暗号資産(仮想通貨)に投資を始めようとしたとき、最初に直面するのが「どの取引所を選べばよいのか」という問題ではないでしょうか。2026年3月時点で、日本国内だけでも金融庁に登録された暗号資産交換業者は30社を超えており、それぞれが異なる手数料体系、セキュリティ対策、取扱銘柄を提供しています。手数料が安くても取扱銘柄が少なければ投資の選択肢が限られますし、逆に銘柄数が多くてもセキュリティに不安がある取引所では安心して資産を預けることができません。さらに、取引所には「販売所」と「取引所」の2つの売買方式があり、同じプラットフォーム上でもコストが大きく異なることがあります。海外取引所を利用すれば選択肢はさらに広がりますが、日本の法規制や税制上のリスクも考慮する必要があるでしょう。本記事では、国内主要7取引所の手数料・セキュリティ・取扱銘柄を徹底比較し、初心者から上級者までそれぞれのレベルに最適な取引所の選び方をお伝えしていきます。自分に合った取引所を見つけるための参考にしてみてください。
目次
1. 暗号資産取引所の種類を理解しよう(CEX vs DEX)
1-1. CEX(中央集権型取引所)とは
暗号資産の取引所は、大きく分けて「CEX(Centralized Exchange:中央集権型取引所)」と「DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所)」の2種類に分類されます。まずはCEXについて詳しく見ていきましょう。
CEXとは、運営会社が存在し、その会社がユーザーの資産を預かって取引を仲介する形式の取引所です。日本で「暗号資産取引所」と呼ばれるものは、基本的にすべてCEXに該当します。Coincheck、bitFlyer、GMOコイン、bitbankといった国内取引所はすべてこの形態です。
CEXの最大の特徴は、運営会社がユーザーの本人確認(KYC)を行い、資産を管理している点にあります。ユーザーは取引所に口座を開設し、日本円を入金してから暗号資産を購入します。取引所の注文板(オーダーブック)を通じて売買が行われるため、取引のマッチングは高速で、流動性も高いのが一般的です。
CEXの主なメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 日本円での入出金が可能:銀行振込やコンビニ入金で日本円を入金し、暗号資産を購入できます
- カスタマーサポートがある:トラブル時には問い合わせが可能です
- 操作が直感的:初心者でも使いやすいUI/UXが提供されています
- 法規制のもとで運営されている:金融庁の登録を受けた業者であれば、一定の安全基準を満たしています
- 流動性が高い:大口の取引でもスリッページ(注文価格と約定価格の差)が小さい傾向があります
一方、CEXには「カウンターパーティリスク」と呼ばれるリスクがあります。これは、取引所そのものがハッキングされたり、経営破綻したりした場合に、預けている資産が失われる可能性があるというリスクです。2014年のMt.Gox事件や2018年のCoincheckハッキング事件は、このリスクが顕在化した代表的な事例といえるでしょう。
1-2. DEX(分散型取引所)とは
DEXは、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動的に実行されるプログラム)を利用して、仲介者なしでユーザー同士が直接暗号資産を交換できる仕組みです。代表的なDEXとしては、Ethereum上で動作するUniswap、Solana上のRaydium、マルチチェーン対応のdYdXなどがあります。
DEXでは、ユーザーは自身のウォレット(MetaMaskやPhantomなど)を直接接続して取引を行います。取引所に資産を預ける必要がないため、カウンターパーティリスクが大幅に低減されます。「Not your keys, not your coins(秘密鍵を持っていなければ、それはあなたのコインではない)」という暗号資産の格言は、まさにDEXの思想を表しています。
DEXの主なメリットは以下のとおりです。
- 自己管理(セルフカストディ):資産を自分のウォレットで管理するため、取引所の破綻リスクがありません
- 匿名性が高い:本人確認が不要な場合がほとんどです
- グローバルにアクセス可能:国境を問わず、インターネット環境があれば利用できます
- 新規トークンへの早期アクセス:CEXに上場される前のトークンを取引できることがあります
ただし、DEXにもデメリットがあります。操作が複雑であること、ガス代(取引手数料)が変動すること、日本円での入出金ができないこと、詐欺トークン(ラグプル)のリスクがあること、そしてトラブル時にサポートを受けられないことなどが挙げられます。
1-3. CEXとDEXの使い分け
結論として、暗号資産投資を始める段階では、CEX(特に日本の金融庁登録済み取引所)を利用するのが適切といえるでしょう。法的な保護が受けられること、日本円での入出金が可能であること、初心者にも使いやすいインターフェースが用意されていることが主な理由です。
DEXは、暗号資産に慣れてきた中級者以上が、より高度な取引や新しいトークンへのアクセスを求める際に検討するのがよいかもしれません。CEXとDEXを組み合わせて利用するのも、ひとつの有効な戦略です。
本記事では、主に日本国内のCEXを対象として、取引所の選び方を詳しく解説していきます。
2. 取引所選びで押さえるべき7つのポイント
2-1. ポイント1:手数料体系
取引所を選ぶうえで最も重要な要素のひとつが、手数料体系です。暗号資産取引に関わる手数料は、大きく以下の4種類に分けられます。
取引手数料は、暗号資産を売買するたびに発生する手数料です。「取引所(板取引)」形式では0%〜0.15%程度が一般的ですが、「販売所」形式では手数料無料と謳いつつ、スプレッド(買値と売値の差)が実質的なコストとして上乗せされます。このスプレッドは1%〜5%程度に達することがあり、頻繁に取引を行う場合は大きなコスト負担となります。
入金手数料は、日本円を取引所に入金する際の手数料です。銀行振込であれば振込手数料のみの取引所が多いですが、コンビニ入金やクイック入金には別途手数料が発生する場合があります。
出金手数料は、日本円を取引所から銀行口座に出金する際の手数料です。無料から数百円程度まで、取引所によって大きく異なります。
暗号資産の送金手数料は、ビットコインやイーサリアムなどを外部ウォレットや他の取引所に送金する際に発生する手数料です。ネットワーク手数料(ガス代)に連動する場合もあれば、固定手数料の場合もあります。
取引スタイルに応じて重視すべき手数料は異なります。短期売買を繰り返すトレーダーは取引手数料やスプレッドの安さを、長期保有型の投資家は入出金手数料の安さを重視するとよいでしょう。
2-2. ポイント2:セキュリティ
暗号資産はデジタル資産であるため、ハッキングや不正アクセスのリスクと常に隣り合わせです。取引所のセキュリティ対策を確認することは、資産を守るうえで欠かせません。
主なセキュリティ対策として注目すべき項目は以下のとおりです。
- コールドウォレット管理:顧客資産の大部分をインターネットから切り離されたコールドウォレットで保管しているかどうか
- マルチシグ(マルチシグネチャ):暗号資産の送金に複数の秘密鍵による承認を必要とする仕組みを採用しているか
- 二段階認証(2FA):ログインや送金時に追加の認証ステップを設けているか
- SSL/TLS暗号化通信:すべての通信が暗号化されているか
- 不正検知システム:異常なアクセスや取引を検知・ブロックする仕組みがあるか
- 過去のインシデント対応:ハッキング被害の有無と、被害時の対応実績
加えて、2019年に改正された資金決済法により、国内の暗号資産交換業者はユーザー資産と自社資産を分別管理することが義務づけられています。これは一定の安全性を担保する仕組みですが、それでも取引所ごとにセキュリティの水準には差があります。
2-3. ポイント3:取扱銘柄数と種類
取扱銘柄数は、投資の選択肢の広さに直結します。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)といったメジャーな銘柄はほとんどの取引所で取り扱われていますが、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(POL)といった比較的新しいレイヤー1・レイヤー2トークンは、取引所によって取り扱いの有無が異なります。
2026年3月時点では、国内取引所の取扱銘柄数は10種類程度から40種類以上まで幅があります。ただし、銘柄数が多ければよいというわけではありません。自分が投資したい銘柄が取り扱われているかどうかが重要です。
また、同じ銘柄でも「販売所」でしか取引できない場合と「取引所(板取引)」で取引できる場合では、実質的なコストが大きく異なる点にも注意が必要です。
2-4. ポイント4:取引形式(販売所 vs 取引所)
暗号資産の売買には、「販売所」方式と「取引所(板取引)」方式の2つがあります。この違いを理解しているかどうかで、取引コストが大きく変わってきます。
販売所は、取引所の運営会社が相手方となって暗号資産を売買する方式です。操作がシンプルで確実に約定するメリットがある一方、買値と売値の差(スプレッド)が大きく、実質的なコストが高くなる傾向があります。
取引所(板取引)は、ユーザー同士が注文板を通じて売買する方式です。スプレッドが狭く、手数料も低い傾向がありますが、注文が約定するまでに時間がかかることがあります。
初心者の方はまず販売所の操作に慣れ、その後、取引所(板取引)に移行していくのがスムーズでしょう。
2-5. ポイント5:使いやすさ(UI/UX・アプリ)
毎日のように取引画面を開く方にとって、使いやすさは非常に重要な要素です。具体的には、スマートフォンアプリの操作性、チャート機能の充実度、注文方法の種類(指値・成行・逆指値・OCOなど)、ポートフォリオ管理機能の有無などが判断材料になります。
国内取引所のアプリは総じて使いやすく設計されていますが、チャート分析ツールの充実度やレイアウトのカスタマイズ性には差があります。可能であれば、口座開設前にデモ画面やアプリのスクリーンショットを確認しておくとよいかもしれません。
2-6. ポイント6:レバレッジ取引への対応
暗号資産のレバレッジ取引(証拠金取引)は、手持ち資金以上の金額で取引を行える仕組みです。日本国内では、2020年の法改正により暗号資産のレバレッジは最大2倍に規制されています。
レバレッジ取引は利益を拡大できる一方で、損失も同様に拡大するリスクがあります。初心者の方は、まず現物取引で経験を積んでからレバレッジ取引を検討することを強くおすすめします。
国内取引所のレバレッジ取引対応状況は異なりますので、将来的にレバレッジ取引を行いたい場合は、対応している取引所を選んでおくと、あとから別の取引所に移る手間が省けるでしょう。
2-7. ポイント7:ステーキング・レンディングサービス
暗号資産を「持っているだけで増やす」方法として、ステーキングやレンディングといったサービスを提供している取引所があります。
ステーキングは、対象の暗号資産を一定期間ロック(預入れ)することで、ブロックチェーンのネットワーク維持に貢献し、その報酬を受け取る仕組みです。イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)などのPoS(プルーフ・オブ・ステーク)系の暗号資産が対象となります。
レンディングは、保有する暗号資産を取引所に貸し出し、その利用料として利息を受け取る仕組みです。ビットコインなどPoW(プルーフ・オブ・ワーク)系の暗号資産でも利用できる点がステーキングとの違いです。
これらのサービスの利率、対象銘柄、最低預入金額、ロック期間は取引所ごとに異なりますので、長期保有を前提とした投資を行う場合は、これらのサービスの充実度も取引所選びの重要な判断材料となるでしょう。
3. 国内主要取引所の詳細比較
3-1. Coincheck(コインチェック)
Coincheckは、マネックスグループ傘下のコインチェック株式会社が運営する暗号資産取引所です。2014年に設立され、日本の暗号資産取引所としては最も知名度の高いサービスのひとつです。
2018年1月にNEM(ネム)のハッキング被害を受け、約580億円相当の暗号資産が流出する事件が発生しました。しかしその後、マネックスグループの傘下に入ることでセキュリティ体制を大幅に強化し、2019年に金融庁の登録を取得しています。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約31種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所は無料
- 入金:銀行振込は無料、コンビニ入金は770円〜1,018円
- 出金:407円
- 最低取引額:500円から購入可能
- アプリダウンロード数:600万超
- IEO(Initial Exchange Offering)サービスを提供
- NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」を運営
- 電気・ガス料金の支払いでビットコインが貯まるサービスあり
- 自動積立サービス「Coincheckつみたて」を提供
Coincheckの強みは、初心者にとっての使いやすさにあります。アプリのUIが直感的で分かりやすく、500円から暗号資産を購入できる手軽さが特徴です。一方で、取引所(板取引)で取り扱われる銘柄が限られている点は、コストを重視するトレーダーにとってはデメリットとなるかもしれません。
3-2. bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyerは、2014年に設立された日本最大級の暗号資産取引所です。設立以来一度もハッキング被害を受けていないことを公表しており、セキュリティの高さに定評があります。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約37種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所(bitFlyer Lightning)は約定数量×0.01%〜0.15%
- 入金:住信SBIネット銀行は無料、その他は330円
- 出金:三井住友銀行は220円〜440円、その他は550円〜770円
- 最低取引額:1円から購入可能
- ビットコイン取引量で国内トップクラスの実績
- レバレッジ取引(最大2倍)に対応
- Tポイントをビットコインに交換可能
- bitFlyer Lightningで高度なチャート分析が可能
bitFlyerは、取引量の多さから板取引の流動性が高く、大口取引でもスリッページが小さい傾向があります。また、1円から暗号資産を購入できる少額投資対応も魅力のひとつです。bitFlyer Lightningでは、プロ向けのチャートツールや注文方法が利用可能で、初心者から上級者まで幅広いニーズに対応しています。
3-3. GMOコイン
GMOコインは、東証プライム市場上場のGMOインターネットグループが運営する暗号資産取引所です。GMOグループはFX取引所の運営実績があり、その金融インフラ構築のノウハウが活かされています。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約27種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所はMaker -0.01%・Taker 0.05%(BTCの場合)
- 入金:即時入金は無料(主要銀行対応)
- 出金:無料(大口出金400円)
- 暗号資産の送金手数料:無料
- 最低取引額:販売所は数十円程度から
- レバレッジ取引(最大2倍)に対応
- ステーキングサービスを提供
- 外国為替FXも同一プラットフォームで利用可能
GMOコインの最大の強みは、各種手数料の安さです。特に日本円の出金手数料が無料であること、暗号資産の送金手数料が無料であることは、他の取引所にない大きなメリットです。また、取引所(板取引)でMaker注文(板に注文を出す側)をすると手数料がマイナス、つまり報酬が受け取れるという点もトレーダーにとって魅力的です。
3-4. bitbank(ビットバンク)
bitbankは、2014年に設立された暗号資産取引所で、取引所(板取引)の充実度に特に定評があります。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約41種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所はMaker -0.02%・Taker 0.12%
- 入金:銀行振込は無料
- 出金:550円〜770円
- 暗号資産の送金手数料:通貨によって異なる
- 最低取引額:取引所は銘柄により異なる
- 全取扱銘柄で板取引が可能
- TradingViewベースの高機能チャートを搭載
- 第三者機関による暗号資産取引所セキュリティランキングで国内No.1を獲得
bitbankの最大の特徴は、取り扱う全銘柄で板取引ができる点です。多くの取引所では、一部の銘柄は販売所でしか取引できませんが、bitbankではすべての銘柄で板取引が可能であり、スプレッドによるコストを抑えた取引が実現できます。また、TradingViewベースのチャートはテクニカル分析を行うトレーダーに高く評価されています。Maker手数料がマイナス0.02%というのは国内取引所の中で最も高い報酬率です。
3-5. SBI VCトレード
SBI VCトレードは、SBIグループが運営する暗号資産取引所です。2021年にTaoTao(旧BitARG)を統合し、現在の形態となっています。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約24種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所はMaker -0.01%・Taker 0.05%
- 入金:即時入金は無料
- 出金:無料
- 暗号資産の送金手数料:無料
- 最低取引額:販売所は500円程度から
- レバレッジ取引(最大2倍)に対応
- ステーキングサービスを提供(ETH, SOL, DOTなど)
- レンディングサービスを提供
- SBIグループの金融インフラを活用
SBI VCトレードは、出金手数料と暗号資産送金手数料がともに無料という点がGMOコインと並ぶ大きな強みです。SBIグループの金融インフラを活用したセキュリティ体制も安心材料といえるでしょう。ステーキングやレンディングといった「保有して増やす」サービスの充実度も特筆に値します。
3-6. BITPOINT(ビットポイント)
BITPOINTは、SBIグループ傘下のビットポイントジャパンが運営する暗号資産取引所です。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約27種類(2026年3月時点)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、取引所は無料
- 入金:即時入金は無料
- 出金:月1回無料、2回目以降330円
- 暗号資産の送金手数料:無料
- 最低取引額:販売所は500円程度から
- ステーキングサービスを提供
- 貸暗号資産(レンディング)サービスを提供
- 他の取引所にはないマイナー銘柄の取り扱いあり
BITPOINTは、取引手数料が板取引でも無料という点が特徴的です。また、国内他社では取り扱っていない銘柄をいち早くリスティングすることがあり、新しい銘柄への投資機会を提供しています。ステーキングやレンディングサービスも充実しており、長期保有型の投資スタイルに適しています。
3-7. DMM Bitcoin(DMMビットコイン)
DMM Bitcoinは、DMMグループが運営する暗号資産取引所です。レバレッジ取引に強みを持つ取引所として知られていましたが、近年は現物取引の銘柄数も拡充しています。
主な特徴
- 取扱銘柄数:約38種類(2026年3月時点、レバレッジ含む)
- 取引手数料:販売所は無料(スプレッドあり)、BitMatch注文あり
- 入金:即時入金は無料
- 出金:無料
- 暗号資産の送金手数料:無料
- 最低取引額:銘柄により異なる
- レバレッジ取引(最大2倍)の対応銘柄数が国内最多クラス
- BitMatch注文でスプレッドを縮小可能
- LINEでのカスタマーサポートに対応
DMM Bitcoinの特徴は、独自の「BitMatch注文」システムです。これは、DMM Bitcoin内部でユーザー同士の注文をマッチングし、スプレッドを縮小する仕組みです。販売所のように確実に約定しつつ、スプレッドを抑えられるという両方のメリットを兼ね備えています。また、レバレッジ取引の対応銘柄数が豊富であるため、レバレッジ取引を重視する投資家にとっては有力な選択肢となるでしょう。
4. 手数料体系の徹底比較
4-1. 取引手数料の比較
取引手数料は、売買のたびに発生するコストであり、取引頻度が高いほど影響が大きくなります。国内主要取引所の取引手数料を比較してみましょう。
取引所(板取引)の手数料
| 取引所 | Maker手数料 | Taker手数料 |
|---|---|---|
| Coincheck | 無料 | 無料 |
| bitFlyer(Lightning) | 0.01%〜0.15% | 0.01%〜0.15% |
| GMOコイン | -0.01% | 0.05% |
| bitbank | -0.02% | 0.12% |
| SBI VCトレード | -0.01% | 0.05% |
| BITPOINT | 無料 | 無料 |
| DMM Bitcoin | BitMatch注文あり | BitMatch注文あり |
MakerとTakerの違いについて補足しますと、Maker(メイカー)は板に新たな注文を出す側で、市場に流動性を「作る(make)」役割を果たします。Taker(テイカー)は既存の注文に対して約定させる側で、流動性を「取る(take)」役割です。一般的に、流動性を提供するMakerの方が手数料が優遇されています。
bitbankのMaker手数料-0.02%は国内取引所で最も有利な水準です。つまり、指値注文で板に注文を出して約定すると、約定金額の0.02%が報酬として受け取れるということです。100万円の取引であれば200円の報酬が得られる計算になります。
4-2. スプレッドの比較
販売所で取引する場合、表面上の取引手数料は「無料」となっていますが、実際にはスプレッド(買値と売値の差)が実質的なコストとして存在します。このスプレッドは固定ではなく、市場の状況(ボラティリティや流動性)によって変動します。
一般的な傾向として、ビットコイン(BTC)の販売所スプレッドは以下のような幅が観測されています。
- Coincheck:約2%〜4%
- bitFlyer:約2%〜5%
- GMOコイン:約2%〜4%
- bitbank:約2%〜4%
- SBI VCトレード:約2%〜4%
- BITPOINT:約2%〜5%
- DMM Bitcoin(通常):約2%〜4%、BitMatch注文時は大幅に縮小
これらの数値はあくまで目安であり、相場の急変時にはスプレッドが拡大することがあります。例えば、ビットコイン価格が1,200万円の場合、3%のスプレッドは36万円に相当します。100万円分のBTCを購入して即座に売却した場合、約3万円の差損が生じる計算です。
このコスト差を考えると、可能な限り板取引を利用することが経済合理的です。特に大きな金額を取引する場合には、スプレッドの影響は無視できないレベルになります。
4-3. 入出金手数料の比較
日本円の入出金手数料も、取引所間で差があります。
| 取引所 | 入金(銀行振込) | 入金(即時) | 出金 |
|---|---|---|---|
| Coincheck | 無料(振込手数料は自己負担) | 770円〜1,018円 | 407円 |
| bitFlyer | 住信SBI無料、他330円 | – | 220円〜770円 |
| GMOコイン | 無料 | 無料 | 無料(大口400円) |
| bitbank | 無料 | – | 550円〜770円 |
| SBI VCトレード | 無料 | 無料 | 無料 |
| BITPOINT | 無料 | 無料 | 月1回無料、以降330円 |
| DMM Bitcoin | 無料 | 無料 | 無料 |
GMOコイン、SBI VCトレード、DMM Bitcoinは入出金がともに無料であり、コスト面で大きなアドバンテージがあります。頻繁に入出金を行う方や、複数の取引所を使い分ける方にとっては、この差は長期的に大きな金額になり得ます。
4-4. 暗号資産送金手数料の比較
暗号資産を外部ウォレットや他の取引所に送金する際の手数料も重要です。
| 取引所 | BTC送金手数料 | ETH送金手数料 |
|---|---|---|
| Coincheck | 0.0005BTC(約6,000円) | 0.005ETH(約2,500円) |
| bitFlyer | 0.0004BTC(約4,800円) | 0.005ETH(約2,500円) |
| GMOコイン | 無料 | 無料 |
| bitbank | 0.0006BTC(約7,200円) | 0.005ETH(約2,500円) |
| SBI VCトレード | 無料 | 無料 |
| BITPOINT | 無料 | 無料 |
| DMM Bitcoin | 無料 | 無料 |
※金額は2026年3月時点の概算値(BTC=1,200万円、ETH=50万円で計算)
GMOコイン、SBI VCトレード、BITPOINT、DMM Bitcoinは暗号資産の送金手数料が無料です。DeFiプロトコルを利用したり、ハードウェアウォレットに暗号資産を移動させたりする機会がある方にとっては、送金手数料の無料化は大きなメリットとなるでしょう。
5. セキュリティ対策の比較
5-1. コールドウォレット管理
コールドウォレットとは、インターネットに接続されていないオフラインの環境で暗号資産を保管する仕組みです。オンライン上のホットウォレットに比べて、ハッキングのリスクが大幅に低減されます。
国内の暗号資産取引所は、資金決済法の改正により、顧客から預かった暗号資産の95%以上をコールドウォレットで管理することが義務づけられています。ただし、具体的な管理方法やセキュリティ体制には取引所間で差があります。
各取引所のコールドウォレット対応状況
- Coincheck:2018年のハッキング事件後、マネックスグループの指導のもとコールドウォレット管理を徹底。事件の経験から業界でも最も厳格な内部統制を構築したとされています
- bitFlyer:設立以来ハッキング被害ゼロを維持。自社開発のコールドウォレットシステムを採用し、複数の物理的に分離された場所で秘密鍵を管理
- GMOコイン:GMOインターネットグループが培ったサーバーセキュリティのノウハウを活用。定期的な第三者監査を実施
- bitbank:ICORating(第三者セキュリティ評価機関)による国内取引所セキュリティランキングで第1位を獲得した実績あり
- SBI VCトレード:SBIグループの金融セキュリティ基盤を活用。銀行レベルのセキュリティ体制を構築
- BITPOINT:SBIグループ傘下としてのセキュリティ基盤を活用
- DMM Bitcoin:DMMグループの大規模サーバーインフラとセキュリティ技術を活用
5-2. マルチシグ(マルチシグネチャ)
マルチシグとは、暗号資産の送金時に複数の秘密鍵による署名を必要とする仕組みです。例えば「3-of-5」のマルチシグであれば、5つの秘密鍵のうち3つ以上の署名がなければ送金が実行されません。これにより、仮にひとつの秘密鍵が漏洩しても、不正送金を防止することが可能です。
国内主要取引所はすべてマルチシグを採用していますが、具体的な署名数の組み合わせ(何対何のマルチシグか)は公表されていない場合が多いです。一般的に、鍵の数が多いほどセキュリティは高まりますが、運用の柔軟性とのバランスが求められます。
5-3. 保険・保証制度
暗号資産取引所のハッキング被害に対する保険や保証制度は、投資家にとって重要な安全ネットです。
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)のルールとして、加盟取引所は顧客資産の分別管理が義務づけられています。万が一取引所が破綻した場合でも、顧客の資産は法的に保護される仕組みです。
各取引所の対応状況は以下のとおりです。
- Coincheck:2018年のNEMハッキング事件時に、約580億円全額を自社負担で補償した実績があります。現在は損害保険に加入
- bitFlyer:三井住友海上火災保険と提携し、不正ログインによる損害を補償。最大500万円までの補償制度あり
- GMOコイン:セキュリティ対策に重点を置き、不正アクセスの未然防止を重視
- SBI VCトレード:SBIグループの信用力を背景とした資産保護体制
- DMM Bitcoin:不正出金被害に対する補償制度あり
ただし注意すべき点として、これらの保険や補償は取引所側のセキュリティ侵害を原因とする場合に限られることが一般的です。ユーザー自身のパスワード管理の不備や、フィッシング詐欺による被害は補償対象外となる場合がほとんどですので、自身のセキュリティ対策も怠らないようにしましょう。
5-4. 過去のセキュリティインシデント
国内取引所で発生した主なセキュリティインシデントは以下のとおりです。
2014年:Mt.Gox事件
当時世界最大のビットコイン取引所であったMt.Gox(マウントゴックス)から約85万BTC(当時のレートで約470億円)が消失。取引所は経営破綻し、債権者への返済手続きは2024年まで続きました。
2018年:Coincheck NEM流出事件
Coincheckから約580億円相当のNEM(ネム)が不正流出。原因は、NEMをホットウォレットで管理していたことにありました。その後、マネックスグループの傘下に入り、セキュリティ体制を抜本的に見直しています。
2019年:BITPoint不正流出
BITPOINTから約35億円相当の暗号資産が不正流出。ホットウォレットの秘密鍵が流出したことが原因とされています。被害額は全額補償されました。
2024年:DMM Bitcoin不正流出
DMM Bitcoinから約482億円相当のビットコインが不正流出する事件が発生しました。これは2018年のCoincheck事件に次ぐ国内2番目の規模の被害です。DMM Bitcoinはグループ会社からの支援を受けて顧客資産の全額補償を実施しましたが、この事件は取引所のセキュリティリスクが依然として存在することを改めて示す出来事となりました。
これらの事件からの教訓は、「どの取引所であっても100%安全とは言い切れない」ということです。大きな金額を長期保有する場合は、取引所に預けたままにせず、ハードウェアウォレット(Ledger Nano、Trezorなど)への移動を検討することも重要な選択肢のひとつです。
6. 取扱銘柄数の比較と特徴
6-1. 各取引所の取扱銘柄数
2026年3月時点における国内主要取引所の取扱銘柄数を比較してみましょう。
| 取引所 | 取扱銘柄数(概算) | 板取引対応 |
|---|---|---|
| Coincheck | 約31種類 | 一部銘柄のみ |
| bitFlyer | 約37種類 | 一部銘柄のみ |
| GMOコイン | 約27種類 | 主要銘柄対応 |
| bitbank | 約41種類 | 全銘柄対応 |
| SBI VCトレード | 約24種類 | 主要銘柄対応 |
| BITPOINT | 約27種類 | 一部銘柄のみ |
| DMM Bitcoin | 約38種類(レバレッジ含む) | BitMatch対応 |
bitbankが約41種類で最多となっており、しかも全銘柄で板取引が可能です。bitFlyerやDMM Bitcoinも30種類以上を取り扱っています。一方、SBI VCトレードは取扱銘柄数がやや少なめですが、主要な銘柄はカバーしています。
6-2. 主要銘柄のカバー率
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、すべての取引所で取り扱われています。リップル(XRP)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)も、ほぼすべての取引所で購入可能です。
差が出るのは、比較的新しい銘柄やアルトコインの取り扱いです。
ソラナ(SOL):2026年時点で大多数の国内取引所が取り扱いを開始しています。Coincheck、bitFlyer、GMOコイン、bitbank、SBI VCトレードなどで購入可能です。
アバランチ(AVAX):Coincheck、bitbank、SBI VCトレードなどが取り扱っています。
ポルカドット(DOT):GMOコイン、bitFlyer、Coincheckなどが取り扱っています。ステーキング対応の取引所では、保有しながら報酬を得ることも可能です。
シバイヌ(SHIB):Coincheck、bitFlyer、bitbankなどが取り扱っています。いわゆる「ミームコイン」の代表格であり、少額投資で大量のトークンを保有できる点が人気を集めています。
6-3. 板取引対応銘柄の重要性
前述のとおり、販売所と板取引ではコストが大きく異なります。取扱銘柄数だけでなく、「その銘柄が板取引に対応しているかどうか」も重要な判断ポイントです。
例えば、ある取引所がSOLを取り扱っていても、販売所でしか売買できない場合、2%〜4%のスプレッドが実質コストとなります。一方、板取引に対応している取引所であれば、0.1%程度の手数料で売買が可能です。100万円分のSOLを購入する場合、この差は約2万円〜4万円にもなります。
この点で、全銘柄で板取引が可能なbitbankは、コストを重視する投資家にとって大きなアドバンテージを持っているといえるでしょう。
7. 海外取引所の利用について
7-1. 海外取引所の概要
海外には、国内取引所と比較して圧倒的な取扱銘柄数や高いレバレッジを提供する取引所が存在します。代表的なものとしては、以下のような取引所があります。
Binance(バイナンス):世界最大の暗号資産取引所で、取扱銘柄数は600種類以上。現物取引、先物取引、マージン取引、ステーキング、流動性マイニングなど、あらゆるサービスを提供しています。ただし、2023年に金融庁からの警告を受け、日本居住者向けのサービスは「Binance Japan」として別途運営されています。
Bybit(バイビット):デリバティブ(先物)取引で人気の海外取引所です。取扱銘柄数は500種類以上で、最大100倍のレバレッジ取引が可能です。日本語対応しており、日本人ユーザーも多く利用していますが、金融庁への登録はなされていません。
OKX:香港発の大手取引所で、取扱銘柄数は300種類以上。Web3ウォレット機能が充実しており、DeFiとCEXの境界を融合したサービスを展開しています。
7-2. 海外取引所のメリット
海外取引所を利用するメリットは以下のとおりです。
- 取扱銘柄数の圧倒的な多さ:国内取引所では購入できないアルトコインやDeFiトークンに投資できます
- 高いレバレッジ:国内は最大2倍に規制されていますが、海外では最大100倍以上のレバレッジが可能な取引所もあります
- 先進的な金融サービス:流動性マイニング、ローンチパッド(新規トークンセール)、コピートレードなど、国内にはないサービスが利用可能です
- 低い手数料:取引量が多いため、手数料が国内取引所より安い場合があります
7-3. 海外取引所のリスクと注意点
一方で、海外取引所の利用には無視できないリスクが存在します。
法規制のリスク:金融庁に登録されていない海外取引所を日本居住者が利用することは、現時点では違法ではありませんが、金融庁は未登録業者の利用に対して注意喚起を行っています。将来的に規制が強化される可能性は否定できません。
資産保護の欠如:国内の登録業者であれば、資金決済法に基づく顧客資産の分別管理が義務づけられていますが、海外取引所にはこの保護が及びません。取引所が破綻した場合、資産を取り戻すことが極めて困難になるリスクがあります。2022年のFTX(エフティーエックス)破綻は、その典型例です。
税務上の注意点:海外取引所での取引も、日本の税法上は課税対象です。確定申告が必要であり、海外取引所は日本の税務当局に取引データを提供する義務がないため、自己管理の負担が増します。
日本語サポートの限界:日本語に対応している海外取引所もありますが、トラブル時の対応は英語になる場合があります。
出金制限のリスク:海外の規制変更により、突然出金が制限される事例も報告されています。
7-4. 海外取引所の利用判断
海外取引所の利用は、国内取引所では実現できない投資戦略を行いたい中級者以上の投資家が、リスクを十分に理解したうえで検討すべき選択肢といえるでしょう。
初心者の方は、まず国内の金融庁登録取引所で経験を積み、暗号資産の取引に慣れてから海外取引所の利用を検討しても遅くはありません。また、海外取引所を利用する場合でも、資産の大部分は国内取引所やハードウェアウォレットで管理し、海外取引所には少額のみを入金するといったリスク管理が重要です。
8. 投資レベル別おすすめ取引所
8-1. 初心者におすすめの取引所
暗号資産投資が初めての方には、以下の取引所が適しているといえるでしょう。
Coincheck
初心者に最もおすすめできる取引所のひとつです。アプリの操作性が直感的で、500円から暗号資産を購入できる手軽さが魅力です。「Coincheckつみたて」を利用すれば、毎月一定額を自動で積み立てることもでき、投資のタイミングに悩む初心者でも始めやすい環境が整っています。
初心者がCoincheckを選ぶ際に留意すべき点は、販売所のスプレッドがやや広い傾向があることです。まずは少額で販売所を使って操作に慣れ、その後、板取引に移行していくのがよいかもしれません。
bitFlyer
1円から暗号資産が購入可能で、ハッキング被害ゼロという安心感があります。Tポイントとの連携により、普段の買い物で貯まったポイントをビットコインに交換できる点も、初心者にとっての入口として魅力的です。
GMOコイン
入出金手数料が無料であるため、「まず少額を入金して試してみたい」という初心者にとって心理的なハードルが低い取引所です。即時入金に対応しているため、口座開設後すぐに取引を始められます。
8-2. 中級者におすすめの取引所
ある程度の取引経験があり、コスト効率や取引ツールの充実度を重視する中級者には、以下の取引所が適しています。
bitbank
全銘柄で板取引が可能であり、TradingViewベースの高機能チャートを搭載しています。Maker手数料が-0.02%(報酬あり)というのは国内最高水準で、指値注文を中心としたトレードスタイルの方にとっては最もコスト効率の高い選択肢です。取扱銘柄数も国内最多クラスであり、アルトコイン投資の幅も広がります。
GMOコイン
板取引の手数料が安いことに加え、暗号資産の送金手数料が無料である点は、DeFiプロトコルへの送金やハードウェアウォレットへの移動を頻繁に行う中級者にとって大きなメリットです。レバレッジ取引にも対応しているため、ヘッジ目的でのショートポジションなども活用できます。
SBI VCトレード
ステーキングやレンディングサービスが充実しており、「保有しながら増やす」戦略を実践したい中級者に適しています。出金手数料・送金手数料がともに無料であることも、複数の投資手段を組み合わせる際には便利です。
8-3. 上級者におすすめの取引所
高度なトレーディング戦略を実行し、コスト効率と取引環境の両方を求める上級者には、複数の取引所を使い分けることをおすすめします。
メイン取引所:bitbank + GMOコイン
bitbankの板取引(全銘柄対応、Maker報酬-0.02%)をメインの取引プラットフォームとして使用し、GMOコインを出金・送金用のハブとして活用するのが効率的な組み合わせです。bitbankで板取引を行い、利益確定後の日本円出金やDeFiへの暗号資産送金はGMOコイン(出金・送金ともに無料)を経由するという運用が可能です。
レバレッジ取引:DMM Bitcoin
レバレッジ取引の対応銘柄数が豊富なDMM Bitcoinを、ヘッジやショートポジション構築に活用するのも一案です。BitMatch注文によりスプレッドを抑えた取引が可能であることも、上級者にとっては評価できるポイントです。
DeFi連携:GMOコイン or SBI VCトレード
DeFiプロトコル(Aave、Compound、Uniswapなど)を活用する場合、暗号資産の送金手数料が無料の取引所からETHやSOLを送金するのがコスト効率の面で有利です。
長期保有資産の管理
大口の長期保有資産については、取引所に預けたままにせず、ハードウェアウォレット(Ledger、Trezor)で自己管理することを強く推奨します。取引所はあくまで「取引の場」として活用し、保管は自己管理するという原則を守ることが、資産保全の観点からは最も安全な方法です。
8-4. 複数取引所の活用戦略
上級者に限らず、投資に慣れてきた方には複数の取引所を使い分ける戦略をおすすめします。ひとつの取引所にすべてを依存するよりも、リスクの分散と各取引所の強みを活かした運用が可能になるためです。
運用例
このように各取引所の強みを組み合わせることで、手数料を最小限に抑えながら幅広い投資戦略を実践することが可能です。
まとめ
本記事では、暗号資産取引所の選び方について、手数料・セキュリティ・取扱銘柄の3つの観点から国内主要7取引所を比較してきました。最後に、重要なポイントを整理しておきましょう。
取引所選びの重要ポイント
- CEXとDEXの違いを理解し、初心者はまず国内の金融庁登録済みCEXを利用する
- 手数料体系は販売所のスプレッドを含めて総合的に判断する。板取引を活用することでコストを大幅に削減できる
- セキュリティはコールドウォレット管理、マルチシグ、過去のインシデント対応を確認する。ただし、どの取引所でも100%安全とは言い切れないため、大口資産はハードウェアウォレットでの自己管理を検討する
- 取扱銘柄数は数だけでなく、板取引に対応しているかどうかも重要
- 海外取引所はメリットもあるがリスクも大きい。初心者は国内取引所で経験を積んでから検討する
- 投資レベルに応じた選択が重要。初心者はCoincheckやbitFlyer、中級者はbitbankやGMOコイン、上級者は複数取引所の使い分けが有効
最終的には、ご自身の投資スタイル、取引頻度、投資したい銘柄、重視するサービスに応じて最適な取引所は異なります。ひとつの取引所に固執するのではなく、複数の取引所を比較・検討し、必要に応じて使い分けていくことが、暗号資産投資を長期的に続けるうえでの賢明な判断といえるのではないでしょうか。
よくある質問(FAQ)
Q1. 暗号資産取引所の口座開設に必要なものは何ですか?
一般的に、本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)、メールアドレス、銀行口座が必要です。多くの取引所では、スマートフォンを使った「eKYC」(オンライン本人確認)に対応しており、最短で即日〜数日程度で口座開設が完了します。なお、未成年者は口座開設ができない取引所がほとんどです。手続き自体は無料で行えますので、複数の取引所に口座を開設しておくことも選択肢のひとつです。
Q2. 「販売所」と「取引所(板取引)」はどちらを使うべきですか?
コスト面では、板取引の方が圧倒的に有利です。販売所では2%〜5%程度のスプレッドが実質コストとなりますが、板取引では0%〜0.15%程度の手数料で済みます。ただし、板取引は操作がやや複雑で、注文が約定するまでに時間がかかる場合があります。初心者の方はまず販売所で操作に慣れ、基本的な仕組みを理解してから板取引に移行するのが無理のないステップといえるでしょう。
Q3. 複数の取引所に口座を開設するメリットはありますか?
はい、複数の取引所に口座を持つことにはいくつかのメリットがあります。まず、リスクの分散です。ひとつの取引所がシステム障害やハッキング被害を受けた場合でも、他の取引所に資産があれば全額を失うリスクを避けられます。次に、各取引所の強みを活かした使い分けが可能です。例えば、板取引はbitbank、出金はGMOコイン、積立はCoincheckといった組み合わせが考えられます。口座開設自体は無料ですので、まずは2〜3社の口座を開設しておくことを検討してみてはいかがでしょうか。
Q4. 暗号資産取引所にいくらから投資できますか?
多くの国内取引所では、500円〜1,000円程度から暗号資産を購入できます。bitFlyerでは1円から購入可能です。ビットコインの価格が1,200万円を超えていても、少額から分割して購入できるため、まとまった資金がなくても投資を始めることは可能です。ただし、少額すぎると手数料の影響が相対的に大きくなりますので、ご自身の投資予算に応じて適切な金額を設定することをおすすめします。
Q5. 取引所が倒産したら預けている資産はどうなりますか?
国内の金融庁登録済み暗号資産交換業者は、資金決済法に基づき、顧客資産と自社資産の分別管理が義務づけられています。これにより、取引所が倒産した場合でも、原則として顧客資産は保護される仕組みとなっています。ただし、実際の返還手続きには時間がかかる可能性があります(Mt.Gox事件では約10年を要しました)。また、海外の未登録取引所にはこの保護が及びません。大口の長期保有資産は、ハードウェアウォレットでの自己管理を検討されることをおすすめします。
Q6. 海外取引所を利用すると違法になりますか?
2026年3月時点で、日本居住者が海外の暗号資産取引所を利用すること自体は違法ではありません。ただし、金融庁は未登録の海外業者の利用に対して注意喚起を行っており、トラブルが発生した場合に法的保護を受けられない可能性があります。また、海外取引所での取引利益も日本の税法上の課税対象であり、確定申告が必要です。海外取引所の利用を検討する場合は、これらのリスクを十分に理解したうえで判断してください。将来的に規制が強化される可能性も視野に入れておくべきでしょう。
免責事項
※本記事は情報提供を目的としており、特定の暗号資産取引所の利用や暗号資産への投資を推奨するものではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。各取引所の手数料、取扱銘柄数、サービス内容は変更される可能性がありますので、最新の情報は各取引所の公式サイトでご確認ください。投資判断はご自身の責任で行ってください。
※本記事に記載されている情報は2026年3月時点のものであり、今後変更される可能性があります。手数料やサービス内容の最新情報は、各取引所の公式サイトをご確認ください。
※暗号資産は価格変動が大きく、短期間で大幅な下落が生じることがあります。余裕資金の範囲内で、ご自身のリスク許容度に応じた投資を心がけてください。