DeFiの利回りは魅力的ですが、「今月は10%あったのに来月は3%になった」という変動に悩まされた経験はないでしょうか。
Pendle Financeを使えば、stETH(Lidoステーキング)・USDe(Ethena合成ドル)・eETH(EtherFi再ステーキング)などの主要利回り資産の収益を「固定利回り」に変換できます。
この記事では、各資産の特徴・現在の利回り水準・Pendleでの具体的な運用方法を詳しく解説します。
本記事の内容は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。
目次
- Pendleで扱われる主要利回り資産の概要
- stETH(Lido)を使った固定利回り運用
- USDe(Ethena)を使った固定利回り運用
- eETH・weETH(EtherFi)を使った再ステーキング利回り運用
- 各資産の利回り・リスク比較
- Pendleマーケット選択のポイント
- 複数資産のポートフォリオ例
- まとめ
- よくある質問(FAQ)
1. Pendleで扱われる主要利回り資産の概要
「利回り資産」とは何か
Pendleで扱われる資産は、単なるETHやUSDCではなく、「それ自体が利回りを生み出す」性質を持った「利回り資産(Yield-bearing assets)」です。
具体的には、以下のカテゴリに分類されます。
- ステーキング系:stETH・cbETH・rETH等(ETHのPoSステーキング報酬)
- 再ステーキング系:eETH・weETH・rsETH等(EigenLayer・EtherFiの再ステーキング)
- 合成ドル系:USDe・sUSDe等(Ethenaの合成ドル・ステーキング)
- LP系:各種DEXのLP(流動性提供手数料)
- レンディング系:aUSDC・cDAI等(AaveやCompoundの預け入れポジション)
PendleマーケットのTVL上位資産(2025〜2026年)
2025〜2026年にかけてPendleで最も活発に取引された資産は以下の通りです。
- USDe・sUSDe(Ethena)
- weETH(EtherFi)
- stETH(Lido)
- eETH(EtherFi)
- rsETH・ezETH等の再ステーキング系
2. stETH(Lido)を使った固定利回り運用
stETHとは
stETH(ステークドETH)は、LidoというDeFiプロトコルを通じてETHをビーコンチェーンにステーキングした際に受け取る「レシートトークン」です。
stETHを保有しているだけで、毎日Lidoのステーキング報酬がstETHの残高増加として反映されます。2025〜2026年のstETH利回りはおおむね年率3〜5%程度で推移しています。
PendleでのstETH固定利回り運用の手順
- LidoでETHをstETHに変換(または取引所でstETHを購入)
- PendleアプリでArbitrumまたはEthereumの「stETHマーケット」を選択
- 「Buy PT」でPT-stETHを購入
- 満期日まで保有し、満期後にstETHに換金
stETH PTの実際の利回り水準
2025〜2026年時点のstETH PT(6ヶ月〜1年満期)の固定利回りは、年率換算でおおむね3〜6%程度が多く見られました。変動するLidoのステーキング利回りを固定化したい場合に有効な選択肢です。
stETHのリスク
stETH自体にはLidoのスマートコントラクトリスク・ETHとのペグ外れリスクがあります。Pendleを使う場合はPendleのリスクが追加で加わる点を理解しておきましょう。
3. USDe(Ethena)を使った固定利回り運用
USDeとは
USDe(ユーエスディーイー)は、EthenaというDeFiプロトコルが発行する合成ドルステーブルコインです。
USDeはETHやBTCを担保にしつつ、先物市場でのショートポジションで価格を安定させる「デルタニュートラル戦略」で米ドルとのペッグを維持します。sUSDe(ステークドUSDe)を保有すると利回りが発生します。
2024〜2025年のsUSDe利回りは強気相場の時期に年率20〜50%超になることもあり、DeFi界でも高い注目を集めました。ただし利回りはフンディングレートに依存するため変動が大きい特徴があります。
PendleでのUSDe固定利回り運用
USDeの利回りが高い時期に、PendleのPT-sUSDeを購入することで、その高い利回りを固定化することができます。
例えば、sUSDeのImplied APYが30%のときにPT-sUSDeを購入すれば、満期まで実質年率30%相当の固定リターンが得られます(ただし各種リスクが前提です)。
USDeのリスク
USDeはビットコイン・ETHの先物ショートポジションで成り立っているため、強気相場でフンディングレートが高い時は高利回りになりますが、弱気相場では逆にフンディングが負になり利回りが低下する可能性があります。また、EthenaのプロトコルリスクやUSDeのペッグ外れリスクも念頭に置く必要があります。
4. eETH・weETH(EtherFi)を使った再ステーキング利回り運用
EtherFiと再ステーキングとは
EtherFiはEigenLayerという「再ステーキング(リステーキング)」プロトコルを活用したDeFiサービスです。
再ステーキングでは、すでにステーキングに使っているETHを、追加のプロトコル(AVS:Active Validated Services)のセキュリティにも活用することで、追加の報酬を得られます。
eETH(EtherFiのステーキングレシートトークン)・weETH(eETHのラップ版)は、ETHのPoS報酬に加えてEigenLayerの再ステーキング報酬も受け取れる設計になっています。
PendleでのweETH運用
weETHはPendleで最も活発に取引される資産のひとつです。PT-weETHを購入することで、再ステーキング報酬を含む利回りを固定化できます。
2025年のweETH PT利回りは、再ステーキング期待分を含め年率5〜10%程度の水準が多く見られました。
再ステーキング系のリスク
EigenLayerの再ステーキングは比較的新しい概念であり、「スラッシング(悪意ある行動に対するペナルティ)」リスクや、再ステーキング先のプロトコルリスクが存在します。また、EtherFiのスマートコントラクトリスクも加わります。
5. 各資産の利回り・リスク比較
利回り水準の比較(2025〜2026年参考値)
| 資産 | 利回り種別 | 参考APY水準 | リスク水準 |
|---|---|---|---|
| stETH | ETH PoSステーキング | 3〜5% | 比較的低め |
| weETH(EtherFi) | PoS + 再ステーキング | 5〜10% | 中程度 |
| sUSDe(Ethena) | フンディングレート | 5〜50%超(変動大) | 高め |
| aUSDC(Aave) | レンディング利息 | 3〜8% | 比較的低め |
利回りが高い資産ほど、その分リスクも高い傾向があります。特にUSDeのような高利回り資産は、市場環境に大きく依存する点を理解した上で活用することが重要です。
満期別の利回り傾向
一般的に、満期が長いPTほど割引率が大きく、固定利回りが高くなる傾向があります。ただし長期満期のPTは流動性が低くなることもあるため、売却したい場合のスリッページに注意が必要です。
6. Pendleマーケット選択のポイント
TVLで流動性を確認する
Pendleのマーケット一覧では各プールのTVL(総預け入れ額)が表示されます。TVLが大きいほど流動性が高く、スリッページが少なくなります。1,000万ドル以上のTVLがあるマーケットが一般的に取引しやすい目安です。
満期日と投資期間のマッチング
PTを購入する場合、満期日が自分の投資期間に合っているかを確認することが重要です。満期前に売却すると固定利回りが確定せず、市場価格次第となります。
Implied APYとUnderlying APYの乖離チェック
マーケット選択時にImplied APYとUnderlying APY(実際の現在利回り)を比較しましょう。大きな乖離がある場合、市場が特定の方向性を強く見込んでいるサインである可能性があります。
7. 複数資産のポートフォリオ例
保守的ポートフォリオ(リスク低め)
- PT-stETH(6ヶ月満期):50%(固定利回り3〜5%)
- PT-aUSDC(3ヶ月満期):30%(固定利回り3〜6%)
- Pendle LP(stETH/PT):20%(手数料+PENDLE報酬)
中程度リスクポートフォリオ
- PT-weETH(6ヶ月満期):40%(固定利回り5〜8%)
- PT-sUSDe(3ヶ月満期):30%(固定利回り10〜20%)
- YT-stETH(利回り上昇狙い):15%
- vePENDLE(報酬分配):15%
あくまで参考例であり、実際の投資判断はご自身の状況・リスク許容度に応じて行ってください。
まとめ
Pendleを使った固定利回りDeFiの実践について整理します。
- stETH・USDe・eETHなど主要利回り資産はすべてPendleでPT化できる
- PTを購入することで変動する利回りを固定金利に変換できる
- 高利回り資産ほどリスクも高く、原資産のリスクをしっかり理解することが必要
- TVL・満期日・Implied APYを確認してマーケットを選択することが重要
- 複数資産・複数戦略を組み合わせることでリスク分散が図れる
利回りを固定することで、DeFi投資のリスク管理が大幅に改善できます。自分のリスク許容度と投資期間に合った資産を選んで活用してみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. USDeは安全なステーブルコインですか?
USDeはアルゴリズム的なデルタニュートラル戦略で価格を安定させるステーブルコインです。DAI・USDCのような完全担保型と比べると仕組みが複雑で、フンディングレートが長期間マイナスになった場合にペッグが崩れるリスクがあります。利回りの高さはリスクと表裏一体であることを理解した上で活用することが重要です。
Q2. stETHとeETHはどちらがPendleで使いやすいですか?
stETHはLidoという歴史のあるプロトコルが発行しており、流動性・実績の面で安心感があります。eETH・weETHはEtherFiが発行しており、再ステーキング報酬分の上乗せがある一方で、EigenLayerの追加リスクが伴います。どちらが「使いやすい」かは目的によって異なります。
Q3. Pendleの利回りに税金はかかりますか?
日本居住者の場合、DeFiで得た利益は原則として雑所得として課税対象になる可能性があります。具体的な税務処理については税理士や税務署にご確認ください。本記事では税務アドバイスは提供しておりません。
※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。暗号資産・DeFiへの投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。