格が下落すると担保価値が下がり、ループ倍率が高いほど清算リスクが急上昇します。

ETHループで重要なのは、「清算価格」を事前に計算しておくことです。清算価格は「借入総額 ÷ (担保ETH総量 × 清算閾値)」で求められます。この価格を下回るとポジションが清算されるため、自身の清算価格と現在価格の乖離率を常に把握しておく必要があります。

ステーブルコインループの特性

USDCを担保にUSDTを借りて再供給するようなステーブルコイン同士のループは、価格変動リスクがほとんどなく安定した利息差益を積み上げられます。ただしステーブルコインの供給APYと借入APRの差(スプレッド)が小さいため、レバレッジをかけても絶対的な利益は限定的です。年率スプレッドが1%でも3倍ループなら約3%の利回りになる計算ですが、これにリスクコストを加味した判断が必要です。

DeFiSaverを使ったワンクリックループ

DeFiSaverのBoostとRepay機能

DeFiSaverはAaveポジションの管理に特化したツールで、「Boost」機能を使えばワンクリックでループ操作が実行できます。Boost実行時、内部でフラッシュローンを使って一度に大量の担保・借入サイクルを処理するため、手動でループを回すよりもガス代を大幅に節約できます。逆にポジションを縮小したい場合は「Repay」でデレバレッジが可能です。

DeFiSaverのSmart Savings機能を使えば、目標HFを設定しておくと自動的にBoost/Repayを繰り返してHFを維持し続けます。ただしDeFiSaver自体もスマートコントラクトリスクを持つため、使用額の管理は重要です。

自動化機能の設定方法と注意事項

DeFiSaverで自動化を設定する際は、「Automation」タブからAaveポジションを接続し、目標HF・最小HF・最大HF・Boost/Repay比率を設定します。自動化が発動した際はガス代が自動的に担保から引かれるため、ガス代として使われる資産とその量を事前に確認してください。自動化が機能しない場面(ネットワーク混雑・スマートコントラクトのバグ)もあり得るため、完全に依存することは避けるべきです。

E-Modeを活用したLST(流動性ステーキングトークン)ループ

stETH/ETHループの具体的な収益構造

E-ModeのETHカテゴリを使い、wETHを担保にstETHを借り入れてループする戦略は、Lidoのステーキング利回り(現在年率3〜4%程度)を複利で享受できる手法として注目されています。stETHはETHとほぼ連動して動くため清算リスクが非常に低く、E-ModeによりLTVが90%以上に設定されるため高い倍率でループできます。

収益計算例として、stETHの供給APY4%・wETH借入APR2%の場合、2倍ループでの実効利回りは「4%×2 – 2%×1 = 6%」程度になります。さらにAaveのサプライインセンティブや追加報酬がある場合はより高くなります。ただしstETHのデペグリスク(ETHとの価格乖離)がゼロではないことを念頭においてください。

rETH・cbETHなど他のLSTへの展開

Rocket PoolのrETHやCoinbaseのcbETHも同様のループ戦略が適用できます。各LSTのプロトコルリスク(スラッシング・カストディリスク)が異なるため、LSTの選択は慎重に行う必要があります。また複数のLSTをループする際はE-Modeのカテゴリ制限により、異なるカテゴリのLSTを同一ポジションで混在させられない場合があります。

ループ戦略のリスク管理フレームワーク

清算カスケードリスクの理解

市場全体が急落する局面では、多くのLoopポジションが同時に清算されることで「清算カスケード」が発生します。清算ボットが大量の担保を売却→価格がさらに下落→新たな清算発動、という連鎖です。このような局面ではAaveのスリッページが大きくなり、清算ペナルティも増大します。2021年5月や2022年6月には実際に大規模な清算カスケードが発生しています。

ポジションサイズの上限設定

ループ戦略を実践する際は、総資産に対するループポジションのサイズを制限することが重要です。一般的に総運用資産の20〜30%以内をループに充てることが推奨されます。また、ループに使う資金は「失っても生活に支障がない範囲」に限定するべきです。高いレバレッジは利益を拡大しますが、損失も同様に拡大します。

まとめ

Aave V3のループ戦略は、仕組みを正しく理解すれば資本効率を高める有効な手法です。ただし高いループ倍率は清算リスクを指数的に高めるため、清算価格の事前計算・HFの定期モニタリング・自動化ツールの活用が不可欠です。E-ModeとLSTを組み合わせた低リスクループから始め、経験を積んでから倍率を上げることを推奨します。

よくある質問

Q. ループ戦略はどの程度の資金から始められますか?

理論上は少額からでも開始できますが、Ethereum mainnetではガス代がかかるため数十万円規模が現実的です。少額で試す場合はArbitrumやPolygonなどL2チェーンのAave V3を活用することをお勧めします。

Q. ループ中に担保資産の価格が急落した場合の対処法は?

速やかにRepay(返済)またはCollateral追加でHFを回復させることが重要です。DeFiSaverの自動Repay機能を事前に設定しておくことで、手動対応が間に合わない場面でも対処できます。

Q. フラッシュローンとループ戦略の違いは何ですか?

フラッシュローンは同一トランザクション内で完結する無担保の借り入れで、主にアービトラージや担保スワップに使われます。ループ戦略は複数ブロックにまたがる持続的なポジション構築であり、目的と期間が異なります。

免責事項
本記事に記載された内容は情報提供のみを目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。DeFiプロトコルへの参加にはスマートコントラクトリスク・流動性リスク・価格変動リスクが伴います。※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Bitcoin Analyze 編集部

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