「ビットコインで給与を受け取る」というアイデアは、2016年頃から仮想通貨コミュニティで話題になり始めました。
現在では実際にビットコインや仮想通貨で報酬を受け取っているプロフェッショナルが世界中に存在します。
一方で日本では、労働基準法の制約や税制上の複雑さから、実現には多くのハードルがあります。
本記事では、ビットコイン給与の海外事例から、日本での法的扱い・課税・Web3報酬の実態まで解説します。
【結論】ビットコイン給与・暗号資産による報酬とは、ビットコイン・仮想通貨分野において重要な概念です。本記事では、その仕組みや特徴、活用方法について詳しく解説します。
ビットコインで給与を受け取っている国と企業事例
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海外では、ビットコインや仮想通貨で給与の全額または一部を受け取ることが可能な国や企業が存在します。
エルサルバドルは2021年にビットコインを法定通貨として採用し、雇用主が従業員の希望に応じてビットコインで給与を支払えるようになりました。
スイスのツーク(「クリプトバレー」とも呼ばれる地域)では、一部の行政サービスの支払いや企業報酬に仮想通貨を利用できる環境が整っています。
企業事例としては、海外のブロックチェーン・Web3系スタートアップが給与の一部をETHやネイティブトークンで支払うケースが広く見られます。
NFTアーティスト・DeFiプロトコルの開発者・DAOのコントリビューターなどが、フルタイムの雇用契約ではなく報酬としてトークンを受け取る形態も一般的になっています。
日本の労働基準法とデジタル払い:2023年法改正の内容
日本の労働基準法では、賃金は原則として「通貨(日本円)で支払わなければならない」と定められています(労働基準法第24条)。
これがビットコイン給与の最大の障壁です。
2023年4月、「賃金のデジタル払い」が解禁されました。
これにより、厚生労働省が指定した「資金移動業者」のアカウントへの振込みが、給与支払いの一形態として認められるようになりました。
ただし、この制度は「PayPayや楽天ペイのような電子マネー」を想定したものです。
ビットコインなどの仮想通貨は「資産」として分類されており、資金移動業者が提供する電子マネーとは法的に区別されています。
つまり、2023年のデジタル払い解禁は「ビットコイン給与の解禁」ではありません。
現時点(2026年)では、日本国内で雇用契約に基づく給与をビットコインで支払うことは、労働基準法上の通貨払い原則に抵触する可能性が高い状況です。
ビットコイン給与の課税:受取時と売却時の二重課税
仮に仮想通貨で報酬を受け取った場合、日本の税制上の扱いは以下のようになります。
まず、仮想通貨で報酬を受け取った時点で、その時価が「所得」として課税されます。
これは給与所得であれ、フリーランスの事業所得であれ、報酬の性質に応じた所得として扱われます。
次に、受け取った仮想通貨を後日売却した場合、受取時の時価と売却時の時価の差額が「雑所得(仮想通貨の譲渡益)」として課税されます。
受取時に時価が100万円だったBTCを、後日150万円で売却した場合、50万円が追加の課税対象です。
この「受取時課税 + 売却時課税」という構造が、ビットコイン給与を受け取る日本人が直面する税務上の複雑さです。
価格が上昇すれば二重に課税され、下落した場合は受取時に払った税金分が「損」になるリスクもあります。
Web3・DAO報酬の税務扱い
近年、ブロックチェーンプロジェクトやDAO(分散型自律組織)での活動報酬をトークンで受け取るケースが増えています。
国税庁は2022年以降、仮想通貨・NFTに関する税務の取り扱いについて見解を公表しています。
DAOからの報酬トークンも、受取時の時価で雑所得として課税されるのが原則的な解釈です。
ただし、新興プロジェクトのトークンは時価の算定が困難な場合もあります。
また、ガバナンストークンを受け取ったがほぼ換金できない状況や、ロックアップ期間中のトークンの扱いなど、実務上のグレーゾーンも残っています。
Web3報酬を受け取る際は、税理士に相談した上で記録を適切に管理することが重要です。
ブロックチェーン業界の日本人の仮想通貨報酬事情
日本のブロックチェーン・Web3業界で働くエンジニアやクリエイターの中には、報酬の一部を仮想通貨で受け取っているケースがあります。
典型的なパターンとしては以下が挙げられます。
- 海外のブロックチェーンプロジェクトの開発者として、給与の一部をETHやプロジェクトトークンで受け取る
- NFTアーティストとして、作品の二次流通ロイヤリティをETHで継続的に受け取る
- DeFiプロトコルの流動性提供(LP)で報酬トークンを受け取る
- 海外取引所のアンバサダーやインフルエンサーとして、仮想通貨で報酬を受け取る
これらの報酬は、雇用契約の有無や金額の規模によって「給与所得」「事業所得」「雑所得」のいずれかに分類されます。
分類によって税率や控除が異なるため、専門家への相談を強くおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q1. 日本でビットコイン給与を要求することはできますか?
現行の労働基準法では、給与は原則として円(通貨)で支払われなければならないとされています。労使間の合意があっても、法的なリスクが伴います。個人事業主(フリーランス)として仮想通貨で報酬を受け取ることは、事業所得として処理する形で可能です。
Q2. 仮想通貨で受け取った報酬が下落した場合、税金はどうなりますか?
受取時の時価で課税されるため、その後価格が下落しても受取時の税負担はなくなりません。売却時に損失が出た場合は、同年の他の仮想通貨取引の利益と損益通算できます(ただし株式等との損益通算は不可)。
Q3. DAOのガバナンストークンをもらった場合も課税されますか?
原則として、受け取った時点で換金価値があるトークンは時価で雑所得として課税されます。市場価格がない、または換金が著しく困難なトークンの扱いについては個別の事情によるため、税理士への相談をおすすめします。
Q4. 仮想通貨報酬の確定申告で気をつけることは?
受け取った日時・受取量・受取時の時価(円換算)・売却日時・売却額の記録を取引ごとに残しておくことが最重要です。受取時と売却時の両方を記録しておかないと、正確な損益計算が困難になります。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、税務・法律のアドバイスではありません。仮想通貨に関する税務・法律の取り扱いは変更される場合があります。個別の状況については税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。

