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ArbitrumとOptimism・Baseのガス代を比較【手数料・スループット完全解説】

イーサリアムのL2を選ぶ際に最も重要な基準のひとつが「手数料(ガス代)」です。L1(イーサリアムメインネット)と比較して大幅に安いとはいえ、L2間でも手数料には差があります。また、1秒あたりどれだけのトランザクションを処理できるか(スループット)も、実際の使い勝手を大きく左右します。

本記事では、Arbitrum・Optimism・Baseの3つのL2について、ガス代の仕組みと実際のコスト水準、スループットの違いを詳しく解説します。どのL2が最もコスト効率に優れているか、利用シーン別に考えていきましょう。

なお、手数料はネットワークの混雑状況や市場環境によって大きく変動します。本記事の数値はあくまで参考値であり、実際の取引前には最新情報を確認することをお勧めします。

1. L2の手数料構造の基本

1-1. L2のガス代はどう決まるか

L2のガス代は大きく「実行コスト(Execution Cost)」と「データコスト(Data Cost / L1 Security Cost)」の2つに分かれます。実行コストはL2上でのトランザクション処理にかかるコストであり、データコストはL2がL1にデータを書き込む(calldata/blobに掲載する)際のコストです。

従来はL1へのcalldataコストがL2手数料の大部分を占めていましたが、2024年3月に実施されたイーサリアムのDencunアップグレード(EIP-4844)により「blobトランザクション」が導入されました。これにより、L2がL1に掲載するデータのコストが劇的に低下し、多くのL2でガス代が大幅に削減されています。

EIP-4844(Proto-Danksharding)導入後、ArbitrumとOptimism、Baseはいずれもblobをサポートするアップグレードをリリースしており、ユーザーが実際に支払うガス代は以前と比較して90%以上削減されたケースもありました。

1-2. Dencunアップグレード後の変化

2024年3月以前は、Arbitrumで1回のUniswap V3スワップを行う際のガス代が0.1〜0.3ドル程度であったのに対し、Dencunアップグレード後は0.01〜0.05ドル程度まで低下したとされています。OptimismとBaseも同様に大幅な手数料削減を実現しており、いずれも通常時は数セント〜十数セント程度でスワップが可能な水準に達しています。

ただし、L1のblobデータの需要が急増した場合はblobの基本手数料も上昇するため、ネットワーク全体の混雑状況がL2の手数料に影響を与えます。L2使用量の多い時間帯(欧米のDeFiアクティブ時間帯)は手数料が高くなる傾向があります。

2. Arbitrumの手数料の特徴

2-1. Arbitrumのガス代水準

Arbitrumは独自のガスプライシングメカニズムを採用しています。L2の実行コストはArbitrumのガスプライスと使用ガス量によって決まり、L1データコストはL1のガスプライスに連動します。

通常時(ネットワーク混雑が少ない時間帯)のArbitrumでのトランザクション手数料の目安は以下の通りです。

  • ETH送金: 0.01〜0.05ドル程度
  • ERC-20トークン送金: 0.02〜0.08ドル程度
  • Uniswap V3 スワップ: 0.05〜0.2ドル程度
  • DeFiプロトコルの複雑な操作: 0.1〜0.5ドル程度

これらはあくまで参考値であり、ETHの価格やネットワーク状況によって変動します。Arbitrumはエコシステムが大きい分、混雑時には他のL2と比較してガス代が上昇しやすい面もあります。

2-2. ArbitrumのスループットとTPS

ArbitrumのスループットはL1と比較して大幅に向上しています。Arbitrum Nitroのアーキテクチャでは、理論上は毎秒数万件のトランザクション処理が可能とされています。実用的な観点では、通常の利用環境でも毎秒数百件以上のトランザクションが処理可能であり、大規模なDeFiプロトコルの需要に対応できる処理能力を持っています。

ただし、L2のTPSはL1にデータを書き込む際のボトルネックにも影響されるため、L1の処理能力がひとつの上限として機能します。blobの容量制限が拡大されるShardingの将来的な実装により、さらなるスループット向上が期待されています。

3. Optimismの手数料の特徴

3-1. Optimismのガス代水準

OptimismはEIP-4844以降、他のL2と同様に大幅な手数料削減を実現しています。OP MainnetのガスプライスはEtherscanのOP版(optimistic.etherscan.io)で確認できます。

通常時のOptimismでのトランザクション手数料の目安は以下の通りです。

  • ETH送金: 0.01〜0.04ドル程度
  • ERC-20トークン送金: 0.02〜0.07ドル程度
  • Uniswap V3 スワップ: 0.04〜0.15ドル程度
  • DeFiプロトコルの複雑な操作: 0.08〜0.4ドル程度

OptimismはArbitrumと比較して同等か若干低めの手数料水準となることが多いとされていますが、いずれも数セント〜数十セントのレンジで推移しており、大きな差は生まれにくい状況です。

3-2. OptimismのTPSと処理能力

OptimismのTPSもArbitrumと同様に、通常利用では十分な処理能力を持っています。OP Stack系のチェーンでは、ブロック時間が2秒と設定されており、ブロックあたりのガスリミットと合わせてスループットが決まります。

Superchain構想では、Optimism、Base、その他のOP Stack系L2がシーケンサーを共有する「Shared Sequencer」の実装も検討されており、将来的にはよりシームレスなクロスチェーン操作が可能になる可能性があります。

4. Baseの手数料の特徴

4-1. Baseのガス代水準

BaseはOP Stackを採用しているため、Optimismと同様のガスプライシングメカニズムを持ちます。しかし、Baseは特にEIP-4844以降、3つのL2の中でも最も低い手数料水準を記録するケースが増えています。

通常時のBaseでのトランザクション手数料の目安は以下の通りです。

  • ETH送金: 0.005〜0.03ドル程度
  • ERC-20トークン送金: 0.01〜0.05ドル程度
  • Uniswap V3 スワップ: 0.03〜0.12ドル程度
  • DeFiプロトコルの複雑な操作: 0.05〜0.3ドル程度

Baseはネイティブトークンを持たないため、ガス代はすべてETHで支払われます。Coinbaseの強力なインフラ基盤を活用しており、安定した低コストでの運用が可能な環境を提供しています。

4-2. BaseのTPSと将来展望

BaseはOP Stackに加えてCoinbaseの技術・リソースを活用することで、高いスループットを維持しています。特に2024〜2025年にかけてBaseのトランザクション量が急増したことを受け、シーケンサーの処理能力強化が行われました。

CoinbaseはBaseを長期的に分散化する方針を示しており、将来的にはPermissionlessなバリデーター参加も検討されています。スループットの向上とともに分散化が進むことで、安全性と効率性のバランスが改善されると期待されています。

5. 手数料比較まとめと節約のコツ

5-1. 3つのL2の手数料・スループット比較表

3つのL2の主な特徴を以下にまとめます(2025年時点の目安)。

  • Arbitrum: 手数料は中〜低水準、スループット高、エコシステム充実
  • Optimism: 手数料は低〜中水準、スループット高、OP Stack連携強み
  • Base: 手数料は最低水準になることが多い、スループット高、初心者向け

いずれもL1と比較すれば大幅に安価ですが、頻繁に取引を行うユーザーにとっては数セントの差が積み重なって大きなコスト差になります。自分の利用パターンに合わせて最適なL2を選択することが重要です。

5-2. ガス代節約の実践的なアドバイス

L2でのガス代をさらに節約するためのポイントを紹介します。

まず、取引のタイミングを選ぶことが有効です。L2のガス代も需要によって変動するため、欧米のアクティブ時間帯(日本時間の深夜〜早朝)を避け、アジア時間帯(日本時間の午前〜昼)に取引することで、比較的低いガス代で操作できることが多いです。

次に、ウォレットのガス設定を活用することも節約につながります。MetaMaskなどのウォレットではガスプライスを手動設定できる場合があります。急いでいない場合は推奨値より低めに設定することで節約できる可能性があります。ただし、設定が低すぎると取引が通らない場合もあります。

また、複数の小額トランザクションをまとめて処理できるプロトコル(バッチ処理対応のDEXアグリゲーター等)を活用することも、実質的なガス代の節約になります。

まとめ

Arbitrum、Optimism、Baseの3つのL2は、2024年のEIP-4844導入以降いずれも大幅な手数料削減を実現しており、日常的なDeFi操作に十分な低コスト環境を提供しています。

手数料水準だけで比較するとBaseが若干低い傾向にありますが、実際の差は数セント程度であり、エコシステムの充実度や使い勝手を含めた総合的な評価が重要です。頻繁に取引を行う場合は手数料の比較ツール(L2Fees.infoなど)を参照し、リアルタイムで最安値のL2を選ぶ方法も有効です。

本記事の数値はすべて参考値であり、実際の取引前に最新のガス代情報を確認することを強くお勧めします。

よくある質問

Q1. EIP-4844(Dencun)はL2の手数料にどれほど影響しましたか?

EIP-4844の導入により、L2がL1にデータを掲載するコストが大幅に低下しました。多くのL2では手数料が導入前と比較して80〜95%程度削減されたとされています。これにより、L2でのマイクロトランザクションが現実的なコストで実現できるようになりました。

Q2. L2のガス代はETHの価格に連動しますか?

はい、L2のガス代はETHで支払われるため、ETHの価格上昇に伴って法定通貨換算での手数料も高くなります。ただし、ETHの価格が上昇してもガス代(ETH建て)自体が下がる場合もあり、必ずしも比例して高くなるわけではありません。

Q3. L2間でのブリッジにかかる手数料はどれくらいですか?

公式ブリッジを使ったL2からL1への引き出しは、チャレンジ期間(7日間)を要しますが手数料は比較的低めです。一方、サードパーティの高速ブリッジ(Hop Protocol、Stargate、Acrossなど)を使う場合は数十分〜数時間で完了しますが、0.05〜0.3%程度のブリッジ手数料が発生します。金額・速度・リスクを総合的に判断して選択することが重要です。

※本記事は情報提供を目的としており、投資を推奨するものではありません。暗号資産への投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

Bitcoin Analyze 編集部

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